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【12月といえば】日本の伝統行事・食べ物・風物詩【歳時記】

【12月といえば】日本の伝統行事・食べ物・風物詩【歳時記】 伝統
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歳時記 十二月

十二月を師走とした一番古い文献は『日本書紀』の桓武天皇紀で「十有二月」と書いて「しわす」と読ませています。語源については『奥義抄』によると、十二月は僧を迎えてお経を読ませるので、僧が東西に忙しく走り回ることから「師走り月」。

また、『類聚名物考』では、春夏秋冬四季のおしまい、つまり「四季はつる月」からきているとしています。

 

12月の異名・異称

極月(ごくげつ)
師走(しわす)
春待月(はるまちづき)
季冬(きとう)
晩冬(ばんとう)
年積月(としつみづき)
窮月(きゅうげつ)
窮陰(きゅういん)
窮冬(きゅうとう)
限月(かぎりのつき)
親子月(おやこづき)
暮古月/暮来月(くれこづき)
苦寒(くかん)
臘/臘月(ろう/ろうげつ)
嘉平(かへい)
雪月(ゆきづき)
弟月(おとづき/おとごづき/おとうづき/おととづき)
乙子月(おとごづき)
弟子月(おとごづき)
梅初月(うめはつづき)
三冬月(みふゆづき)など

さらに詳しく
『月名の雅語・古語』一覧 |陰暦の名称・別名・異名・異称

 

12月の風物詩・行事・食べ物

 

冬 至

二十四節気の一つで、旧暦十一月子(ね)の月の中気で、旧暦(太陰太陽暦)では、冬至を含む月を十一月としています。19年に1度、冬至の日が十一月一日となることがあり、これを朔旦冬至といい、盛大に祝われました。グレゴリオ暦では大体十二月二十二日頃です。冬至は気象学的には、太陽の黄経が270度に達し、冬至点に達する時をさします。 この日、北半球では太陽の高さが一年中で最も低くなります。そのため昼が一年中で一番短く、夜が長くなります。

この日を境に、一陽来復、日脚は徐々にのびていきます。古代においては、冬至の前後になると太陽の力が弱まり、人間の魂も一時的に仮死する。昔は冬至の日は「死に一番近い日」と言われており、「陰極まれば万物みな衰えて死に、太陽の帰り来る「一陽来復」によって再びよみがえる」と考えられていました。

このため、古代においては冬至を一年の始まりとしているところも多く、中国の太陰暦では冬至は暦の起点とされ、厳粛な儀式を行っていました。西欧でも古くから「冬至祭」が行われてきました。
この日は冬至かぼちゃを食べて金運を祈り、冬至風呂(柚子湯)に入って無病息災を祈る行事を各家庭で行います。

 

ゆず湯

ゆず湯に入ると肌がスベスベになる美肌効果があったり、冷え性やリュウマチにも効くし、体が温まってカゼをひかないとも言われています。

冬至の読みは「とうじ」。湯につかって病を治す「湯治(とうじ)」にかけています。更に「柚(ゆず)」にも「融通(ゆうずう)が利(き)きますように」という願いが込められています。その香りに邪を祓う霊力があると信じられている柚子のお風呂に入るなどして夜を越します。

 

かぼちゃ

かぼちゃは保存がきき、保存中の栄養素の損失も他の比べて少ない野菜です。そのため、冬至の時期の貴重な栄養源でもありました。

かぼちゃは、中央アメリカから南アメリカ北部を原産地とするウリ科の植物です。日本かぼちゃは、16世紀中頃ポルトガル船によってカンボジアからもたらされ、「かぼちゃ」の名は、このときの伝来先に由来しており、江戸時代中期から風邪や中風の予防にかぼちゃを冬至に食べる風習が根付いたといわれています。

 

クリスマス

クリスマスというとほとんどの人が十二月二十五日がイエス・キリストの誕生日だと思っているのですが、実はイエス・キリストの正確な誕生日というのは分かっていないそうです。クリスマスの正式な表記は「Christmas」ないし「Xmas」になり、これは「キリスト(Christ)のミサ(mass)」の意味で、キリスト教の儀礼であり、誕生日という意味ではありません。

クリスマスにおける祭りは、もともとは収穫の感謝と太陽の復活を祈ったり大いなる自然神あるいは祖先神を敬う祭でした。冬至祭では、ごちそうを食べお祝いし今のクリスマスと同じように、ツリーをかざっていたようです。ということで、冬至祭とイエス・キリストとの直接の関係はありませんでした。

今日のクリスマスは、さまざまなキリスト教以前の信仰とキリスト教が重なり合いとけ合った結果としてできあがったものだそうで、説によると、紀元325年ニケアで開かれた公会議で、この日を救世主キリストの誕生日と決めたといわれています。クリスマス(=キリストのミサ)の日取りは人為的に定められたものです。

 

一年の始まり

日本が新暦を採用したのは、明治六年(1873)からです。旧暦の明治五年一二月三日を新暦の明治六年一月一日とさだめました。

日本の正月には旧暦・新暦のほかに、新年の朔の日(新月)に祝われる大正月と望の日(満月)の小正月があります。農業の暦は厳密にはこの小正月から始まります。それから立春。イランの新年は一月一日ではなく、太陽暦で春分の日に当たる日がそれとなります。

現行暦の一月一日は、気象学(季節等)から言っても天文学(太陽の周りを回っている地球の位置等)から言っても、何ら特別な意味はありません。これは、古代ローマ帝国の政治的習慣を引き継いだものです。

もともと古代ローマでは春分のあるマルチウス(マーチ、すなわち現行の三月) が一年の始まりでした。しかし、政治年度は新年の2ヶ月前から始まる慣習でした。 これでは面倒だ、というので、かのユリウス・カエサルがマルチウスの2ヶ月前にあたるヤヌアリウス(ジャヌアリー、すなわち現行の一月)を一年の始まりと定めました (ユリウス暦)。
 現行暦(グレゴリオ暦)はユリウス暦を改良したものです。1582年、ローマ法王 グレゴリオ13世によって提唱されました。それで、現在の一月一日が一年の始まりとなっているのです。

 

大雪(たいせつ)

12月の7日は二十四節気のひとつ大雪に当たります。この季節になると大陸の高気圧が張り出し、北海道など北国でわ本格的な雪が降り、西日本の暖かい地方でも雪が降る時もあります。また動物たちも冬眠の時期を迎え、山は木々の葉を落とし冬籠もりに入ります。

 

空っ風(からっかぜ)

冬の晴天の時に吹きすさむ寒冷で乾いた風。大陸からの冬の季節風が、日本列島の山脈を越え、太平洋側に吹き下ります。群馬県では上州名物「かかあ天下に空っ風」と言われ、これは働き者の強い母さんと砂塵を巻き上げて赤城おろしで吹きつける風をいったものですが、空っ風も夕方には止み、そんな夜は底冷えになります。

 

冬枯れ(ふゆがれ)

冬になり寒くなって草木の葉が枯れてわびしくなるさまを言います。
また、商売でも冬にお客が少なくなることにも使います。

 

枯死(こし)

春には新緑で美しい草木も、秋から冬にかけて枯れてしまいます。そんな枯れた
草木の姿をいいます。

 

木枯らし(こがらし)

「凩」、「木嵐」とも書きます。秋から初冬にかけて樹木を枯らすほどに吹き、冬の到来を思わせます。気象庁では木枯らし1号が吹いた日を毎年、発表しています。平均では東京、大阪では立冬の11月7日頃です。ですが木枯らしが吹き荒れる季節は、枯れ葉が舞うので今頃の時期が一番木枯らしを意識する時期です。

 

焚火(たきび)

たき火には、落葉焚、庭焚火、野焚火、磯焚火などがあります。ほんの十数年前には日本の各地で見られた晩秋の光景でしたが、今では海岸の砂浜やキャンプ場でしか見られないものになってしまいました。昔は今の季節には近所の通りの落ち葉を集めて燃やす光景は、日本のどこにでもある風景でした。
知らない人でも自由にたき火にあたり、暖をとったりして足を止めました。
今では懐かしい風物詩になってしまいました。

 

冬至(とうじ)

12月22日は二十四節気のひとつ冬至に当たります。この日は1年で一番日の短い日で、夏至(げし)よりも4時間50分も短くなりますが、翌日からは日が長くなります。
このことから太陽の誕生の日ととらえて、伝統的な行事やクリスマスなどが集中し、冬至の日を境にして、太陽が春に向かって歩み始めることに由来します。またこの日にゆず湯に入る風習も単なる冬の間は風邪を引かないだけではなく、衰弱から再生への思いが込められています。

 

師走(しわす)

12月に入れば陰暦の古称の師走だけが、今でも使われています。この言葉以外に暮古月(くれこづき)や果ての月、季冬(きとう)、晩冬(ばんとう)などの言い方がありますが、暮れの忙しさを感じさせるには師走がぴったりかもしれません。
巷では師(先生)も走る忙しい月とも思われていますが、もともとは12月には法師(僧侶)を迎えてお経を上げてもらう習わしがあり、お坊さんも走るほど忙しい月の方が意外に説得力があります。

 

波の花(なみのはな)

“波の華”とも書きます。冬の季節風が強く吹く厳寒の頃に、岩場で砕けた波の泡が、風に乗って海岸を舞います。日本海の越前海岸など奥能登や他の地域でも見られる現象で、白い泡が遠くからは花のように群がって咲いて見えるところからこの名があります。

 

風花(かざばな)

太平洋側の地域で冬の青空なのに雪がちらつく現象です。これは冬形の気圧配置で日本海側が雪が降っていると、山脈を越えた風に乗って、晴れている地域にわずかな雪が舞いおります。ですが途中でとけて雨になることもあります。
群馬県ではこの現象を『吹越(ふっこし)』と呼んでいます。また、同じ言葉で昔は空が泣いているように思い『天泣(てんきゅう)』があります。

 

御用納め(ごようおさめ)

官庁用語で、政納め(まつりごとおさめ)のことで、その年の事務を終わりにすることです。一般には12月28日で、民間企業でもこれに合わせて仕事納めとしている企業が多いようです。

12月のキーワード

【自然】
空気の乾燥、寒波、初氷、あられ、積雪、木枯らし

 

【暮らし】
押入れ・納戸・物置の整理、障子はり・ふすまの補修、畳・じゅうたん掃除、ガラスふき、正月用品の準備、晴れ着の手入れ、防火対策、ボーナスプラン、年賀状書き、お正月料理の準備、年越そば、忘年会

 

【健康】
インフルエンザ、高血圧、感冒、脳卒中、しもやけ、暖房による室内乾燥、      心筋梗塞、乾布まさつ

 

【花】
さざんか、カンツバキ、スイセン、菊、はぼたん、シクラメン、サフラン、なんてん

 

【園芸】
整枝のしごと(ウメ、シダレウメ、コブシ、サンシュユ、シダレザクラ、ツルバラ、ナツツバキ、ハナザクロ)、施肥のしごと(ウメ)、病害虫防止のしごと(クスサン、テンマクケムシ、ブランコケムシの卵やイラムシの繭とり、ミノムシ、カイガラムシ、テッポウムシ退治、テングス病枝の切り取り、焼却など)霜除け、落葉や敷ワラを焼く、落葉花木の植え替え

 

【季語】
行く年、除夜、冬日、隙間風、霜、山眠る、枯野、冬川、冬木、葱、焚火、羚羊(かもしか)、寒雀、都鳥、冬至梅、冬牡丹、山茶花、冬北斗、寒昴、頬被、もんぺ、千枚漬、塩鮭、懐炉、行火

 

【誕生石】
トルコ石 (成功)

 

【誕生花】
アンセリウム (他人行儀)

12月の旬【魚】

【ひらめ】
脂肪がのっておいしくなるのは晩秋から真冬。ヒラメで一番おいしいところは、脊びれや尾びれのつけ根についている肉で、縁側という。ここにはコラーゲンが多く含まれ、皮膚の健康を保ち、皮膚を若返らせる効果があるという。

【新巻鮭】
内臓を取り出し、外側と腹の内部に塩をふった物を新巻鮭という。塩をふることによってタンパク質が分解し、アミノ酸などの旨み成分が生まれる。かなりの塩分を含むので、塩抜きしてから調理した方がよい。切身は焼くかムニエルに、頭は鍋物や粕汁に、背骨はすし種、ルイベにと無駄なく使える。

【海鼠 (なまこ)】
旬は12月~2月で、冬至ナマコという。見た目は奇妙だが新鮮なナマコをぶつ切りにして酢で洗い、三杯酢で食べると、コリコリした歯ざわりを感じなかなかおいしい。
ナマコの腸の塩辛をコノワタ、卵巣をコノコまたはクチコといい、これは珍重されている。漢方では、ナマコは滋養補血の効果があるとされている。中国料理でよく使うイリコは、ナマコを乾燥させたものである。

【まながつお】
カツオと名がついているが、イボダイの仲間でカツオとは種類も形も違う。旬は冬から春で、旬のとれたては薄造りで食べると絶品。一般的に照り焼き、西京焼き、粕漬にして焼いて食べることが多く、その方がおいしい。

【鰡 (ぼら)】
出世魚で、関東では1年魚をハク、2年魚をイナといい、3年魚をボラと呼ぶ。旬は秋から冬、脂がのったものを刺身か塩焼きにする。胃袋をそろばん玉といい、これの塩焼きは最高に美味。ボラの卵巣の塩漬けをカラスミといい珍味だが、高価。

【紋甲烏賊 (もんごういか)】
肉厚で柔らかく、甘みがある。石灰質の甲を持つ甲イカの仲間だが、初夏においしいマイカと異なり、冬から春にかけて味がよい。

【河豚 (ふぐ)】
フグに旬はないというが、卵巣や精巣が成熟し始める12月頃がおいしい。白身で弾力があり、淡白な味わいで冬の味覚の王者の一つ。

【がざみ】
がざみは甲羅の部分を食べるので、抱いている卵によって値打ちが決まる。冬は卵巣や味噌がぎっちりと詰まった雌が多く獲れる。

【ずわい蟹】
関東では越前ガニ、関西、山陰では松葉ガニと呼ばれる足の長いカニ。肉にはタンパク質とミネラルが、卵巣には老化防止物質が含まれる。

【はたはた】
ハタハタを食べないと正月がこない、というくらい秋田ではハタハタを珍重し、名物としていたが、乱獲しすぎたため、今は保護を目的に禁漁中。市場に出回っているのは韓国産。旬は冬で、ブリコ(卵巣)が増えて最もおいしい時期。ハタハタを塩漬けにして三枚におろし、一口大に切って酢につけ、ご飯、麹を合わせて野菜を混ぜ、重しをして漬け込んだのがハタハタずし。塩漬けにした時に出る汁をショッツル(塩汁)といい、これを出汁にして煮込んだのがショッツル鍋である。

【常節 (とこぶし)】
形はアワビに似ているが、大きさは5~8センチしかなく、味もやや劣る。生食には不向きで、煮物や焼き魚に。加熱しすぎると非常に堅くなるので注意する。

【蛸 (たこ)】
タコは1年中出回っているが旬は夏と冬、特に11月~2月までが美味。マダコ、ミズダコ、イイダコその他種類は多いが、最も食べられるのはマダコである。
鮮度のよいものは体色が焦げ茶色で、鮮度が落ちると乳白色になってくる。
タコを茹でる時は、足の方から少しずつ入れていき、最後に逆さにして胴を入れ、3分間茹でるのがコツ。

【赤貝】
旬は冬から春。すし種に、刺身に、酢の物に、その赤い色合いと歯ごたえは欠かせない。エラや肉が赤いのは、血液中に含まれるヘモクロモーゲンという色素のため。貝から取り出した身は、塩水で洗ってぬめりをとり、その後真水で洗って調理するとよい。

12月の旬【野菜】

【慈姑 (くわい) 】
市場には需要の高い12月に多く出回る。クリに煮た甘みとほろ苦い味が持ち味。
「芽が出る」ということの縁起からお節料理に利用されてきた。シュウ酸石灰を含み、特有の苦みがあるので、煮物にする時は茹でこぼす必要がある。

【百合根】
ユリの球根を食用にしたもので、オニユリ、ヤマユリが一般的。出盛りは12月~3月。
秋も美味。ユリネはデンプンを主とする炭水化物やビタミンC、リンを多く含む。
酢を落とした湯でかために茹で、茶碗蒸し、和え物、煮物などに使う。

【カリフラワー】
1年中出回っているが、旬は10月~3月。ビタミンB1、B2、Cを含み、鉄分も多い。
茎が伸びすぎず、つぼみが堅いものが良品。茹でる時、酢と塩を加えると白く仕上がり、小麦粉を加えると甘みが抜けない。

【春菊】
1年中出回っているが、11月~3月頃までが柔らかくおいしい。また、鍋物の食材としてよく出回っている。カロチンやビタミンA、ビタミンB2、カルシウム、鉄分を多く含む。生姜やネギと一緒にきざんで熱い汁に入れて飲むと風邪に効くといわれる。

【長葱】
冬場は寒さにあたりネギらしい風味と甘みが強くなる時。ネギの香りは薬味やにおい消しとして役立ち、その薬効としてはビタミンB1の血中濃度を高めたり、発汗作用や消化液の分泌を高める働きもある。

【シントリ菜】
12月~1月にかけて出回る杓子菜の仲間。味にくせがなく、大変柔らかいので、漬け物よりはお浸しや炒め物、和え物などに適している。

【芽キャベツ】
1年中出回っているが、12月~1月頃は甘みが増しておいしく、値段も下がる。
ビタミンCを多く含み、レモンの約2倍ほどある。1日に必要なビタミンCをとるには、茹でたものを5~6個食べれば十分。

12月の旬【果物】

【すだち】【橙 (だいだい) 】
正月飾りに欠かせないが、生食には不向きで、汁をポン酢に皮をマーマレードに使う。

【柚子】
11月~1月にかけて多く出回る。果汁は発汗を促し、解熱作用がある。

【みかん】
温州ミカンでもハウスものは6月頃から出回るが、本格的に出回るのは12月~3月。
12月前半までは小玉が美味。それ以降は中玉、大玉でも味が安定しておいしくなる。

【苺】
イチゴの旬は5月であるが、最近ではビニールハウス栽培や品種改良により、10月には入荷が始まる。クリスマス、正月用に需要が高まり、出荷のピークは1月~2月となっている。

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