伝説・伝承
昔から日本では、ネコが50年を経ると尾が分かれ、霊力を身につけて猫又になると言われている。それを妖怪と捉えたり、家の護り神となると考えたり、解釈はさまざまである。
猫又に代表されるように、日本において、「3年、または13年飼った古猫は化ける」、あるいは「1貫、もしくは2貫を超すと化ける」などと言われるのは、付喪神(つくもがみ)になるからと考えられている。
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死者に猫が憑く(岐阜県)
- 美濃国大野郡の丹生川村(現・岐阜県高山市丹生川町)では、ネコが死者をまたぐと「ムネンコ」が乗り移り、死人が踊り出すと言われ、ネコを避けるために死者の枕元に刃物を置く、葬式のときにはネコを人に預ける、蔵に閉じ込める、といった風習があった。
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死者に猫が憑く(佐賀県)
- 佐賀県東松浦郡でも、死者にネコの霊が憑くと言われ、これを避けるために死者を北枕に寝かせた上でやはり枕元に刃物を置き、着物を逆さにかけるという。
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死者の骸(むくろ)を盗む猫(愛知県)
- 尾張国知多郡(現・愛知県知多郡)の日間賀島に伝わる話では、百年以上も歳経たネコの妖怪を「マドウクシャ」と呼び、死者の骸を盗りにくるため、死人の上に筬(おさ、機織機の部品)を置いてこの怪を防ぐという。これと同じく、火葬場や葬列を襲って屍を奪う妖怪は「火車」と呼ばれるが、その正体はネコであることが多い。
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生者にも猫は憑く
- 生きている人間にネコの霊が憑くという伝承もある。
- 伊予国(現・愛媛県)での話によると、飼い猫を殺した者が、のち精神に異常を来たし、「猫が取り憑いた」と言いながら徘徊するようになったという。
- 山口県大島郡では、死んだネコのそばを通ると犬神、蛇神に加えて「猫神」に憑かれると言われ、これを避けるために「猫神うつんな、親子じゃないぞ」と唱えるという。
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猫の恩返し
- 貧乏な寺に飼われていたネコが、世話になった恩返しのため、野辺送りの棺を空に上げて、飼い主の和尚に手柄を立てさせる『猫檀家』という説話がある。
- 一方、ネコを大事にする風習からネコを神として祀る地域もある。
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猫神(養蚕との関連)
- 宮城県の村田町歴史みらい館の調査によると、猫の石碑が宮城県に51基(特に仙南の丸森町に多く分布)、岩手県に8基、福島県と長野県に6基ずつ存在することが確認された。さらに、宮城県には猫神社が10カ所あることも確認された。これは、江戸時代に養蚕が盛んだった宮城県南部で、蚕の害獣だったネズミを駆除してくれるネコに対して興った信仰だったようだと同館は見ている。また、山形県高畠町の猫の宮も同じく養蚕の守り神である。
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猫神(漁業との関連)
- 宮城県の仙台湾(石巻湾)に浮かぶ田代島では、「猫神様」が島内の猫神社に祀られている。島では漁業・稲作と並んで、かつて仙南と同様に養蚕が盛んだったためネコを大事にする習慣があったが、猫神は大漁の守護神とみなされており、養蚕との直接的な関係は見られない。同島には昔からイヌはおらず、島内へのイヌの持ち込みも島民から拒否されるほどの「ネコの島」が現在も維持されている。
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