「胃炎」「胃潰瘍」「胃痙攣」など食事や生活習慣などてすぐに症状が現れる胃の病気ですが、これらの他にどんな病気があるのか知っていますか?
ここでは早期発見の一環として病気の名称、症状を一覧にまとめましたので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
胃の病気一覧 名称と種類と症状
名称 | 説明 | |
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1 | ヘリコバクター・ピロリ感染症 | ピロリ菌とはヘリコバクター・ピロリと呼ばれる細菌で、胃液を中和する酵素を発生させ胃の内部に生息しています。
ピロリ菌が胃に感染した場合、初期には胃炎や下痢を引き起こします。 ピロリ菌は世界で40~50%の人が感染しているとさています。 |
2 | 胃アトニー | 胃アトニーとは、胃壁の筋肉が低下し、胃の動きが鈍くなる病気です。
胃アトニーになると消化不良や、消化を促すために余計な胃酸がでる胃酸過多などの症状があります。 |
3 | 胃アニサキス症 | 胃アニサキス症とは、寄生虫であるアニサキスに寄生された魚介類を摂取することで発生します。
症状にはアニサキスが胃を食い破って体内に侵入する際の激しい痛みや、嘔吐等があります。 |
4 | 胃がん | 胃がんは、胃の壁の最も内側にある粘膜内の細胞が、何らかの原因でがん細胞になって無秩序に増殖を繰り返すがんです。
胃がんの原因には各種胃の疾患から発生するもの、ヘリコバクター・ピロリ菌によるもの、塩分・飲酒・喫煙・刺激の強い食べ物の摂取などが有ります。 がん細胞が、粘膜または粘膜下層までにとどまっているものを「早期胃がん」といい、筋層より深く達したものを「進行胃がん」といいます。 |
5 | 胃けいれん | 胃けいれん(胃痙攣)とは、胃壁の筋肉が異常に緊張することで発生する症状で、 胃が痙攣しているかのような痛みを伴います。 |
6 | 胃ポリープ | 胃ポリープとは胃に発生する隆起性の病変で、日本消化器病学会では 「胃粘膜上皮の異常増殖に基づく胃内腔に突出した病変」と定義しています。
胃の粘膜上皮に局所的に隆起(りゅうき)した病変です。 ポリープには最も多い過形成(かけいせい) 性ポリープをはじめ、胃底腺ポリープ、特殊なポリープとして腺腫(せんしゅ)、家族性大腸腺腫症 などがあります。 一般に無症状です。 |
7 | 胃炎 | 胃炎とは胃に発生する炎症の総称で、急性胃炎、慢性胃炎、神経性胃炎の種類が有ります。
胃がただれた状態ですが、粘膜の萎縮が進んだ萎縮性胃炎の状態が多いです。 胃の痛み、吐き気、胃のもたれなどが症状として出ることが多いですが、特別症状がないこともあります。 萎縮性胃炎の原因はほぼピロリ菌ですが、急性胃炎の原因としては薬剤性やストレスなどもあります。 |
8 | 急性胃炎 | 胃の病気のうちでもっとも多いものの一つで、胃の粘膜が突発的に炎症を起こす症状です。
暴飲暴食、過度の飲酒、精神的・肉体的ストレス、手術後、香辛料など刺激物のとり過ぎ、薬品を誤ってのんでしまうことなどで起こり、 症状には腹痛、出血、嘔吐などがあります。 暴飲暴食や過度の飲酒などの原因が加わったあと数時間から1日以内の間にみずおちから上腹部の不快感、圧迫感、吐き気、痛みなどが生じます。 胃粘膜の障害が高度の場合には上腹部の激痛や嘔吐(おうと)、吐血を起こすこともあります。 かぜなどのウイルス感染に伴って起こることや、卵・サバ・カニなどの食物アレルギー反応の一部としてあらわれることもあります。
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9 | 慢性胃炎 | 日本人には慢性胃炎が多いと言われます。
慢性胃炎とは胃の炎症が長期にわたって持続している症状で、ピロリ菌の長期感染などによって引き起こされます。 主な症状には、空腹時や夜間のむねやけ、食後にむかむかしたり、もたれた感じがあります。
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10 | 胃下垂症 | 胃下垂とは胃が正常な位置よりも下に伸びて垂れ下がっている状態の症状です。
胃下垂の原因には胃を支える筋肉や脂肪の少ない人がなりやすいと言われ、それ以外にもストレスや暴飲暴食でも胃下垂になるとされています。 胃下垂の症状には腹の張り、過剰な食欲、消化不良、胃が垂れ下がることにより尿や便が出にくくなる、不妊などが有ります。 |
11 | 胃拡張 | 胃拡張とは、何らかの原因で胃の中の内容物が十二指腸に移動することが出来なくなり、 胃が広がってしまう症状です。
胃拡張の症状には腹部のはり、嘔吐などがあります。 |
12 | 急性胃拡張 | 急性胃拡張とは、突発的に発生した膨満感を表す場合に使います。
急性胃拡張の原因には、暴飲暴食、胃内部でのガスの発生などがあります。 |
13 | 胃酸過多症 | 胸やけや胃酸の口腔(こうくう)内への逆流が自覚される場合に用いられている病名です。
胃液の酸度が異常に高い症状。胸焼け・胃痛などがみられる。胃潰瘍(いかいよう)・胃炎・胆石症などに伴うことが多い。 |
14 | 胃食道逆流症 | 胃酸と消化酵素が胃から食道に逆流することで、その結果、食道に炎症と痛みが生じます。
「逆流性食道炎」「非びらん性胃食道逆流症」「バレット食道」の3つの病気の総称です。 逆流は、正常な場合に胃の内容物が食道に逆流しないように防いでいる輪状の筋肉(下部食道括約筋)が正しく機能していないと起こります。 最も典型的な症状は胸やけ(胸骨の裏側の焼けつくような痛み)です。 |
15 | 胃静脈瘤 | 胃静脈瘤とは、胃の静脈の壁が薄くなり血管が膨らんでしまう症状です。 胃静脈瘤は肝硬変と共に発生することが多くあります。 |
16 | 胃切除後症候群 | 胃がんなどで胃の切除手術をおこなった場合、胃が小さく、またはなくなったことによりいろいろな症状が出現します。これらを総称して胃切除後症候群、胃切除後障害などといいます。
症状にはダンピング症候群、下痢、げっぷやおなら、貧血、栄養障害、牛乳不耐症、逆流性食道炎、逆流性胃炎などがあります。 |
17 | 胃潰瘍 | 胃酸がなんらかの原因によって胃粘膜を消化し、胃の壁がただれて傷ついた状態です。40代以降の方にみられるケースが多く、胃の折れ曲がった部分(胃角部:いかくぶ)によくできます。
胃潰瘍の原因はストレス、飲酒、喫煙、カフェイン、塩分の多い物や辛い物、熱いものを多く摂取しすぎることで発生します。 胃潰瘍の症状には、胃痛、胃からの出血による吐血や、血便等があり、悪化すると癌などにも結びつく場合があります。 |
18 | 胃内異物 | 誤って異物を飲み込んでしまったときのことをいいます。異物としては針、入れ歯、薬剤の包装パック、硬貨、ボタン電池などがあります。
いったん胃の中に入った異物の90%は肛門から便とともに自然排出するといわれています。 胃の中にひっかかり長期間停滞している場合や、ボタン型アルカリ電池のように放置すると胃の粘膜が傷害されるおそれのある場合は、内視鏡でこれを取り出します。 |
19 | 胃肉腫 | 胃肉腫とは胃の粘膜上皮以外から発生した悪性腫瘍を表す言葉です。
胃の悪性腫瘍のうち、上皮性の(胃粘膜から出た)ものを胃がんといい、非上皮性の(粘膜以外の細胞から出た)ものを肉腫といいます。 胃肉腫は胃の悪性腫瘍のうち約5%といわれ、比較的少ない病気です。 |
20 | 胃粘膜下腫瘍 | 胃がんは粘膜から発生し、進行するにつれてしだいに胃壁の深層にひろがっていきますが、胃の粘膜以外から発生した腫瘍を総称して胃粘膜下腫瘍といいます。
腫瘍が小さい場合は無症状で、悪性で腫瘍が大きくなってくると、腫瘍が崩れて出血し、吐血や下血を生じることがあります。 |
21 | 逆流性食道炎 | 胃酸や十二指腸液が食道に逆流してしまい、食道の粘膜に炎症を引き起こしてしまう症状です。
原因には、食べすぎ、喫煙、飲酒、ストレス、便秘・妊娠・肥満などによる腹部の圧迫、 食後直ぐの運動、食道下部括約筋の機能低下などがあります。 症状には、胸焼け、嘔吐、胃酸の逆流、げっぷ、食道の痛み。喉の不快感などがあります。 |
22 | 急性胃粘膜病変
(AGML) |
急性胃炎は、様々な原因で、胃の粘膜に炎症をおこす病気で、急激に発症します。
突然、上腹部の不快感、痛みなどが生じます。また、主な症状として悪心(むかつき)、嘔吐、吐血、下血があります。 原因として、アルコールの飲みすぎ、医薬品、化学的毒物、放射線、寄生虫、細菌、食中毒、ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)、ストレスなどがあります。 |
23 | 巨大肥厚性胃炎 | 巨大肥厚性胃炎とは、剥がれた胃の粘膜が肥大して大きなひだ状になってしまう症状です。 巨大肥厚性胃炎は「メネトリエ病」「胃巨大皺襞症」「胃粘膜肥厚症」とも呼ばれます。巨大肥厚性胃炎の症状には、胃もたれ、吐き気、嘔吐、腹痛、下痢、食欲の低下、疲れなどがあります。 |
24 | 空気嚥下症 | 空気を大量に飲み込んでしまうことによって、げっぷやおならがたくさん出たり、腹部膨満感を覚える症状のことです。
特に治療の必要はありません。 |
25 | 神経性胃炎 | 神経性胃炎とは急性胃炎の1つで、ストレスが原因で生じる胃炎です。
ストレスがたまると自律神経が乱れ、胃液(胃酸)の分泌が過剰になったり、胃の血流が悪くなることで粘膜の修復力が弱まり、胃炎を発症しやすくなります。 悩み、不安、緊張などによる精神的なストレスや、疲労などの肉体的なストレスにより自律神経のバランスが崩れることで起こり、胃痛・ 胸やけ ・ 吐き気 ・ 嘔吐 ・ 胃もたれ・ 食欲不振の症状が現れます。 |
26 | 低酸症
無酸症 胃酸減少症 |
胃酸の量や濃度が通常よりも少なくなってしまう症状で、 消化不良、胃もたれ、下痢、腹痛などの症状が現れます。 |
27 | 良性胃粘膜下腫瘍 | 胃粘膜下腫瘍とは、胃の粘膜よりも深い部分で良性の腫瘍が発生ている状態の総称です。
良性胃粘膜下腫瘍には「平滑筋腫」「迷入膵」「神経性腫瘍」等があります。 |
28 | ダンピング症候群 | ダンピング症候群とは、胃の中に入った食べ物が胃にとどまらずに直ぐに小腸へと移動してしまう症状で、 胃の手術をした直後などに発生します。
ダンピング症候群には、食後30分程度で発生する「早期ダンピング症候群」と、食後2~3時間程度で発生する「晩期ダンピング症候群」が有ります。 |
胃の病気一覧 名称と種類と症状 まとめ
胃の病気や症状について紹介しました。
自分の症状から疑われる病名などがあった方は、病院やクリニックで検診を受けてみるのがいいでしょう。
病気は早期発見、早期治療がとても大切です。 「怪しいな」と思ったら周りの人に相談してみるのもいいですね。
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