感情を表す古語とは、現代語では伝えきれない「心のゆらぎ」や「情緒の機微」を、繊細に表現する日本語の宝石のような存在です。恋のときめき、哀しみの余韻、季節のうつろい──それらはすべて、古語を通して深く美しく語られてきました。
ここでは、「あはれ」「をかし」などの基本語から、「うつろふ」「しのぶ」などの心の動きを表す語まで、6つのカテゴリに分けて詳しくご紹介します。
古文や和歌に触れたい方、国語の学習を深めたい方、日本語の本質を知りたい方へ。
「日本語ってこんなに美しかったんだ」と感じられるはずです。
古語 – 感情や心の移ろいを表す美しい言葉 一覧
1. 美しさや趣(おもむき)を感じさせる古語とは? ― 日本の情緒を彩る言葉たち
古語には、自然の美しさや四季の移ろいを通して、心に深く響く「趣(おもむき)」を表現する言葉が多くあります。「をかし」や「あはれ」といった表現は、単なる「美しい」や「感動した」では言い表せない、日本人独特の繊細な感受性を伝えるのに使われてきました。平安時代の文学作品や和歌の中では、風景や音、香りといった五感を通じて感情を表現する際に、こうした古語が巧みに使われています。これらの言葉を知ることで、古典の文章がより立体的に、情緒豊かに読み解けるようになります。
1. をかし
興味深く趣がある。知的な感動や明るい美しさを表す。
2. あはれ
しみじみと心に響く感情。哀愁や共感を含む。
3. ゆかし
見たい・知りたいという心のひかれ。奥ゆかしい。
4. めづらし
新鮮で感動的。思いがけず素晴らしいときに使う。
5. にほふ
美しく輝く、色や香りが漂うような美しさ。
6. あらまほし
理想的であってほしいという願望を含む表現。
7. こころにくし
奥ゆかしく魅力的。上品さを褒める表現。
8. えもいはず
言葉では言い表せないほどの感動・美しさ。
9. よし
よい・美しい・品があるという多義的な美の表現。
10. ありがたし
めったにないほど素晴らしい。尊さを込めた称賛。
11. いと
「とても」の意味で、強調語として美しさに添える。
12. うるはし
整っていて美しい。調和のとれた美しさ。
13. うつくし
小さくてかわいらしい。愛らしさを含む表現。
14. たふとし
尊くありがたい。神聖さや気高さに対する敬意。
15. うつくしげ
かわいらしそうな様子。見た目の愛らしさを表す。
16. おもしろし
趣深くて楽しい。風情があり楽しめる美しさ。
17. らうたし
愛らしくていとしい。目に入れても痛くないような存在。
18. めでたし
すばらしい。心から称賛したい美しさや出来事。
19. こころよし
心地よく美しい。気持ちの良い風情。
20. きよら
清らかで気品ある美しさ。高貴な雰囲気を持つ語。
21. あてなり
上品で洗練された様子。貴族的な美しさを表す。
22. おとなし
落ち着いていて品がある。大人びた美しさ。
23. つやつやし
つややかで光沢がある美しさ。視覚的な魅力を表す。
24. おぼつかなし
はっきりせず気がかり。美しさと不確かさが交錯。
25. なまめかし
優雅で色っぽい。なまめいた風情がある。
26. つきづきし
似つかわしい。場にふさわしい美しさ。
27. けしきばむ
美しさや感情が外に現れる様子を指す。
28. なつかし
親しみがあって心惹かれる。柔らかく美しい印象。
29. いまめかし
現代風で洗練された。華やかな美しさ。
30. おろかならず
並々ならぬ。美や感動に対して強調する語。
コメント