雅語(がご)と言うのは、平安時代を中心とする古典の「正しいことば」のことをいい、みやび言葉ともいいます。
日本の古から伝わる美しい言葉 《雅語》は、平安時代に優雅で洗練された上品な言葉として和歌などに使われました。
ここでは、空、星、月など天象 を表す雅語60語を紹介します。
天象の雅語60語 一覧表
- 夜半の月(よわのつき)
夜半に出ている月、季節は秋。夜中に高く昇った月は、澄んだ秋の空に浮かび、静寂な夜の風景を照らし出します。秋の虫の音が響く中、夜半の月が美しい光を放つ様子は、幻想的な雰囲気を醸し出します。 - 月の霜(つきのしも)
月光がさえ渡り地上を白く照らす様子。満月の夜、月光が大地を白く染め上げる光景は、まるで霜が降りたかのように静かで美しい。木々の影が長く伸び、夜の静けさが際立つ時間です。 - 月人壮士(つきひとをとこ)
月を男性に見立てた表現。月の輝きが力強く、美しい男性の姿にたとえられます。満月の夜、その光が大地を照らし出し、月の壮士が夜空を支配しているかのようです。 - 月人(つきひと)
月を人に見立てた表現。月が人間のように親しみを感じさせる存在として描かれます。夜空に浮かぶ月は、まるで語りかけるように穏やかな光を放ちます。 - 月影(げつえい)
月の形、月の姿。夜空に浮かぶ月の姿は、静かな湖面に映り込むこともあり、その美しい影が心を和ませます。月影が映る風景は、詩情あふれる情景です。 - 月華(げっか)
月の光。月の光が大地を優しく照らし、夜の世界を美しく彩ります。月華の輝きは、夜の静けさとともに、心に安らぎをもたらします。 - 月読(つくよみ)
月を神格化した日本神話の神。月読尊(つくよみのみこと)は、夜の守護神として月の光を司ります。月読の神話に思いを馳せながら、夜空を眺めるのも一興です。 - 清光(せいこう)
さえた月の光。澄んだ夜空に輝く月光は、清らかで鮮やかな光を放ちます。清光に照らされた風景は、まるで幻想的な絵画のようです。 - 七星(ななつぼし)
北斗七星のこと。夜空に輝く七つの星が北斗七星を描き、その形が夜空を案内してくれます。北斗七星を見上げると、古代の人々も同じ星を眺めていたことを感じます。 - 三五(さんご)の月
十五夜の満月。十五夜の月は、一年で最も美しいとされ、その輝きが夜空を照らし出します。月見の宴で楽しむ三五の月は、秋の風物詩です。 - 上露(うわつゆ)
草木などの葉の上の露。早朝、草木の葉に輝く露は、夜露が美しい宝石のように見えます。上露の光景は、朝の清々しさを感じさせます。 - 下つ闇(しもつやみ)
陰暦で、月の下旬の夜の闇。月が出ない真っ暗な夜は、下つ闇と呼ばれ、静寂な中で闇が広がります。この時期の闇は、星の輝きを一層際立たせます。 - 下照る(したでる)
樹の下が花などの色で美しく照り映えている様子。春の桜の花が満開の時、花びらが光を受けて輝き、木の下がまるで光のカーテンのように見えます。 - 下露(したつゆ)
木や草から滴り落ちる露。夜露が木の葉から滴り落ちる様子は、静かな夜の風景を描きます。下露が地面に落ちる音が、夜の静けさを一層引き立てます。 - 八重雲(やえぐも)
幾重にも重なる雲。空を覆う八重の雲は、まるで絹の布が重なり合ったように見えます。八重雲が広がる空は、壮大で神秘的な光景を作り出します。 - 夕影(ゆうかげ)
夕方の日の光。夕日が沈む頃、柔らかな光が地上を包み、影が長く伸びる風景は、1日の終わりを告げます。夕影の中、穏やかなひとときを過ごすのは格別です。 - 夕星(ゆうずつ)
金星のこと。夕暮れ時、西の空に輝く金星は、夕星として知られ、その輝きが夜の訪れを告げます。夕星の光は、古代から人々に愛されてきました。 - 夕闇(ゆうやみ)
日没後、月が出るまでの間の暗闇。夕暮れから夜への移ろいの時間、夕闇が広がり、静かな夜が始まります。夕闇の中で聞こえる虫の音は、秋の風情を感じさせます。 - 夕露(ゆうつゆ)
夕方におく露。夕方、草木に宿る露が美しく輝きます。夕露が葉を濡らし、夕日の光に照らされて輝く様子は、静かな美しさを持っています。 - 大属星(だいぞくしょう)
その人の運命を支配するという星。運命を象徴する星は、大属星と呼ばれ、夜空に輝くその光が未来を照らし出します。古代の人々は、この星に希望と不安を託しました。
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