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北海道アイヌの妖怪一覧57種|民話や伝承のカムイ・怪物・化け物

北海道アイヌの妖怪一覧|民話や伝承のカムイ・怪物・化け物 妖怪
北海道アイヌの妖怪一覧|民話や伝承のカムイ・怪物・化け物
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北海道地方の『アイヌ』民話、伝承などに伝わる妖怪、化け物、怪物や神格化された動物などを一覧にまとめました。

名称がアイヌ語独特のものになっています。

この一覧にはアイヌの妖怪45種類、神格化した動物などのカムイ12種類あります。

 

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アイヌの妖怪一覧

アイヌカイセイ

ボロボロの“アットシ”という、木皮の繊維製の衣服を身にまとった妖怪。空き家や古い家に現れると言われている。

人が眠っていると胸や首を押し付けて苦しめる。

「アイヌカイセイ」の「カイセイ」とは、アイヌ語で“死骸”を意味します。

 

アイヌソッキ

アイヌ民話で北海道の内浦湾に住むと伝えられる人魚。八百比丘尼の伝説と同様、この人魚の肉を食べると長寿を保つことができるという。

茅部郡森町、二海郡八雲町、山越郡長万部町、虻田郡豊浦町、虻田郡洞爺湖町、伊達市、室蘭市に伝わる妖怪。

 

アッコロカムイ

北海道の噴火湾に住んでいるとされている大ダコで、湾の主だとも言われている。

足を広げると1ヘクタール、船やクジラなども一呑みにできてしまう程の大きさ。

 

イシネカプ=ペンタチコロオヤシ

北海道北東部に伝わる妖怪。

「松明をかざすお化け」という意味で、夜中に松明を持って歩き、道を行く人々に様々な怪をなすという。

 

イワエトゥンナイ

奥山に住む怪鳥で、モシレチクチクイワエチクチクともいわれる。

山の中に棲んでいる一つ目の化け物で、空を飛ぶことができる。

樹木であろうが硬い岩であろうが、どんなものでも突き抜けて飛ぶという。

 

イワポソインカラ

大きな目の塊のような姿の妖怪。

岩の中に棲んでおり、人間に様々な悪さを働くといわれている。

 

オキナ

松前に伝わる妖怪

蝦夷の東海に棲息し、春に南の海に行き秋に戻って来るといい、その魚が現れる際には海底から雷鳴のような轟音が響くとともに大波が起こり、餌としておよそ30から50メートルもある鯨を、飲み込む。

 

キムナイヌ

大雪山に伝わる妖怪。

伝説によれば、石狩川の奥地の山の斜面に、キムナイヌがいるために泊まってはいけないといわれた土地があった。キムナイヌは足が速い上に力も強く、クマでも何でも追いかけて手掴みにして殺すが、タバコに火をつけて差し出せば、人を殺すようなことはしないという

 

ケナシコルウナルペ

沙流郡二風谷部落、胆振地方や沙流郡に伝わる妖怪。

樹木の空洞や川岸の柳原などに棲んでいる怪女。ざんばら髪で、黒い顔には目や口が無く、親指のような鼻が付いているのみである。

熊を操ることが出来る。

 

コシンプ

樺太や北海道のアイヌ民話に伝わる精霊。

人間に憑いて様々な悪事を働くといい、これらに憑かれると、どんな者でも何年かのうちに必ず死んでしまうともいう。

コシンプは好きな男のトゥレンペ(憑き神)になることもあり、そのときには善神として、憑いた男を良い運命へと導くという。

イワコシンプ

キツネなどの山林の動物が人間の異性に懸想して憑くことをいう。

イワは山の意味。

 

ルルコシンプ

ルルコシンプは日本の本土でいう人魚のようなものともいう。姿を現す際には絶世の美女となって現れる。

ルルコシンプに憑かれた女が良い声で「海へ来い、海へ来い」と誘う歌を歌うことがある。

 

コロポックル

十勝に伝わる精霊。

アイヌの伝承に登場する小人で、アイヌ語で、一般的には「蕗の葉の下の人」という意味

背丈が低く、動きがすばやく、漁に巧みであった。又屋根をフキの葉で葺いた竪穴にすんでいた。

 

ニタッラサンペ

姿はマリモのような球形で、翼が生えており、色は茶褐色。全長は約20センチメートル、または2メートルといわれる。地面を転がって走り、その様子を見た者は運が悪くなってしまうといわれている。

「湿地の苔の心臓」を意味する。

 

ニングル

富良野地方に伝わる伝承における小人。

 

パウチカムイ

北海道の石狩川流域に伝わる妖怪。または工芸に長けた神でもあるとされる。

層雲峡もパウチカムイが作った砦で、ここに住むパウチカムイは舟人を誘惑する女神だと言う。層雲峡が挟む石狩川を夜盗たちが船で進んでいたところ、このパウチカムイに誘惑された挙句に死んでしまったというローレライ伝説と同様の伝説がある

 

ミントゥチ

石狩川流域に伝わる妖怪。

半人半獣の霊的存在。河童に類する妖怪ともいわれる。

 

モシリシンナイサム

体に白と黒のまだら模様の姿をした妖怪。

馬ほどの大きさをしていると言われている。

 

ラートシカムイ

石狩湾に伝わる妖怪。

日本海の海中に住んでいる巨大な蛸。

アイヌ民話の巨鳥フリカムイが心が荒れすさんで空を海上を飛び回った際、海底で眠っていたラートシカムイがあまりの騒音に目を覚まし、怒って海面に出てフリカムイと戦った。フリカムイに墨を吐きかけたり、8本の足で海に引きずり込んだりしたが、力は両者とも互角で、決着がつくことはなかったという。

 

雪女

滝川に伝わる妖怪事件。

明治25年以降の北海道滝川市での出来事だそうです。

雪の舞う夕方、色白の女が空知川の畔に立っていた。
故郷の山形に恋人をおいて出稼ぎに来ていた若い男が、恋人に良く似たこの女に誘われるまま恋仲になってしまう。
まるで、氷のように冷たい体の女を男は夢中で抱いた。
明け方、男が目覚めると女の姿はなく、ただ布団がしっとりと濡れているだけであった。
男は毎夜のように女の家へ行き、女の冷たい体を抱いたが、どんどん衰弱していく男の姿を心配した同僚が男の後を追うと、男は川辺の穴蔵の中で細いつららを抱いて眠っているだけであった。
やがて、男は冷たい死骸となって発見される。
言い伝えによると、雪女の正体は故郷においてきた恋人であり、男と離れて暮らすうちに寂しさから病気となり死んでしまったので、魂となって男のもとへやってきたのだろう。

 

かっぱ

北海道定山渓温泉に伝わるかっぱ伝説。

 

豊平川には、川のあちこちに魚たちがたくさん生息していました。
発電所のダムができる前、道路工事をしていた容姿の美しい男性が魚とりをしていたところ、急に川に引き込まれ、沈んで行ってしまいました。
近くで目撃していた人々が、川に飛び込み助けようとしましたが、ついに男性の姿を発見することはできませんでした。

その後、男性の故郷の父の夢枕にあらわれ、こう言います。

 「私は今かっぱの妻と子供と一緒に幸せに暮らしている」

 

男性は、ここに住んでいるかっぱに魅入られ、引き込まれたようだった。以来ここをかっぱの淵と称するようになったが、その後は此処で遭難する者は全く無くなったという。

アツゥイカクラ

北海道南西部にある内浦湾(噴火湾、胆振湾とも呼ばれる)に棲むといわれている巨大なナマコの怪。

口で流木に吸い付いて浮かんでおり、近づく船をひっくり返すといわれている。

川から流れてきたモウル(女の肌着)が変化したものだといわれている。

 

アラサラウス

体毛がまったくなく、1本の尾を持った巨体の悪獣といわれる。山の崖の穴に住むクマまたは猿のような猛悪な動物で、自在に変身し、人間を捕えて食らうともいう。

 

イコンタビブ

悪い病を持ち歩く魔魚。厄災をもたらす。

 

イワイセボ

山にすむ巨大な妖怪。ウサギに似て耳が長く、叫び声は鹿に似ているという。

 

イワエチシチス

鳥の魔物。鳥の姿ではあるが、牛のような声で鳴く。アイヌ語で”山で呼ぶ者”という。

 

イワサラウス

大きな体に毛が全くなく、6本の尾がある妖怪。クマの化け物ともいわれる。

 

イワホイヌ

大きな角と歯を持った山イタチの妖怪。

 

イワオロペネレプ

「岩を破るもの」を意味する巨鳥。夜鳥の姿をしているが、岩を破壊する力を持つ。

その声を聞いてしまうと、聞いた人は死んでしまうといわれている。

 

クンツゥカブ

カジキエイに似た魔魚。

 

ショキナ

アイヌコタンの東側にある大海を根城にしていた巨大な巨大な鯨。

その顎を開けば鼻面が天に届き、下顎の先が海底を削ると言う程の大きさだった。普通の鯨など、まるでイワシを食べるかの如く丸呑みにするし、腹が空けば海中の魚は元より、海に漁に出たアイヌの人々や本州から交易の為にやって来るペンチャイ(アイヌ語で弁財船、即ち北前船を意味する)までひと呑みにしてしまう。

 

フリカムイ

片翼だけで約七里(約30km)はある巨鳥で、十勝川の上流にある洞窟や、網走の海岸にある洞窟に棲んでいたとされる。

食事の際には海へ出て、鮭や鯨を捕えて食べていたという。

 

プリカンダカムイ

「はなはだ粗野な者」 という意味を持つ山の魔物。

人食い熊となって現れる。

 

ヤウシケプ

レブンゲ(虻田郡豊浦町字礼文華)の地に現れた巨大なクモの妖怪。家々を破壊し、土地を荒らし回った。

 

ライクルエチカップ

死人を食べる妖鳥。野営している人の近くの木に止まり、人を襲う。

 

アツゥイコロエカシ

北海道室蘭近海の主(ぬし)で、船を飲み込む巨大な赤い化け物。

 

アプトルヤムペウェンユク

激しい暴風雨を起こす空中の魔物。

 

イワエツゥンナイ

山の中に棲んでいる一つ目の化け物で、空を飛ぶことができる。

進路が障害物で阻まれている際には、樹木であろうが硬い岩であろうが、どんなものでも突き抜けて飛ぶという。障害物に穴を開けて通り抜けるという説もある。

 

コチウツナシュグル

「早瀬の男」という意味。激流にいる妖怪。

 

コヌブキオトグル

川岸を崩す魔物

 

コロトラングル

アイヌ語で「海上に来るもの」を意味する巨大なエイ。

暴風を起こす海の魔物。

 

モシリシンナイサム

体に白と黒のまだら模様のある、馬ほどの大きさの妖怪。

村外れの湿地帯にいる。その姿や足跡を目にした者は長生きできず、不幸な人生を送る羽目になってしまうという

また、色々な動物に姿を変えて人間をつね狙うともいわれている。たとえば、道端にいたはずの鹿が一瞬にしていなくなってしまったら、これはモシリシンナイサムに狙われている証拠だという

 

レブンエカシ

「沖の長老」を意味する化け物。

8頭ものクジラを飲む込むという。

あるときに2人の漁師が飲み込まれたが、腹の中で火を焚いたので吐き出されて命拾いしたものの、レブンエカシの毒にあたったのか、頭髪がすべて抜けて頭が禿げ上がってしまったという。

 

オッケルイペ

「放屁する化け物」を意味し、その名の通り屁の妖怪である。

人が家の中で1人でいるときなど、炉の中で「ポァ」と屁をする。さらに部屋のあちこちで次々に「ポァ」と屁をし、臭いで我慢できないほどになる。人間の方も屁をしてやると、オッケルイペは恐れ入って退散するという。屁が出ないときは、口で音の真似をするだけでも良いという。

 

ニシヲカムイ

北海道石狩市浜益区に伝わる妖怪。海から陸へ渡る黒い影。上陸すると風のようにその形を捉えられなくなるいう。

神格

カンナカムイ

角を持ち、龍の姿をした雷神。

霊場を守る竜神と言われている。

 

キムナイヌ

「山にいる人」を意味し「山にいる神」ともいわれている。

北海道の大雪山に伝わる伝説によれば、石狩川の奥地の山の斜面に、キムナイヌがいるために泊まってはいけないといわれた土地があった。キムナイヌは足が速い上に力も強く、クマでも何でも追いかけて手掴みにして殺すが、タバコに火をつけて差し出せば、人を殺すようなことはしないという。

山の中でタバコを吸っていると、キムナイヌが寄って来るが、タバコを少しつまみ取って「山の神さんにあげます」と言えば、害を受けることはないという。

 

キムン・セタ

キムナイヌが連れている山犬。

 

キムンカムイ

アイヌ語で「山の神」という意味で、熊の神様。

アイヌ民族がヒグマを山の神として崇めていたことに由来する。

 

カパトトノマト

天に住んでいるコウモリの女神。

 

ホヤウカムイ

翼を持った蛇。蛇神。名前は「蛇の神」を意味する。

全身が薄い墨色で目と口の周りが朱色、俵のような胴体で頭と尾が細く、鋭く尖った鼻先で鑿のように大木を引き裂き、切り倒すと伝えられる。

日高地方西部の湖沼に棲んでいるといわれ、日高の川筋には必ずどこかにいたという。ひどい悪臭を放っており、この体臭に触れた草木は枯れ果て、人間がホヤウカムイの居場所の風下にいると体毛が抜け落ちたり、皮膚が腫れ上がり、近づきすぎると皮膚が焼け爛れて死ぬことすらあるともいう。

 

キラウシカムイ

アイヌ語で「鹿の角を有する神」という意味を持つ雷を司るといわれる神。

世界が出来た時、人間に幸せを授けるために天の神が「キラウシカムイ」を使わせたが、
功績を独り占めしようとした為に、罰として地下世界へ落とされ死亡したという。

落下した場所が有珠山の噴火口だといわれる。

 

チロンノップカムイ

アイヌに伝わる狐神。

「チロンノップ」は「狐」、「カムイ」は「神」を意味する。

「ウパシチロンノップカムイ」で「白毛の狐神」、
「クンネチロンノップカムイ」で「黒毛の狐神」、
「チロンノップカムイ」で「赤毛の狐神」となる。

白狐が一番位の高い神で、次が黒狐、赤狐の順となる。

アイヌの世界ではキツネの頭は人を守ってくれる守護神。

 

ミンツチ

アイヌに伝わる半人半獣の霊的存在で河童に類する妖怪ともいわれる。

漁の神ともいわれている。

 

背格好は3歳から12,13歳の人間の子供と同程度で、頭には髪があって河童のような皿はなく、肌の色は紫か赤に近く、足型は鳥か鎌の形に似ている。両腕が体内でつながっており、片腕を引っ張ると両腕ともに抜けてしまうという。

石狩川では頭が禿げて男女の区別があるもの、十勝平野東部の池田町では小さな老婆だか老爺だかわからない姿で、ときどき「フンッ」という大きな音をたてるという。

ミントゥチは魚族を支配する神でもあり、漁師たちに漁運を授けるが、それと引き換えに水死者の犠牲も増えるという。

石狩地方ではミントゥチが魚をたくさん捕らせてくれたが、その代わり毎年必ず何人かを殺すので、人々が日高の静内(現・新ひだか町)のほうへ移って欲しいと頼んだところ、水死者はなくなったが、魚も捕れなくなったという。

山の狩猟で獲物をもたらすものとも信じられている。ミントゥチが若者に化けて若い娘のいる家に婿入りし、その家に猟運や幸をもたらすともいうが、怒らせるとその地域一帯の食料の霊を一緒にさらって行ってしまうという、恐ろしい面もある。

旭川や沙流川では、ミントゥチが人を守護するという話もある。

 

レタル・カムイ

日高山脈に住む白熊の姿をした神。

 

レタル・セタ・カムイ

日高山脈の幌尻(ぽろしり:大きな山)岳の白い狼神。

 

ラプスカムイ

中川郡豊頃町十弗(とうふつ)の村に住む怪鳥。

その鳥を吹き通してくる風を受けると、病む、或いは死ぬなどの災いを被る。

 

以上、北海道アイヌの妖怪一覧を紹介しました。

北海道地方のアイヌ伝承の妖怪も本州の妖怪も似たものがたくさんいるように思えます。

海に登場する大型の怪物などとても北海道らしいのではないでしょうか。

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