桜の季節に桜を使って恋を歌った和歌を紹介します。 相手を思って歌った切ない歌が多いのですが、どれも情景が浮かぶような素敵な和歌です。
有名な歌人・歌も結構あるので楽しめる15選になっていると思います。
昔の情景を想像しながら詠んでみて下さい。
『桜と恋』の和歌15選
1.在原業平
世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
2.小野小町
思ひつつ寝ればや人の見えつらむ夢と知りせば目覚めざらましを
3.凡河内
春の夜の闇はあやなし梅の花色こそ見えね香やはかくるる
4.紀貫之
山桜霞の間よりほのかにも見てし人こそ恋しかりけれ
“山桜が霞の間からほのかに見えるように
ほのかに姿を見たあなたが恋しいことだ”
5.元良親王
花の色は昔ながらに見し人の心のみこそうつろひにけれ
“桜花の色は昔のままなのに、その花を共に見た人の心は
変わってしまったのだね”
6.紀友則
春霞たなびく山の桜花見れどもあかぬ君にもあるかな
“春霞がたなびく山の桜のように、いくら見ても見飽きる
事のない君であることよ”
7.柿本人麻呂・万葉集
冬こもり 春咲く花を 手折(たを)り持ち 千(ち)たびの限り 恋ひわたるかも
春に咲く花を、手折り持って、何度も何度も、あなたのことを恋し続けるのです。
8.若宮年魚麿
去年 (こぞ) の春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎へけらしも
“去年の春にお会いしたあなたを恋しく思って
桜は今年も花を咲かせて迎えているようですね”
9.山部宿禰赤人・万葉集
あしひきの山桜花 日並べて かく咲きたらば いと恋ひめやも
もしも山の桜が何日も咲いていたら、こんなに恋しいとは思わないでしょうに。
すぐに散ってしまうからこそ、こんなに恋しいのだ。
10.壹岐守板氏安麻呂・万葉集
春なれば うべも咲きたる 梅の花 君を思ふと 夜寐(よい)も寝なくに
春になったので梅の花が咲くのも当然ですね。
あなたのことを思うと、夜も寝られないです。
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