毎年のように記録を更新する日本の猛暑。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言われますが、今やその言葉だけでは乗り切れないほど厳しい夏も珍しくありません。でも、昔の人も暑さと付き合う知恵をしっかり持っていました。ここでは、そんな暮らしに活かせる夏のことわざ20選をご紹介します。どれも短くて深く、今の生活にも通じる言葉ばかりです。
夏のことわざ 一覧
- 冬は日陰、夏は日面(ふゆはひかげ、なつはひおもて)
人に心地よい場所を譲り、自分は敢えて逆境に身を置けという謙虚・自己鍛錬の教え。 - 冬編笠に夏頭巾(ふゆあみがさになつずきん)
季節に合わずちぐはぐで役に立たないもののたとえ。 - 夏の入道雲は晴れ(なつのにゅうどうぐもははれ)
入道雲(積乱雲)が湧く日は大気が安定していて晴れやすいという昔の気象観察。 - 夏の小袖(なつのこそで)
季節外れで不要な物事のたとえ。 - 夏の火は嫁に焚かせよ(なつのひはよめにたかせよ)
真夏のかまど仕事のような辛い役目は新参者(嫁)に任せよ、という古い家風を揶揄した言葉。 - 夏の牡丹餅犬も食わぬ(なつのぼたもちいぬもくわぬ)
夏場の牡丹餅は痛みやすく、犬さえ食べないほどまずい=価値がないというたとえ。 - 夏の虫、氷を笑う(なつのむし こおりをわらう)
狭い世界しか知らない者が未知のものを見下す愚かさのたとえ。 - 夏の風邪は犬も食わぬ(なつのかぜはいぬもくわぬ)
夏風邪は治りにくく厄介で、誰にも相手にされないほど嫌われるという俗説的戒め。 - 夏は日向を行け、冬は日陰を行け(なつはひなたをいけ、ふゆはひかげをいけ)
敢えて厳しい環境を選び身体を鍛えよ、という養生訓。 - 夏も近づく八十八夜(なつもちかづくはちじゅうはちや)
唱歌「茶摘み」に由来する季節句。立春から88日目=初夏の訪れを告げる言い回し。 - 夏布子の寒帷子(なつぬのこのかんかたびら)
時節外れ・あべこべ・無用のもののたとえ。 - 夏座敷と鰈は縁側がよい(なつざしきとかれいはえんがわがよい)
夏は風通しの良い縁側が快適で、鰈も縁側(身の部位)が一番うまいという取り合わせの妙。 - 夏歌う者は冬泣く(なつうたうものはふゆなく)
働くべき季節に怠ければ、後で苦労するという教訓(アリとキリギリス的発想)。 - 夏沖の秋山(なつおきのあきやま)
夏は沖(海)が晴れ、秋は山が晴れていれば一日好天という天気の目安。 - 夏炉冬扇(かろとうせん)
夏の囲炉裏と冬の扇子=役に立たないものの代名詞。 - 夕立は馬の背を分ける(ゆうだちはうまのせをわける)
夕立は極めて局地的で、同じ場所でも降る所と降らない所があるというたとえ。 - 戴く物は夏も小袖(いただくものはなつもこそで)
貰えるなら季節外れでもありがたく頂く=欲の深さをからかう言葉。 - 暑さ寒さも彼岸まで(あつささむさもひがんまで)
厳しい暑さ・寒さも春分・秋分の彼岸を過ぎれば和らぐという経験則。 - 貰う物は夏も小袖(もらうものはなつもこそで)
上と同義。貰える物なら役立たずでも受け取るという意味。 - 飛んで火に入る夏の虫(とんでひにいるなつのむし)
自ら進んで災いに飛び込む愚かさのたとえ。
昔の言葉で、これからの夏をもっと快適に
厳選した二十の夏ことわざは、いわば“暮らしのコンシェルジュ”。「夏歌う者は冬泣く」は「備えあれば憂いなし」の教訓。「夏炉冬扇」が教える“適材適所”は、エアコンを賢く使い分ける発想にも通じます。こうした知恵と古い言葉がくれるヒントを、今年こそ日常に取り入れてみませんか。
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