2. 和歌に詠まれるような風流な名前
自然や季節、心の機微を繊細に表す和歌の世界。その中に現れるような名前は、抒情的で趣深く、日本語の美を感じさせます。
- 若菜(わかな)
新芽や若々しさを象徴。『源氏物語』にも登場。 - 小夜(さよ)
夜の静けさや哀愁を帯びた、美しい響き。 - 夕霧(ゆうぎり)
霧に包まれた夕暮れの情景を思わせる名。 - 千草(ちぐさ)
多くの草花を意味し、自然と調和した名。 - 春乃(はるの)
春の訪れを感じさせる、明るく穏やかな名前。 - 澄子(すみこ)
澄みきった心や声を感じさせる名。 - 真砂(まさご)
和歌で「真砂なき世」と詠まれる、美しい響き。 - 萩乃(はぎの)
秋の草花「萩」にちなみ、哀感ある名。 - 美弥(みや)
「美しく弥(いよいよ)」なるという意味を込めて。 - 蓬子(よもぎこ)
よもぎは薬草でもあり、生命力を象徴する名。 - 雪音(ゆきね)
雪の静けさと、和歌的な響きを併せ持つ名。 - 初音(はつね)
鳥の初鳴き。春の始まりを告げる風流な名。 - 紫苑(しおん)
秋の花「紫苑」。美しく儚い印象を与える名。 - 白露(しらつゆ)
朝露を連想させる、透明感と儚さのある名前。 - 水鶴(すいかく)
水辺に舞う鶴のような、優雅で詩的な響き。 - 波乃(なみの)
水の音を感じさせる、柔らかな印象の名。 - 涼風(すずか)
夏の終わりに吹く涼やかな風の名。 - 千代(ちよ)
長寿や繁栄を祈る、歌にもしばしば詠まれる名。 - 夕映(ゆうばえ)
夕焼けの美しさを連想させる情緒的な名。 - 雲母(きらら)
鉱石の名。キラキラと光る美しさと個性を持つ。 - 桐子(きりこ)
和歌に詠まれる「桐の花」より。品と香りを感じる名。 - 春霞(はるか)
春の霞がかった景色を思わせる、優美で幻想的な名。 - 青葉(あおば)
生命感と初夏の爽やかさを表す自然名。 - 花野(はなの)
一面の花野を想像させる、華やかでやさしい名前。 - 香世(かよ)
香りと世代を象徴する、風雅な印象をもつ名。
3. 武家や町家の女性に多い、しとやかな名前
強さと控えめさを併せ持つ、武家や町人の女性に多かった名です。素朴ながらも芯のある美しさが感じられます。
- お咲(おさき)
素朴ながら優しい響き、江戸時代の町娘に多い名。 - お光(おみつ)
清らかな光をイメージさせる、明るく温かい名。 - お志保(おしほ)
節度と誠実さを感じさせる、町家風の名。 - たえ(たえ)
「絶える」に通じるが、耐え忍ぶ美徳の象徴。 - お琴(おこと)
楽器の名をとった、芸事や教養ある家の娘に多い名。 - お初(おはつ)
長女や初めての娘に名付けられた、江戸らしい名。 - お鹿(おしか)
鹿のようにやさしく、気高い印象の女性名。 - お富(おとみ)
富を願って名付けられる庶民的な名。 - お梅(おうめ)
梅の花にちなみ、気高さと凛とした美しさを持つ名。 - お吉(おきち)
親しみのある、温かな響き。庶民的な人気名。 - お豊(おとよ)
豊かさや実りを願った女性名。 - お美代(おみよ)
「美しき代=時代」を生きる女性にふさわしい名。 - お菊(おきく)
江戸の怪談にも登場する、当時一般的だった名。 - おすみ(おすみ)
穏やかで静かな人柄を感じさせる名。 - お花(おはな)
華やかさと親しみやすさを兼ね備えた名。 - お園(おその)
庭園のように守られた、静かで優しい名。 - お綾(おあや)
「綾」のように繊細な美しさを象徴する名。 - お登勢(おとせ)
貫禄ある女性を連想させる、明治以降にも見られる名。 - お由(おゆ)
「由来」「自由」などを含む、柔らかな名。 - お津(おつ)
短く親しみやすい音で、江戸〜明治に多い名。 - りん(りん)
凛とした美しさをもつ、芯のある女性名。 - お駒(おこま)
「駒(こま)」=小さくかわいらしい女性の象徴。 - おしん(おしん)
忍耐と健気さを象徴する名。 - お豊(おとよ)
豊かで包容力ある母性的な響き。 - お民(おたみ)
「民=人々」に寄り添う、素朴であたたかい名。
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