❸ 美しい響きの和語(大和言葉)から生まれた名前
― 柔らかく、清らかで、耳に心地よい名づけの源 ―
音に美しさがある。漢字に頼らず、語の響きそのものに古典的な美しさを感じさせる名前を集めました。古語や雅語、優しい擬音語などを含み、素朴で奥ゆかしい中性的な名が揃います。
- いとは
 「いと(とても)」と「は(波のようなやさしさ)」を重ねた音感の名。
- ゆらね
 ゆらゆらと揺れるものの穏やかな響きから生まれた名前。
- さやか
 澄みわたる空気のような清らかなイメージ。
- かのえ
 「甲(かのえ)」から。古代の干支に由来し、清らかな強さを持つ。
- うらら
 春のうららかな陽気のような、優しく明るい響き。
- ことの
 言(こと)の響きを大切にする名前。言霊の美しさも含意。
- あまね
 “あまねく(広く、満ちる)”から。広がりと包容力を感じさせる名。
- ほのか
 仄かに香る、灯る。控えめで美しい印象。
- つゆり
 露のように儚く、澄んだ響き。夏の朝を思わせます。
- なぎさ
 波打ち際を意味する名。やさしい波音が響きます。
- みやこ
 雅やかな都を連想させる上品な響き。
- しずく
 水のしずくのような、静かで純粋な存在を表します。
- あけみ
 夜明けの美しさ、“明け”と“美”からなる希望の名。
- かれん
 “可憐”という意味をそのまま音に。やわらかく愛らしい響き。
- はるる
 春+るる(連なる語感)で春の広がりを感じる名。
- のあ
 “の”という連体助詞と、柔らかい“あ”音が融合した幻想的な名。
- こよみ
 暦(こよみ)に由来し、季節の流れとつながる名。
- そよか
 そよ風のように優しく吹く存在感をあらわします。
- ゆゑ
 古語の「ゆえ(理由・由来)」に通じる哲学的な名。
- あわい
 物事の「あわい=間・境目」にある繊細な美しさを表現。
❹ 和歌に詠まれた言葉をもとにした名前
― 千年の詩(うた)の中から掬い上げた、名のかけら ―
古今和歌集、新古今和歌集など、古典の名歌には、心を打つ美しい語が数多く詠み込まれています。そうした歌の中に出てくる印象的な語句をもとに、中性的な名前として再構成しました。言葉一つひとつに、物語が宿っています。
- 玉響(たまゆら)
 ほんのひとときの時間。万葉集にも登場する言葉。
- かざし
 和歌で髪に挿す草花を表す。美と儚さを象徴。
- しのぶ
 「忍ぶ」と「偲ぶ」の両義。恋や思慕を感じさせる名。
- なぎ
 「風なぎ」など静けさを詠んだ歌から。心落ち着く名。
- いざよい
 十六夜の月を意味する、和歌にも多く詠まれた雅な語。
- こよひ
 「今宵」。恋や思いを語る和歌によく登場する表現。
- たゆた
 水面や心が揺れ動くさま。感性豊かな名。
- ゆふひ
 夕陽の美しさに寄せる感慨は、多くの和歌に描かれます。
- なでしこ
 大和撫子としても知られ、繊細な美と強さを併せ持つ名。
- うたげ
 古代の宴、集い。人と人が詩歌で結ばれる情景から。
- つきよ
 月夜の静けさと幻想をそのまま名に込めました。
- ほと
 ”ほととぎす”から。古今和歌集などに詠まれる、夏の訪れを告げる鳥の名。
- あわゆき(淡雪/泡雪)
 春先に舞う、溶けやすく儚い雪のこと。古典和歌にも詠まれる風情ある言葉で、名前としても非常に幻想的。
- ほのかげ
 “ほのか”と“かげ(影)”を合わせた幽かな光の名。
- みなも
 水面(みなも)。和歌で多く詠まれる自然の象徴。
- まどか
 和歌で円満や穏やかさを意味する「円(まどか)」に由来。
- さみだれ
 五月雨。恋の切なさや季節感を表す風情ある語。
- ふゆそら
 『新古今和歌集』にも詠まれる寂寥と清澄の象徴。
- かりね
 旅人が仮に寝る場所。物語性を含んだ古語。
- あしびき
 「山」を詠む際の枕詞。音の美しさが印象的な名。
 
  
  
  
  
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