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百人一首『恋の歌』43句一覧と現代語訳|美しい日本の和言葉

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百人一首『恋の歌』一覧と現代語訳|美しい日本の和言葉
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百人一首の中から恋の歌を紹介していきます。

最近、百人一首の美しい歌に注目が集まっているようです。競技かるたで話題の映画『ちはやふる』は、漫画が原作でアニメにもなっていますが、この『ちはやふる』でも百人一首の恋の歌について触れています。

日本の美しい古語は度々取り上げられ、日本人らしい洗練された文化を思い出させてくれます。

『ちはやふる』の他にも名探偵コナン「から紅の恋歌」の映画でも百人一首が取り上げられています。

映画ののラストシーンで蘭が新一に送った百人一首

『めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲隠れにし 夜半の月かな』

訳:久しぶりにあなたに会えたのに、あなたかどうかわからないうちに、夜半の月が雲間に隠れてしまうように帰ってしまった。

それに対して新一が蘭に送った歌が第七十七首 崇徳院の

『瀬を早み 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ』

訳:愛しいあの人と今は別れていてもいつかきっと再開できるさ

という歌です。

古い歌ですが今聞いても新鮮で美しく感じ、情景が頭の中で浮かび上がって来るほどのインパクトがあります。

これらの素敵な恋の歌は百人一首の中に43首あり、中には切ない片思いの歌もあります。

ここでは、昔の人が歌った甘く切ない歌『恋の歌』を紹介していきます。

 

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百人一首『恋の歌』43句一覧

 

第三首 柿本人磨 【拾遺集】

あしひきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む

 

『山鳥の長く垂れ下がっている尾のような、長い長い夜を今宵も独りで寝るのかなぁ』

 

【足引きの】:山、峯 にかかる枕詞
【しだり尾】:長く垂れ下がっている尾

 

第十三首 陽成院 【後撰集】

筑波嶺の 峰より落つる 男女川 恋ぞ積もりて 淵となりぬる

 

『筑波山の峰より流れる男女川も、やがては大きな川となり淵ができるように、恋しいあなたへの想いも積もり、やがては淵となってしまいます』

 

【筑波嶺】筑波の山
【男女川(みなのがわ)】筑波山の峰から流れる川

 

第十三首 河原左大臣 【古今集】

陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに

 

『しのぶもぢずりの布のように、誰かのために心を乱すようなわたしではないのに、あなたの事を想うとわたしの心は乱れはじめる』

 

【陸奥(みちのく)】東北地方。
【しのぶもぢずり】福島地方にある乱れ模様に染めた布のこと
【乱れそめにし】乱れはじめる
【ならなくに】~ではないのに

 

第十八首 藤原敏行朝臣 【古今集】

住の江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひぢ 人目避くらむ

 

『入り江の岸には、夜でも波は打ち寄せてきているのに、あなたは夢の中でさえ人目を気にして私を避けているのか』

 

第十九首 伊 勢 【新古今集】

難波潟 短き葦の ふしの間も 逢はでこの世を 過ぐしてよとや

 

『難波潟に生えている短い葦の節の間ほどの少しの時間でさえも あなたに逢わないで、この世を過ごせと言うのか』

 

第二十首 元良親王 【後撰集】

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても 逢はむとぞ思ふ

 

『(二人の中が皆に知れてしまって)辛くて寂しい今となっては、
逢わなくても、逢っても、もう同じ事 難波の澪標ではないけれど、この身を尽くしてわたしはあなたに逢いに行くつもりです』

 

【わびぬれば】辛くて寂しい
【今はたおなじ】もはや同じ事
【みをつくし:澪標】水路などにある船が往来の目印にする杭。「身を尽くし」と掛けて用いられる。

 

第二十一首 素性法師 【古今集】

今来むと 言ひしばかりに ながつきの 有明の月を 待ち出でつるかな

 

『あなたがすぐに来ると言っていたから、九月の長い夜にあなたを待ち続けたら、
とうとう、夜明けの月に出会ってしまった』

 

ながつき【長月】陰暦九月の称。
有明【ありあけ】陰暦の十六日以後で、空にまだ月があるのに夜が明けること

 

第二十五首 三条右大臣(藤原定方) 【後撰集】

名にしおはば 相坂山の さねかずら 人にしられで くるもよしかな

 

『相坂山がその名の言葉を持っているなら、さねかずらのつるをたぐれば、人に知られずにあなたに逢いに行けるだろうか』

 

【相坂山】逢坂山(逢う)
【名にしおはば】名として持っているなら
【さねかずら】つる草の名
【くる】たぐる

 

第二十七首 中納言兼輔(藤原兼輔) 【新古今集】

みかの原 わきて流るる いづみ川 いつみきとてか 恋しかるらむ

 

『みかの原を分けて流れるいづみ川。その”いつ”ではないけれど、あなたの姿をいつ見た
のかと恋しく思ってしまう』

【いづみ川/ いつみきとてか】「いづみ」と「いつ見」を掛けている

 

第三十首 壬生忠岑 【古今集】

有明の つれなく見えし 別れより あかつきばかり うきものはなし

 

『あなたと別れたあの時も、無情な夜明けの月がありましたが、今でも有明の月がかかる夜明けほどつらいものはありません。』

 

【有明】夜明け
【つれなし】無情
【うき】辛い

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