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日本各地の化け狸一覧と伝承|日本の妖怪

日本各地の化け狸一覧と伝承|日本の妖怪 一覧
日本各地の化け狸一覧と伝承|日本の妖怪
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化け狸・妖狸とは?

 

皆さんご存知だとは思いますが、化け狸(ばけだぬき)は、日本に伝わる狸の妖怪で、人間をたぶらかしたり、人間の姿に化けたりするとされています。

狐と同様に、他のものに化ける、人を化かす、人に憑くなどの能力を持つものとしての伝承が全国各地に残されています。

この化け狸ですが、妖狸(ようり)や古狸(こり、ふるだぬき)、怪狸(かいり)などとも称されることがあり、中でも佐渡の団三郎狸、徳島県の金長狸・六右衛門狸、香川県の太三郎狸、愛媛県松山市のお袖狸などのように、大きな能力や神通力を特にもつと考えられた狸は寺社や祠などが造営され、民間からの祭祀や信仰の対象にもなっています。

 

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各地の化け狸と伝承 一覧

狸が化ける話は日本各地に伝わっていて、人に化けた話、寺の僧に化けた話、大入道やのっぺらぼうなどの妖怪に化けた話、狸囃子などといった不思議な音を起こした話などがよく知られています。

特に四国などでは、さまざまな話や霊験など狸に関する伝承が多くあります。

 

大きな勢力をもった名のある狸である、

  • 団三郎(新潟県佐渡島)
  • 芝右衛門(兵庫県淡路島)
  • 太三郎(香川県屋島)

などは、寺社にまつられ信仰の対象ともなっています。

 

文福茶釜(ぶんぶくちゃがま)

狸が化けた茶釜が寺の持ち物となる昔話。群馬県館林市茂林寺の伝説では、狸が守鶴(しゅかく)という僧に化けて七代寺を守り、汲んでも尽きない茶を沸かしたとされている。

狸囃子(たぬきばやし)

日本全国に伝わる音の怪異。深夜になるとどこからともなく、笛や太鼓などの囃子の音が聞こえてくるというもの。

江戸(東京都)では、深夜にどこからともなく太鼓の音が聞こえてくるものを「狸囃子」といった。

 

宗固狸(そうこだぬき)

寺の僧に化けていたが、ある日昼寝をして正体を現した。しかし、長く仕えたというのでその後も給仕をさせていたと伝えられている。茨城県飯沼弘教寺に墓がある。

 

袋下げ(ふくろさげ)

長野県北安曇郡大町(現・大町市)の伝承。タヌキが高い木に登り、通行人目がけて白い袋をぶら下げたという。

 

竹伐狸、竹切狸(たけきりだぬき)

京都府南桑田郡保津村大年(現・亀岡市)に伝わる狸の妖怪。 山の竹藪の中に棲んでおり、竹を切る音を立てて人を化かす古狸。夜が明けてからその竹薮に行っても、竹が切られた痕跡はないというものである。

 

負われ坂(おわれざか)

大阪府南河内郡に伝わる狸の伝承。夜にある坂を通ると「おわれよか、おわれよか」という声がするので、気丈な男が「負うたろか負うたろか」と言うと、松の株太が乗りかかった。家に帰ってナタで割ろうとすると、古狸が正体を顕わして詫びたという。

 

重箱婆(じゅうばこばば)

熊本県玉名郡、宮崎県日向市に伝わる狸の伝承。古狸が重箱を手に持った老女に化けて現れたという。熊本ではさらに重箱婆が「重箱婆じゃ、ご馳走はいらんかえ」と言いながら、人に石のようなものを担がせるという。

赤殿中(あかでんちゅう)

徳島県板野郡堀江村(現・鳴門市)に伝わる狸の伝承。夜中、タヌキが赤いでんちゅう(袖のない半纏)を着た子どもに化けて背負うことをしつこくねだる。仕方なく背負うといかにも嬉しそうな様子で、その人の肩を叩くという。

 

傘差し狸(かささしたぬき)

徳島県三好郡池田町(現・三好市)に伝わる狸の伝承。雨の降る夕方など、傘をさした人に化けて通行人を招く。傘を持ち合わせない人がうっかり傘に入れてもらうと、とんでもない所に連れていかれるという。

 

首吊り狸(くびつりたぬき)

徳島県三好郡箸蔵村湯谷(現・三好市)に伝わる狸の伝承。人を誘い出して首を吊らせるという。

 

小僧狸(こぞうたぬき)

徳島県麻植郡学島村(現・吉野川市)に伝わる狸の伝承。小僧に化けて夜道を行く人を通せんぼし、怒った相手が突き飛ばしたり刀で斬ったりすると、そのたびに数が倍々に増えて一晩中人を化かすという。

 

坊主狸(ぼうずたぬき)

徳島県美馬郡半田町(現・つるぎ町)に伝わる狸の伝承。坊主橋という橋を人が通ると、気づかぬ間に坊主頭にしてしまうという。

 

白徳利(しろどっくり)

徳島県鳴門市撫養町小桑島字日向谷に伝わる狸の伝承。狸が白徳利に化け、人が拾おうとしてもころころ転がって捕まえることができないという。

 

兎狸(うさぎたぬき)

徳島県に伝わる狸の伝承。吉野川沿いの高岡という小さな丘で、ウサギに化けてわざとゆっくりと走り、それを見つけた人は格好の獲物と思って追いかけた挙句、高岡を何度も走り回る羽目になったという。

 

打綿狸(うちわただのき)

香川県に伝わる狸の伝承。普段は綿のかたまりに姿を変えて路傍に転がっているが、人が拾おうとして手を伸ばすと動き出し、天に上ってしまう。

 

阿波狸合戦(あわたぬきがっせん)

江戸時代末期に阿波国(後の徳島県)で起きたというタヌキたちの大戦争の伝説。金長狸合戦(きんちょうたぬきがっせん)ともいう。

 

隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)

伊予国(現・愛媛県)松山に伝わる化け狸。『証城寺の狸囃子』『分福茶釜』と並んで日本三大狸話の一つに数えられる『松山騒動八百八狸物語』に登場する。

 

大かむろ

徳島県や佐渡島に現れ、巨大な顔で人間を脅かすとされる。 人を驚かすことのみが目的であり、直接的な危害を加えることはない。

 

大煙管(おおぎせる)

徳島県三好郡三庄村大字毛田村(現・東みよし町)に伝わる化け狸。 吉野川に青石瀬という難所があり、ここでは破損した舟や筏が臨時に停泊することがあったが、そうしたときに夜更け現れ「煙草をくれ」と言って煙管を突き出す。これに対して煙草を差し出さないと、舟を沈められるなど様々な怪異が起きる。

 

蚊帳吊り狸(かやつりたぬき、かやつりだぬき)

徳島県美馬市(旧美馬郡三島村舞中島)に伝わる妖怪。 寂しい夜道を人が歩いていると、道の真ん中に蚊帳が吊ってある。 蚊帳をまくり上げてみると、その中にはまた蚊帳が吊ってある。 前にも後ろにも蚊帳がある状態となり、先へ進むどころかもとの場所へ戻ることもできず、一晩中その場で右往左往する羽目になってしまう。

 

絹狸(きぬたぬき)

鳥山石燕による『百器徒然袋』に描かれている日本の妖怪。

黄八丈を身にまとい腹ではなく衣を打って音を出す、姿を人に見せることは無い化けタヌキであるとされる 。

 

芝右衛門狸、柴右衛門狸(しばえもんたぬき、しばえもんだぬき)

兵庫県淡路島に伝わる化け狸。佐渡島の団三郎狸、香川県の太三郎狸と並び、日本三名狸に数えられている。

その昔、淡路に芝右衛門という農民がいたが、彼のもとによく老いたタヌキがやって来て残飯を求めていたので、芝右衛門は哀れに思い、わざわざ飯を残してやっていた。

ある日、芝右衛門はタヌキを面白がり「人間にでも化けてみろ」と言うと、タヌキは50歳ほどの人間の姿となり、日に日に芝右衛門のもとを訪れるようになった。そして様々な物語や古事を詳しく聞かせたので、芝右衛門は次第に物知りになり、人々にもてはやされた。

 

芝太郎(しばたろう)

淡路島に伝わる化け狸で、淡路で勢力の高い狸の芝右衛門(しばえもん)の息子にあたる狸。柴助(しばすけ)などとも呼ばれる。

 

高坊主(たかぼうず)

主に四国に伝わる妖怪。 路上に現われて人を脅かす妖怪。徳島の俗信では、麦の穂が出た時期、夕方遅くまで遊んでいると高坊主に化かされるといわれる。香川では途方もなく背の高い坊主で、四辻に現れるという。

 

太三郎狸(たさぶろうたぬき、たさぶろうだぬき)

香川県高松市屋島に伝わる化け狸。 その昔、あるタヌキが矢傷で死にかけたところを平重盛に助けられ、恩義から平家の守護を誓った。その子孫が太三郎狸といわれる。

狸憑き(たぬきつき)

人に憑依するタヌキの霊。四国や佐渡島の他、青森県や岩手県などに伝えられている。 タヌキに憑かれた際の症状は様々だが、よく言われるのは大食になるというものである。腹が膨れるのとは逆に本人は衰弱し、やがて命を落とすという。ほかにも、原因不明の病気や、憂鬱状態や饒舌状態になったり、わけもなく暴力をふるったり性行動に走ったり、腐敗した物を食べるといった異常行動をとるようになるともいう。

 

団三郎狸(だんざぶろうだぬき)

新潟県佐渡郡相川町(現・佐渡市)に伝わる化け狸。淡路島の芝右衛門狸、香川県の太三郎狸と並び、日本三名狸に数えられている。

佐渡のタヌキの総大将。人が夜道を歩いているところに壁のようなものを作り出したり、蜃気楼を出したりして人を化かしたり、木の葉を金に見せかけて買物をしていた。

悪さをするばかりでなく、困った人には金を貸していた。

 

衝立狸(ついたてだぬき)

徳島県美馬郡脇町(現・美馬市)に伝わる化け狸。

脇町から隣りの新町へ向かう途中にある高須という寂しげな場所に現れたという。人が夜道を歩いていると、大きな衝立となって道の真ん中に現れる。大抵の人は足止めをされたことに驚いて引き返すが、強気な人が丹田(臍)に力を込め、構わずに突き進むと、そのまま通り抜けることができるという。

 

日本三名狸

日本各地の民話などに登場する化け狸の中でも有名な3匹の狸。

  • 佐渡団三郎狸(新潟県佐渡島)
  • 淡路芝右衛門狸(兵庫県淡路島)
  • 屋島太三郎(やしまのたさぶろう)狸(香川県屋島)

 

のた坊主(のたぼうず)

上半田(愛知県半田市堀崎町付近)の古狸の妖怪。 人間に化けて、白と黒のだんだら模様のでんちを着て毎年酒蔵に勝手に入ってきて原酒を飲んでいき、のたのたと逃げていく。

 

魔法様(まほうさま)

備前加茂(現在の岡山県)の化け狸として名高い伝説上のタヌキ「キュウモウ狸(キュウモウだぬき)」を牛馬の守護神として祀る信仰。

 

豆狸(まめだぬき)

日本に伝わるタヌキの妖怪。西日本に伝承されているほか、徳島県の豆狸は夜になると山頂に火を灯したといい、それは次の日に必ず雨が降る知らせだったという。

 

茂林寺の釜(もりんじのかま)

松浦静山の随筆『甲子夜話』に登場する化け狸の話である。昔話『分福茶釜』のモデルとされる。 上州(現・群馬県)の茂林寺という寺が僧が愛用している茶釜は、いくら汲んでも湯が尽きないという不思議な釜で、僧侶の集まりがあるときはこの釜で茶を振舞っていた。

 

以上、『日本各地の化け狸一覧と伝承|日本の妖怪』を紹介しました。

1994年7月16日に公開されたスタジオジブリ制作・高畑勲監督のアニメーション映画「平成狸合戦ぽんぽこ」をご覧になったことがある方は、映画に登場した狸と今回ここで紹介した狸が合致するところもあると感じたのではないでしょうか? 巨匠・高畑監督の作った狸の映画はたくさんの伝承を調べて作られた映画だったんですね。

 

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