2. 怒りの感情表現
怒りや憤りを表現する日本語には、「怒る」や「腹立つ」といった日常的な言い回しのほか、「憤慨」「激昂」「怒髪天を衝く」などの強い感情を示す語もあります。また、古典作品では「いきどほる」「むずかる」などの古語が登場し、文脈や背景を知ることで理解が深まります。
- 怒る(おこる)
基本的な怒りの動詞。感情が高ぶり、不満や不快を外に示す状態。 - 立腹(りっぷく)
腹を立てること。やや硬い表現で、軽い皮肉や冷静な怒りにも使われる。 - 憤る(いきどおる)
不正や理不尽さに対して強い怒りを抱くこと。内に秘めた怒りを示す語。 - 激怒(げきど)
非常に激しく怒ること。感情が爆発するような強烈な怒りを表す。 - 憤慨(ふんがい)
道理に反することに対して怒ること。公的・倫理的な不満に対して用いられる。 - 憤激(ふんげき)
激しく怒ること。憤慨よりもさらに感情が強いニュアンスを持つ。 - 怒髪天を衝く(どはつてんをつく)
髪が逆立つほど怒る、非常に強い怒りのたとえ。故事成語としても有名。 - 烈火のごとく(れっかのごとく)
怒りが非常に激しく、まるで火のようである様子を表す比喩的表現。 - 気色ばむ(けしきばむ)
怒りや不満が表情や態度に現れること。古語的で、微妙な感情の変化を表す。 - 面を背ける(おもてをそむける)
怒りや軽蔑、不快感を顔に出さず、表情で示す控えめな怒りの表現。 - 頭に血がのぼる(あたまにちがのぼる)
怒りで冷静さを失うこと。日常語でも使われる生々しい表現。 - 腹が立つ(はらがたつ)
不快や理不尽さに対して感情が沸き立つこと。一般的な怒りの言い回し。 - 噛みつく(かみつく)
怒りから他人に激しく言葉をぶつけること。行動としての怒りを表す。 - 怒声(どせい)
怒って大きな声を出すこと。文学作品などで描写的に使われる。 - 怒気(どき)
怒りの気配、または怒りの雰囲気。直接的ではないが、強く感情が伝わる語。 - 憤怒(ふんぬ)
理不尽なことや不正に対する激しい怒り。仏教や漢文でよく見られる、重みのある言葉。 - 怒号(どごう)
怒りを込めて大声で叫ぶこと。感情が爆発した瞬間の描写に用いられる。 - 怒鳴る(どなる)
感情的に大声を上げること。怒りを言葉で直接表現する日常的な行為。 - 不機嫌(ふきげん)
怒りを露骨には出さないが、表情や態度に不満や怒りがにじみ出ている状態。 - 腹立たしい(はらだたしい)
ちょっとしたことに対しても我慢できないような苛立ちや怒りを感じる様子。 - 嫌悪(けんお)
嫌いという感情に強い怒りや拒絶の感情が混じる、深い否定的感情。 - いら立つ(いらだつ)
思い通りにならない状況に対して、焦りや怒りが入り混じった感情。苛立ち。 - 嫉妬(しっと)
他者の幸せや成功に対して、羨望と怒りが入り混じった複雑な感情。 - ムカつく
俗語的な表現ではあるが、現代日本語で非常に一般的な怒りの語。軽い不快感から強い怒りまで幅広い。 - 煮えくり返る(にえくりかえる)
怒りが内側で激しく燃え上がっている様子。抑えている怒りを強調する比喩表現。 - 忿懣(ふんまん)
憤りと不満。漢文調で重厚。 - 怨嗟(えんさ)
恨みと怒りが入り混じった声。古典文学で用例多数。 - 瞋恚(しんに)
仏教用語で怒りの煩悩を指す。格調が高い。 - むずかる
古語。子どもが不機嫌でぐずるさま。怒りの軽い表現。 - いきどほる
古語「憤る」の古仮名遣い。万葉集や源氏物語にも見られる。
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