小笠原諸島(おがさわらしょとう)は、東京都特別区で、南南東約1,000kmの太平洋上にある30余の島々のことです。
総面積は104km2で、南鳥島、沖ノ鳥島を除いて伊豆・小笠原・マリアナ島弧(伊豆・小笠原弧)の一部をなしています。
また、小笠原諸島にある東京都の村である小笠原村(おがさわらむら)は、小笠原諸島の30余りの島々を村域としていますが、一般住民が居住しているのは父島と母島のみとなっています。
人口 は、3049人(2017年10月1日年時点)。
小笠原諸島には、日本の最東端(南鳥島)と最南端(沖ノ鳥島)を含んでいます。
小笠原諸島の豊かで独特な自然の価値が認められ、平成23年6月に「小笠原諸島」が世界自然遺産として登録されました。日本における世界自然遺産は、平成5年に「屋久島」「白神山地」、平成17年に「知床」が登録されており、『小笠原諸島』は4番目の登録となります。
小笠原諸島の構成
西之島・西之島新島 | |
聟(むこ)島列島 | 聟島・鳥島・北之島・中之島・笹魚島・媒(なこうど)島・嫁島・ 前島・後島 |
父島列島 | 弟島・乾島・孫島・兄島・瓢箪(ひょうたん)島・西島・人丸島・ 父島・閂(かんぬき)島・南島・霊岸島・巽(たつみ)島・東島 |
母島列島 | 母島・向島・鰹鳥島・丸島・二子島・平島・北鳥島・姉島・ 南鳥島・妹島・鳥島・野羊島・姪島 |
火山(硫黄)列島 | 北硫黄島・硫黄島・離島・南硫黄島 |
沖ノ鳥島 | |
南鳥島 |
1/20万地勢図 小笠原諸島 (国土地理院)から、島と付くものだけを抽出した。
小笠原諸島の山 一覧
順位 | 名 前 | 標高(m) | 所 在 |
- | 916 | 南硫黄島 | |
1 | 榊ヶ峰 | 792 | 北硫黄島 |
2 | 堺ヶ岳 | 443 | 母島 |
3 | 乳房山 | 423 | 母島 |
4 | 中央山 | 318 | 父島 |
5 | 夜明山 | 308 | 父島 |
6 | 見返山 | 254 | 兄島 |
7 | 菅笠山 | 238 | 兄島 |
8 | 天海山(西岳) | 229 | 弟島 |
9 | 高山 | 229 | 父島 |
10 | 三日月山 | 227 | 父島 |
11 | 広根山 | 191 | 弟島 |
12 | 摺鉢山 | 161 | 硫黄島 |
13 | 屏風山 | 155 | 媒島 |
14 | 野羊山 | 150 | 父島 |
15 | 大山 | 88 | 聟島 |
小笠原諸島への行き方
小笠原諸島への交通手段は船のみです。
父島・母島には空港がなく、船でしか行くことができません。ほぼ週1便の定期船「おがさわら丸」が東京竹芝桟橋から出航しています。
父島へのアクセス
小笠原海運「おがさわら丸」(通称:おが丸)
東京港(竹芝桟橋)と父島(二見港)を結ぶ貨客船。
所要時間24時間、おおむね観光シーズンは 3日に 1便、オフシーズンは 6日に 1便就航)。
片道運賃は等級によって異なり、2万2570円 – 5万6490円、夏期 2万5100円 – 6万2790円)。
母島へのアクセス
伊豆諸島開発「ははじま丸」
父島二見港と母島沖港を結ぶ貨客船。
1日0.5 – 1往復就航(所要時間 2時間、休航日あり)。
おがさわら丸入出港日は接続するダイヤを組む(片道運賃 1等7,560円、 2等3,780円)。
名所・旧跡・観光スポット
名所
- 南島
- 兄島海中公園
観光スポット
- 大村海岸
- 小港海岸
- ジョンビーチ・ジニービーチ
- 三日月山展望台
- ホエールウォッチング、ドルフィンスイム&ウォッチング-父島に観光船あり
- グラスボート、シーカヤック、ウィンドサーフィン
- スクーバダイビング、体験ダイビング、スキンダイビング
- レンタサイクル、レンタバイク、レンタカー
- 釣り(磯釣り、船釣り)
- ツアー
- ケータ島ツアー、母島ツアーなど-父島より
- ジャングルトレッキング、ナイトツアー
- 戦争遺跡と戦跡ツアー
移動手段
父島内
父島には小笠原村営バスが運行されています(東京都シルバーパス使用可)。
他には観光タクシー、レンタカー、レンタルスクーター、レンタサイクルがあります。諸島外から自家用車やバイクを持ち込む場合は貨物扱いとなり、125cc以下のバイクはチッキ(受託手荷物)扱いとなります。
母島内
母島には定期公共交通機関がありません。
レンタカー、レンタルスクーターがありますが、レンタカー、レンタルスクーターの取り扱い店は共に 1軒のみで、それぞれ保有台数は少ないようです。
予約をしておらず、当日朝の先着順で貸し出しを行っています。
その他、島内各地へは有償運送(乗合タクシー)や母島発遊覧・遊漁船が運行しています。
自然
年降水量は1800mm程度でほぼ東京都と同じで、平均気温は23度と亜熱帯性気候に属していますが、湿度が低く乾燥気味です。
小笠原諸島は太平洋上に孤立して動植物に固有種が多く「東洋のガラパ
ゴス」とも呼ばれており、クマバチ、ゲンゴロウ、タマムシ、トンボ、セミ
イトトンボ、アメンボ、などの昆虫にも小笠原の固有種がいます。
小笠原でしか見ることのできない固有種の割合が高いこと、特に陸産貝類(カタツムリの仲間)や植物において、進化の過程がわかる貴重な証拠が残されていることが高く評価されています。
小笠原諸島の歴史
1593年
文禄2年 |
信州深志(松本)の城主小笠原長時の孫、小笠原民部少輔貞頼が発見したとの伝承がある。 |
1669年
寛文9年 |
紀伊国船頭長右衛門などが漂着する。帰還後に下田奉行に報告 する。 |
1675年
延宝3年 |
幕府が第一次江戸幕府巡見使を派遣する。無人と報告する。 |
1827年
文政10年 |
イギリス軍艦が小笠原に到達し、イギリス領を宣言する。 |
1830年
天保元年 |
アメリカ、カナダの白人5人とハワイの先住移民20数人が父島に上陸し、最初の居住者となる。 |
1853年
嘉永6年 |
米国東インド艦隊司令長官ペリー提督が、浦賀に先がけ父島に寄港する。ハワイからの移民を首長に指名し、英米両国間で領有権紛争が発生した。 |
1861年
文久元年 |
幕府、第二次江戸幕府巡見使を送る。翌年、八丈島の農民30人を開拓使として送る。 |
1876年
明治9年 |
関係諸外国の承認を得て、初めて明確に日本領土と認められる。 この年に島庁を設置する。 |
1880年
明治13年 |
東京府の管轄となり、東京府小笠原出張所を設置。 |
1882年
明治15年 |
英・米・カナダ系の住民は、日本に帰化した。 |
1886年
明治19年 |
小笠原出張所を廃止し、父島に小笠原島庁を設置する。 |
1926年
大正15年 |
小笠原島庁は、小笠原支庁と改められる。大村、扇村袋沢村、沖村、北村、硫黄島村の5村での町村制が施行される。 |
1944年
昭和19年 |
約7700人の全居住者が内地に疎開する。アメリカ軍が硫黄島に上陸し、日本軍守備隊2万人が全滅する。 |
1946年
昭和21年 |
米軍の直接統治下におかれ、欧米系の島民129人が帰島する。 |
1951年
昭和26年 |
対日平和条約が調印される。 |
1952年
昭和27年 |
小笠原支庁、及び各村役場が廃止される。 |
1967年
昭和42年 |
11月に佐藤・ジョンソン会談で、小笠原返還についての合意がなされる。 |
1968年
昭和43年 |
4月5日に小笠原返還協定の調印が行われ、6月26日に日本に復帰した。 |
1972年
昭和47年 |
小笠原諸島が国立公園に指定される。 |
1979年
昭和54年 |
小笠原諸島復興特別措置法が、小笠原諸島振興特別措置法に改正される。4月22日に第1回村長及び村会議員選挙を実施。 |
1989年
平成元年 |
3月31日、小笠原諸島振興特別措置法が、小笠原諸島振興開発特別措置法に改正。 |
1996年
平成8年 |
4月1日に地上波テレビ放送局が開局した。 |
2011年
平成23年 |
小笠原諸島がユネスコの世界遺産(自然遺産)に登録される。日本国内の自然遺産は白神山地(青森県・秋田県)、屋久島(鹿児島県)、知床(北海道)に続く4か所目。東京都初の世界遺産であり、唯一の自然遺産でもある。 |
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