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雅語 - 古来より伝わる日本の言葉一覧

恋にまつわる美しい日本語 150選|恋を彩る古語・和語一覧

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恋にまつわる美しい日本語|恋を彩る古語・和語一覧 雅語 - 古来より伝わる日本の言葉一覧
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2. 恋する心の機微を表す言葉 ―切なさ・ときめき・嫉妬までを語る感情語

恋に落ちたときの「ときめき」、会えない夜の「せつなさ」、思うようにならない「もどかしさ」や「嫉妬」など、恋の感情は複雑で揺れ動きます。古文では、そうした心情を「いとおし」「あはれ」「もの思ふ」など、情緒豊かな語で表現してきました。

  1. もの思ふ(ものおもふ)
    恋の悩みや不安、切なさに心を煩わせること。恋愛における代表的な心情語。
    例:「もの思ふ人の涙はとめがたし」
  2. あはれ
    恋しさ、感動、悲しみなど複雑な感情を一言で表す古語。恋に限らず使われるが、恋情との結びつきが強い。
    例:「あはれなる人の姿かな」
  3. かなし
    悲しみではなく、「いとしい・愛おしい」という意味で使われる古語。
    例:「君かなしと思ふ夜な夜な」
  4. せつなし(切なし)
    恋心が報われず、苦しく、やるせないさま。特に片思いや遠距離の恋に関連する語。
    例:「せつなき思ひぞ胸を焦がす」
  5. 恋し(こひし)
    会いたい気持ちや、離れている人を想う切なさを表す語。
    例:「恋しき人の音を夢に聞く」
  6. まどふ(惑ふ)
    恋の迷いに心が混乱するさま。理性を失い、途方に暮れる状態。
    例:「恋にまどふ心の行方」
  7. 焦がる(こがる)
    恋い慕って胸が焼けつくような思いに駆られること。情熱的な恋心の表現。
    例:「火よりも恋に焦がるる」
  8. 慕ふ(したふ)
    心から相手を恋い慕うこと。忠実で一途な想いに近い。
    例:「慕ひし人の影を追ひて」
  9. 嫉(ねた)し
    相手が他の人に心を寄せていることに対する嫉妬心。
    例:「ねたしと思ふ夜の独り寝」
  10. 恥ぢらふ(はぢらふ)
    恋心を抱く相手に対して恥じらいを見せる様子。奥ゆかしさを感じさせる語。
    例:「恥ぢらひて顔を伏せし姫」
  11. 悩まし(なやまし)
    恋心が募って心が苦しむさま。身体的・精神的苦悩を含意。
    例:「なやましき夢に君あり」
  12. 憂し(うし)
    恋が思うように進まないことへの嘆きやつらさ。
    例:「憂しと見し世を恋ひんとは」
  13. 恨む(うらむ)
    恋人に対して怒りや不満を感じる心。「うらみわび」など、恋歌でも頻出。
    例:「うらみつつ人を見しかな」
  14. 頼もし(たのもし)
    相手への信頼や、愛されている実感がもたらす安心感。
    例:「たのもしき君の文ありて」
  15. うしろめたし
    恋心に対する後ろめたさや、罪の意識。不倫や密通に伴う感情表現。
    例:「うしろめたき恋の行方」
  16. 心づくし(こころづくし)
    気を揉み、あれこれと思い悩む心の働き。恋に限らず用いられるが、恋歌に多く登場。
    例:「秋の夜の心づくしの恋しさよ」
  17. あさまし
    驚きや呆れ、時に落胆を含んだ感情。恋人の裏切りなどに対して使われることも。
    例:「あさましきことを聞きて」
  18. はかなし
    恋の脆さや、儚い期待・関係を表す語。古今和歌集などでも多用される。
    例:「はかなき契りに涙落つ」
  19. すずろ(漫ろ)
    理由もなく心がざわつく様子。恋の始まりに多い感覚。
    例:「すずろなる思ひいでにけり」
  20. うつつなし(現なし)
    現実感がなく、夢中で恋に溺れている状態。
    例:「うつつなき恋に目を覚まさず」
  21. さびし
    恋人に会えない寂しさ、孤独感を表す語。
    例:「さびしき夜の文を待つ」
  22. うらがなし(心悲し)
    心の奥底から悲しみがにじむ様子。単なる「かなしい」より深い感情。
    例:「うらがなしと思ふ秋の夜」
  23. つれなし
    相手の素っ気ない態度、冷淡な様子を表す。
    例:「つれなき風のたよりにも」
  24. よそへ(余所へ)
    相手の関心が他へ向いてしまうこと。恋の疎外感。
    例:「よそへにされたる心地して」
  25. よもすがら
    一晩中、思い悩んで眠れない状態。
    例:「よもすがら恋にまどひぬ」
  26. ふびんなり(不憫なり)
    相手に対して憐れみや同情を感じる心情。恋の道においても使われる。
    例:「ふびんに思ひ給ふる」
  27. ながむ(眺む)
    物思いにふける、遠くを見るふりをして心は恋人を思っている。
    例:「ながむる先に涙こぼるる」
  28. みそかに
    人に知られぬよう密かに思うさま。「忍ぶ恋」に通じる感情表現。
    例:「みそかに恋ふる人の名」
  29. 心苦し
    相手のことを思いやって、自分が苦しむ心情。思慮深い愛情表現。
    例:「心苦しき言の葉を添へて」
  30. あながち
    強引で一途すぎる恋の様子。現代の「しつこい」に近いが、肯定的にも使われる。
    例:「あながちに思ひ定めて」
  31. めづ(愛づ)
    愛しむ、愛おしむという意味。「めでたし」の語源。
    例:「この花をめでし人の面影」
  32. 心ばへ
    相手の心のあり方、思いやり。恋においては相手の誠実さを指すことが多い。
    例:「心ばへの見ゆる言の葉」
  33. おぼつかなし
    はっきりせず不安な気持ち。恋人の安否や心変わりに対する不安。
    例:「おぼつかなしと待つ便り」
  34. 思ひ乱る(おもひみだる)
     恋心で心が乱れ落ち着かないこと。
     例:「思ひ乱るる胸の内かな」

  35. 思ひ惑ふ(おもひまどふ)
     恋に迷い、どうすればよいかわからない心境。
     例:「君を思ひ惑ひて眠られず」

  36. 思ひ余る(おもひあまる)
     想いが抑えきれずに溢れ出すこと。
     例:「思ひ余りて筆をとりぬ」

  37. あだし心(あだしごころ)
     浮気心・不誠実な恋心。
     例:「あだし心を恨みけり」

  38. まめやか(忠やか)
     誠実で一途な心。恋においても「まめなる契り」として用いられる。
     例:「まめやかに契りしことを」

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