伝統生活

【8月といえば】日本の伝統行事・食べ物・風物詩【歳時記】

【8月といえば】日本の伝統行事・食べ物・風物詩【歳時記】 伝統
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歳時記 八月

8月は、別名 葉月と言われます。葉月(はづき)は、月に生えている桂樹(仙木)の葉がこのころ紅葉し、そのため月光が明るくなるという伝説から生まれた名。

また、「葉月」は「稲穂」がしげる「穂張り月」。稲の穂が成熟してたれてくる月です。

木々の葉がそろそろ散り落ちる頃なので「葉落月」が転じた(『奥義抄』)とか雁が初めて渡ってくる月、「初来(はつき)月」(『類聚名物考』)ともいわれます。

 

8月の異名・異称

葉月(はづき)
仲秋(ちゅうしゅう)
盛秋(せいしゅう)
清秋(せいしゅう)
清月(せいげつ)
桂月(けいげつ)
燕去月(つばめさりづき)
月見月(つきみづき)
仲商(ちゅうしょう)
染色月(そめいろづき)
素月(そげつ)
草津月(くさつづき)
木染月・濃染月・紅染月(こぞめづき)
雁来月(がんらいづき)
秋風月(あきかぜづき)
萩月(はぎづき)
桂秋(けいしゅう)
田の実(たのむ)
建酉月(けんゆうげつ)
唐月(もろこしつき)
秋高(しゅうこう)

さらに詳しく
『月名の雅語・古語』一覧 |陰暦の名称・別名・異名・異称

 

8月の風物詩・行事・食べ物

  八朔

“朔”の字は「欠けた月が戻る」の意でめでたい吉日と考えられていました。旧暦の八月一日は「八朔」といって早稲米の初穂を刈って神にささげ、 近づく台風の季節を無事にのりきって、豊作を期待する「作だのみ」をする日です。「田の実(田面)の節供」(たのむのせっく)ともいわれ、この日は五節供に次ぐ嘉日とされていました。

稲の豊作を願う行事が各地でみられます。虫送りの時期は様々ですが、この時期に虫祈祷や虫送りをし、害虫の被害から守るための祈願をする場合もあるようです。また、八朔には祓いの行事もあって、例えば、八朔を馬節供、雛節供といって初節供のある家では人形や馬の形を団子やシンコ細工でつくる地方もあるそうです。

八朔休みともいい、この日から昼寝をやめ、夜なべ仕事が始まりました。

「今日(八月一日)を田のみという事は、田にできたる米を人々の方へ遣し始めしよりおこれり」

とあり、古くは平安時代からあった風習です。こうした農民の習慣が、武家にも伝わり、鎌倉時代には八朔の贈答という習慣がありました。室町時代には、贈物は太刀や馬に変化し、主従関係や縁故関係を確認するためにが頼み合う「田の実」節供となっていきました。

江戸時代には、八月朔日が徳川家康の江戸入城の日だったこともあり、幕府では正月とともに特に重んじて、八朔御祝儀の日としました。天正18年(1590)の八朔に徳川家康が駿河から始めて江戸城に移った日、家康は白装束に身を固め、半分水没している城の真ん中に立ち、天下の統一を心に誓ったことにちなみ、白惟子に身をかためた諸侯が登城して列席するならわしとなっていました。またこの日は大奥でも白惟子に付帯姿で、『幕府年中行事歌合』には「ゆたかなる秋をたのむの祝ひとや袖にも雪の色をみすらん」という八朔参賀の歌が載せられています。

 

秋の雪

吉原紋日(※)の八朔には、秋の雪、里の雪、八朔の雪等の異称があります。

これは八月朔日に、吉原の遊女が揃って白無垢を着ることで、この起こりを『異本洞房語園』では「寛文の頃、新町宗玉が家の夕霧」として、「一年八朔に怪しからず寒き事有りしに、他の女郎は袷を着したるに、夕霧は寒き折から、相応に白小袖を着したり。夫故、外の遊女より見分よく見えたり」といい、『東都歳事記』では「元禄の頃江戸町一丁目巴屋源右衛門が家の高橋」として、「其頃瘧おこりを煩らいけるが、なじみの客来りし時、打ふし居たりし白無垢の壗にて、揚屋入しける風の艶なるに、万客思いをなやましけるが、これより移りて年々八朔に、白無垢を着る事になれりといえり」しています。

『新吉原年中行事』には、「此日中の丁へ出る女郎は、皆々上着まで白無垢を着す、故事なり」と新吉原では、太夫たちが白無垢の小袖を着て仲ノ町へ道中をするならわしが守られていたことが書かれています。

この日祇園では、舞妓さんや芸妓さんが、日頃お世話になっている芸事の師匠やお茶屋に挨拶にまわります。

午前中、花見小路や新橋界隈で、黒紋付きの衣装の舞妓、芸妓さんに会えるかもしれませんね。

 

紋日

「紋日は小袖の紋は五ケ所なれば、五節句を小袖の紋になぞらへて、節句祝日を紋日と云。吉原にては紋日を略してモノ日と云。紋日といふは京都の言葉なり」(『増補洞房語園』)

紋日は、世間で祝われる五節句や祭の日と、遊里独特の祝日とを結びつけたもので、「物日」とも「紋日」ともいいました。また、正月は朔日から七日までと、同十四日・十五日・二十日が祝日で、合せると十日間あることから、九の字に一点を加えて紋日を「丸の日」ともいいました。古くは正月に限っていったましたが、享保頃には、五節句紋日はいずれも「丸の日」というようになりました。

また京都の揚屋では「庭せん」というものがあり、正月・三月・五月・七月・九月の五節句を約束している時には、「此日は値を一倍の算用立て安仁より申請る」とあり、揚代金が平常の倍となる決まりでした。

この紋日は、一月から十二月までの各月に、多い月で十日間、少ない月で五日間設けられており、大紋日は、年中行事に結びつくようになっていました。紋日に当れば、否応なく揚代金をいつもの倍は払わなければならないという、揚屋にとって好都合の習慣であるため、新しい紋日が次々と設定され、最も多い享保13年(1728)には、九十余日間もありました。

紋日に客のつかない遊女は、身揚り(客の分を自分が負担する)をする掟となっていたため、馴染客をつくり、紋日を仕舞ってもらうために必死の工作をしなければなりませんでした。また紋日にほ、盛装をしなければならず、正月の晴着や八朔の白無垢などの衣裳代も、馴染客の負担となるため、遊客の足が遠のき寛政改革を機に、高くつく紋日を減らそうと、一年に十八日と極端に少なくしました。しかし、この時、揚代金の改制も行なわれ、事実は以前よりも高値となったということです。

 

地蔵盆

京都では、大文字の送り火も済んで、朝夕の風に秋の気配が少し感じられるようになってくる8月24日前後(お地蔵さんの縁日)に各町内の地藏さんの前や店先・ガレージなどに縁台をつくって「地蔵盆」という催しをします。

地蔵菩薩は、「地蔵和讃」にあるように、小さい子供が死ぬと親不孝者と云われて三途の川の川縁(賽の河原)で、石を積んでは父母を回向する幼い子供たちを、地獄の鬼から守ってくださる子供の守り手としても信仰され、お地蔵様の縁日にあたる24日を中心に、子供たちのための行事を行う慣習が、江戸時代あたりから根付いていったようです。

地蔵盆では、お寺さんが来てお経をあげたり、大勢で輪になって直径数メートルもある大きな数珠を念仏を唱えながら回していく「数珠回し」とかいった儀式もありますが、主役は子供で、子供らは一日中お菓子には不自由しないというイベントです。大人向けにも福引きとか盆踊りとか行うところもあって、このお地蔵さんをかこんで、大人も子供も仏さまと一緒に夏の終わりのひとときを過ごすのが、この「地蔵盆」です。

あれだけうるさかった蝉の声もいつのまにか聞こえなくなって、入れ替わるようにすだく虫の音がゆく夏(夏休み)を感じさせて、ちょっともの悲さを感じるころでもあります。

 

地蔵菩薩

地蔵菩薩の本来の名は「クシティガルバ」。クシティは地、ガルバは胎、子宮を意味し、大地を包蔵すると云う意味で、空を象徴する虚空蔵菩薩に対して、地蔵菩薩は地を象徴し「大地を母胎とする者」という漢訳です。

『地蔵十輪経』『地蔵本願経』『占察善悪業報経』が地蔵三教と云われ、『十輪経』『本願経』には、地蔵は釈迦入滅後弥勒が出現するまで56億7千万年の間、六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天)輪廻する衆生を救う任を持つと説かれています。

また『本願経』には地蔵は閻魔の本身であるとされ、この諸説により六道の入口には地蔵が立ち衆生を教化すると考えられ、六地蔵が生まれました。

『覚禅鈔』には大定智悲(だいじょうちひ)・大徳清浄(だいとくしょうじょう)・大光明(だいこうみょう)・清浄無垢(しょうじょうむく)・大清浄(だいしょうじょう)・大堅固(だいけんご)地蔵がそれぞれ地獄、餓鬼、畜生、修羅、人、天で教化に当たるとされていますが諸説があります。

日本では、この六道の辻に立つ仏さまには、その性格から道祖神の要素が混同されました。

道祖神は村の境界に建てられ、結界を掛けて外部から邪悪なものが入ってくるのを防ぐ神なのですが、鬼の世界と人間の世界の両方に存在できる地蔵菩薩は、人々を護る仏さまとしてこの結界を作る働きも担っているようです。地蔵は鎮魂の場所にも建てられますが、悲しいことが起きた場所に置かれたお地蔵さんは、それは亡くなった人に安らかに成仏して下さいと願う祈りが込められているとともに、裏を返せば、こちらの世界に戻って来ては駄目だよ、という結界の意味もあるのです。

一般に童子の姿の地蔵と僧形の地蔵がありますが歴史的には僧形のものが古い形で、左手に宝珠を捧げ、右手を施無畏印、また錫杖をります。童子の形の地蔵は、民間信仰と混交して、だいたい12世紀ころから出てきたとされ、賽の河原で死んだ子供を救う子安地蔵・水子地蔵や、延命地蔵・腹帯地蔵・子育地蔵・片目地蔵などの様々な身替わり地蔵も造られ、菩薩としての本身ではなく衆生を救う応化身の姿で表されるようになっていきました。

 

炎天(えんてん)

真夏の太陽がギラギラと照りつける大空のこと。直射日光が焼け付く感じでいたたまれない感じ。歩く人も途絶えて静かさを感じさせることも。1日中でもっとも暑いころは日盛り。鈍よりと曇った風もなく暑くて汗がにじみでる不快指数が高い日中は油照りともいいます。

 

立秋(りっしゅう)

8月8日は二十四節気の一つ、立秋に当たります。まだまだ暑い盛りですが、暦の上ではこの日から初めて秋の気配が現れてきます。日中は猛暑でも朝晩の涼しさや鈴虫やひぐらしの声が聞こえ始めてくると、確実に秋の気配を感じ始めます。

 

残暑(ざんしょ)

立秋になってからの暑さを残暑と言います。また、この日から暑中見舞も残暑見舞に変わります。この頃になると真夏の暑さも炎天下での灼けつくような日差しになり、午後の人通りもぱったりと途絶えるほどです。秋風の立つお盆過ぎまでこの暑さが続きます。

 

百物語(ひゃくものがたり)

夏の夜の暑さをしのぐのが怪談話。その怪談の話を始まる前に夕刻から百の灯りをともし、話が終わるごとに灯りを一つ一つと消していき、ちょうどうしみつ時の午前2時過ぎに百の話が終わると妖怪が現れると信じられた怪談会です。落語でも夏の定番のように語られた話ですが、実行するにはちょっと勇気がいります。

 

打ち水(うちみず)

炎天下の日には涼を求めて門前や庭、路上などに夕方には水まきをします。
水がまかれた後を渡る風に清涼感を求めました。また、路上や草木の濡れる姿には見た目での涼しさを感じさせます。

 

水中花(すいちゅうか)

水の入ったコップに入れると花のように開きます。木などを薄く削って彩色したもので、夜店や雑貨屋などで販売されていました。今ではほとんど見られなくなりましたが、インターネットで通販している業者もおり、まだまだ人気があります。江戸時代から酒席で杯などに浮かべる酒中花という水中花もありました。

 

風鈴(ふうりん)

小さい釣り鐘のスズ。中国から伝来して、大衆化しました。軒先などに吊るして風に吹かれて鳴る音色を楽しみながら涼を感じさせます。昔の東京では風鈴売りの姿は、まさに夏の風物詩そのもの。今でも3年ぐらい前には歌舞伎町あたりでも大きな枠にたくさんの風鈴を付けて、売り歩く人がいました。お盆近くになると東京から移動して札幌で売るそうです。

 

冷やし中華(ひやしちゅうか)

この季節にはラーメンに代わって登場するのが冷やし中華。これは「冷やし中華そば」の略で日本で考案されたものです。ルーツは昭和12年に仙台市内の中華料理店組合がつくったものだといわれます。

 

お盆

8月が来るとやはり大事な日がお盆。終戦記念日と重なり、人々は祖先を供養します。このお盆の時期は旧暦7月13日~16日に行いましたが、今では新暦を採用してからもそのままの7月と月遅れの8月に行う地域に分かれています。正式には「盂蘭盆(うらぼん)」といい、古代のインド語の一つであるサンスクリット語の「ウラバンナ」を漢字にあてはめた言葉です。
仏壇に供えるキュウリの馬は、これに乗って早くこの世にもどり、ナスの牛に乗ってゆっくりと戻ってほしいという願いが込められています。
また、あの世に帰る祖先を送るのが送り火。京都の大文字送り火が代表的ですが、盆踊りや精霊流しなども同じように送る行事の一つです。

 

送火(おくりび)

盂蘭盆会の精霊を迎える迎火の逆に最終日に送り出すのが送火。京都での8月16日に行われる送火が有名です。この日は東山如意ヶ嶽の「大文字」が有名ですが、他にも「妙法」、「船形」、「左大文字」、「鳥居形」の五山に火が点じられ30分ほど市内から見渡すことができます。

 

盆踊(ぼんおどり)

お盆になると、町中にやぐらが組まれて盆踊が始まります。これは盆に招かれた精霊を慰めて、送り出す踊りとして考えられ、また無縁仏の霊も追払います。
ですが今では郷土の祭りとして阿波踊りのように全国的にも知られた観光用の祭りにもなってしまいました。

 

涼風(すずかぜ)

晩夏に吹く心地よい風。ひそやかに秋の訪れを告げます。この頃になると日本を覆っていた太平洋高気圧も後退し、夏の終わりを感じる頃です。

 

土用波(どようなみ) 

の巨大波は「うねり」から始まります。このうねりの代表的な波が「土用波」。
毎年、土用の時期の7月20日から8月7日頃になると1千キロも離れたフィリピン近海に発生した台風の暴風が波浪になりうねりがそのまま日本の海岸までに届き土用波となります。また、その時に届いたうねりが岩や岩壁で白く波を上げて砕けると、発生するのが海鳴りです。土用波が届く頃になると海水浴を控えたり、晴天でも遊泳禁止になるなど、波に警戒しました。別名「台風から届く最初の手紙」とも言われるうねりと海鳴りが、日増しに強くなると台風が日本近海に近づいていると悟りました。
この時期に海に風がなく穏やかになることを「土用凪(どようなぎ)」といいます。

 

処暑(しょしょ)

8月の23日は二十四節気のひとつ、処暑に当たります。夏の蒸し暑さが峠を越し、後退しはじめ暑さが収まる頃の意味合いです。昼間はまだまだ暑い日が続きますが、朝晩は確実に涼しくなってきます。また、草むらの虫たちも鳴き始め、夕方にはヒグラシの声も聞こえ、確実に秋の気配が感じられてきます。

 

夏の果て(なつのはて)

過ぎ去っていく夏の哀惜の念が込められている言葉です。同様の季語としては「夏終る」「暮の夏」「夏惜しむ」「夏の別れ」などがあります。夏は祭りなどにお盆休みでの帰省、夏休みなど行事が多く思い出の多い季節。暑さの盛りが過ぎて行く夏を惜しむ気持ちは、子供の頃から感じるものです。

コーロギ

お盆が過ぎる頃に鳴き始めるのがコオロギ。人里近くに住み、一番多く聞こえます。
日本人は古くから虫の声に美を感じ、耳をそば立ててきました。江戸時代には縁日で虫かごに入れて売られ、音色を楽しんだそうです。真夏ではコオロギは昼間が暑いので夜に鳴きますが、秋になると昼も夜も鳴き、晩秋になると気温が下がるので夜は鳴かなくなりかろうじて昼間だけになります。この鳴き声はオスがメスに対する求愛の鳴き声であり、まさに鳴き続ける姿は情熱的です。
意外ですが虫の鳴き声は、欧米人には雑音に聞こえると言います。日本人に生れてきたからこそ虫たちの声の競演を楽しんでみませんか。

8月のキーワード

【自然】
天の川、立秋、流星、不知火、土用波、油照り、積乱雲、早冷、入道雲、処暑、赤潮、驟雨、雷

 

【暮らし】
蚊・ゴキブリの退治、暑中見舞の整理、残暑見舞状、ふとんの手入れ、住所の訂正、秋じたく、新学期の準備、主婦の夏休み、台風シーズンに備えて雨具の手入れ、アクセサリーの手入れ

 

【健康】
食中毒、日本脳炎、皮膚病(水虫・たむし・あせも・とびひ)、日射病、熱射病、日光浴、夏カゼ、寝冷え、冷房病、夏バテ対策、低血圧、日焼け対策、ジョギング

 

【花】
きょうちくとう、さるすべり、すすき、あさがお、おみなえし、はぎ、くず、へちま、もろこし、つゆくさ、ほうせんか、まつばぼたん、グラジオラス、カンナ

 

【園芸】
種蒔き、真夏のバラの手入れ、庭木の台風対策、さし木、株分け、水やり、鉢花・洋蘭・観葉植物の日照と施肥、増し土、キクの手入れ、家庭菜園

 

【季語 】
立秋、残暑、新涼、星月夜、天の川、初嵐、稲妻、芙蓉、朝顔、稲の花、つくつく法師

 

【誕生石】
ペリドット(幸福、和合)

 

【誕生花】
朝顔(明日もさわやか)、露草(尊敬)、千日草(普遍の愛)

 

【時候の挨拶】
晩夏、暮夏、残暑、初秋、秋暑、立秋、夏草、朝顔、蝉しぐれ
虫の音、ひまわり、雲の峰、線香花火

8月の旬【魚】

【かます】
旬は晩夏から秋で、塩焼きが最高の味である。天ぷら、フライにも向くが、一夜干し、あるいは数日干したものは、水分がなくなり、肉の中のタンパク質に弾力性が増し、美味である。

【鶏魚(いさき)】
たかべと共に夏を代表する魚。伊豆から房州にかけてよくとれる。大型ほど脂がのり、おいしく、刺身か塩焼きにするのが旨い。洗い、煮付け、バター焼きなどもよい。

【太刀魚(たちうお)】
脂ののってくる秋にかけてが旬。名前からもわかるようにその姿は太刀そのもの。
関西方面では夏の魚として珍重される。

【蛸(たこ)】
旬は夏から秋にかけて。地域によって冬ダコと呼ばれ、冬が旬となるものもある。
煮物を作るときは、とろ火でことことと差し水をしながら長時間煮込み、柔らかくなってから味を整える。塩や砂糖をはじめから入れすぎると、かたくなるので注意する。

【高部(たかべ)】
初夏から盛夏が旬で、脂が一番のっている。身がやわらかで、焼き魚のさっぱりした味にはファンが多い。煮付けたり、蒸してもおいしい。伊豆七島のものが絶品。

8月の旬【野菜】

【トマト】
7月~8月に出回る路地ものは味も濃く、自然の香りがあっておいしい。ただし、完熟トマトは痛みやすいので注意する。ビタミンAを多く含み、生で食べればビタミンCも豊富。特に路地ものがハウス栽培ものの3倍も含んでいる。また、トマトの酸味や香りは肉類の油のしつこさや臭みを和らげてくれるので、一緒に料理するとよい。

【茗荷(みょうが)】
夏ミョウガは6月~7月、秋ミョウガは8月~10月が旬。独特の芳香と風味がある。
刻んで水にさらし、麺類や味噌汁の薬味にすれば、シャキっとした歯ざわりでおいしい。

【なす】
1年中出ているが、出荷量が多く、味がよいのは6月~10月。ナス自体にはとりたてて栄養がないが、油をよく吸収する特性を持ち、その上、油と相性がよく脂っこくならない。そのため植物油と一緒に調理すると、リノール酸やビタミンEをたっぷりとることができる。

【蒜(にんにく)】
香辛料として1年中使われるが、7月~9月に新物が出る。醤油に漬けておくと香りがやわらぎ、醤油も香りが付いて調理に使える。疲労回復などに効果的だが、毎日とる人は1日1粒以内にとどめた方がよいとされる。

【冬瓜(とうがん)】
旬は夏。水気が多く、淡白な味が特徴で、あんかけ、肉詰め料理や中国料理には欠かせない。利尿、便通、水腫などに効能があるといわれている。10度前後のところで長く貯蔵でき、日かげで風通しのよいところに置いておけば、冬まで保存
できる。

【干瓢(かんぴょう)】
カンピョウは夕顔の果肉を切って竿にかけ、さらしながら乾燥させたもの。炭水化物、タンパク質、脂肪、無機質を含んでおり、利尿作用、解毒作用があるといわれている。調理は、ぬるま湯につけて戻し、出し汁で煮込んで、柔らかくなったところで味付ける。

8月の旬【果物】

【ぶどう】
巨峰は8月~9月にかけて甘みも増しておいしくなる。デラウェアは比較的早い時期から出回る。品種によって糖と酸の割合は異なってくるが、ブドウ糖や果糖などを多く含んでいるため甘みが強く、疲労回復に効果がある。

【梨】
日本梨は盛夏から出回り、新水、幸水、豊水、長十郎、二十世紀、新高と品種を変えて翌年1月頃まで出回る。最近では、甘みの強さと果汁の多さで長十郎をしのぐ、三水といわれる幸水、新水、豊水の人気が高い。西洋梨では、ラ・フランスが最もおいしいといわれている。

【無花果(いちじく)】
夏果は6月~7月、秋果は8月~10月に出回る。イチジクは薬用効果として整腸作用、血圧降下、健胃、滋養、消化促進などの効き目があり、二日酔いにも効果的。

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