神格
カンナカムイ
角を持ち、龍の姿をした雷神。
霊場を守る竜神と言われている。
キムナイヌ
「山にいる人」を意味し「山にいる神」ともいわれている。
北海道の大雪山に伝わる伝説によれば、石狩川の奥地の山の斜面に、キムナイヌがいるために泊まってはいけないといわれた土地があった。キムナイヌは足が速い上に力も強く、クマでも何でも追いかけて手掴みにして殺すが、タバコに火をつけて差し出せば、人を殺すようなことはしないという。
山の中でタバコを吸っていると、キムナイヌが寄って来るが、タバコを少しつまみ取って「山の神さんにあげます」と言えば、害を受けることはないという。
キムン・セタ
キムナイヌが連れている山犬。
キムンカムイ
アイヌ語で「山の神」という意味で、熊の神様。
アイヌ民族がヒグマを山の神として崇めていたことに由来する。
カパトトノマト
天に住んでいるコウモリの女神。
ホヤウカムイ
翼を持った蛇。蛇神。名前は「蛇の神」を意味する。
全身が薄い墨色で目と口の周りが朱色、俵のような胴体で頭と尾が細く、鋭く尖った鼻先で鑿のように大木を引き裂き、切り倒すと伝えられる。
日高地方西部の湖沼に棲んでいるといわれ、日高の川筋には必ずどこかにいたという。ひどい悪臭を放っており、この体臭に触れた草木は枯れ果て、人間がホヤウカムイの居場所の風下にいると体毛が抜け落ちたり、皮膚が腫れ上がり、近づきすぎると皮膚が焼け爛れて死ぬことすらあるともいう。
キラウシカムイ
アイヌ語で「鹿の角を有する神」という意味を持つ雷を司るといわれる神。
世界が出来た時、人間に幸せを授けるために天の神が「キラウシカムイ」を使わせたが、
功績を独り占めしようとした為に、罰として地下世界へ落とされ死亡したという。
落下した場所が有珠山の噴火口だといわれる。
チロンノップカムイ
アイヌに伝わる狐神。
「チロンノップ」は「狐」、「カムイ」は「神」を意味する。
「ウパシチロンノップカムイ」で「白毛の狐神」、
「クンネチロンノップカムイ」で「黒毛の狐神」、
「チロンノップカムイ」で「赤毛の狐神」となる。
白狐が一番位の高い神で、次が黒狐、赤狐の順となる。
アイヌの世界ではキツネの頭は人を守ってくれる守護神。
ミンツチ
アイヌに伝わる半人半獣の霊的存在で河童に類する妖怪ともいわれる。
漁の神ともいわれている。
背格好は3歳から12,13歳の人間の子供と同程度で、頭には髪があって河童のような皿はなく、肌の色は紫か赤に近く、足型は鳥か鎌の形に似ている。両腕が体内でつながっており、片腕を引っ張ると両腕ともに抜けてしまうという。
石狩川では頭が禿げて男女の区別があるもの、十勝平野東部の池田町では小さな老婆だか老爺だかわからない姿で、ときどき「フンッ」という大きな音をたてるという。
ミントゥチは魚族を支配する神でもあり、漁師たちに漁運を授けるが、それと引き換えに水死者の犠牲も増えるという。
石狩地方ではミントゥチが魚をたくさん捕らせてくれたが、その代わり毎年必ず何人かを殺すので、人々が日高の静内(現・新ひだか町)のほうへ移って欲しいと頼んだところ、水死者はなくなったが、魚も捕れなくなったという。
山の狩猟で獲物をもたらすものとも信じられている。ミントゥチが若者に化けて若い娘のいる家に婿入りし、その家に猟運や幸をもたらすともいうが、怒らせるとその地域一帯の食料の霊を一緒にさらって行ってしまうという、恐ろしい面もある。
旭川や沙流川では、ミントゥチが人を守護するという話もある。
レタル・カムイ
日高山脈に住む白熊の姿をした神。
レタル・セタ・カムイ
日高山脈の幌尻(ぽろしり:大きな山)岳の白い狼神。
ラプスカムイ
中川郡豊頃町十弗(とうふつ)の村に住む怪鳥。
その鳥を吹き通してくる風を受けると、病む、或いは死ぬなどの災いを被る。
以上、北海道アイヌの妖怪一覧を紹介しました。
北海道地方のアイヌ伝承の妖怪も本州の妖怪も似たものがたくさんいるように思えます。
海に登場する大型の怪物などとても北海道らしいのではないでしょうか。
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