風・水・太陽・空・石など自然の物や事象を語源とする故事成語を紹介していきます。
普段の生活でも自然から学ぶことたくさんありますが昔の人達はそれを故事成語として言葉に残してくれました。
忙しい毎日を送っていると大切なことを忘れがちですが、そんなときこそ先人の残した言葉に耳を傾けてみてはいかがでしょうか?
天・空
一念天に通ず (いちねんてんにつうず)
物事をなしとげようとする強い信念があれば、その心は天に通じ、必ず成就する
人衆ければ天に勝つ (ひとおおければてんにかつ)
人が多勢を頼んで勢いに乗っているときは、道理に背いても、一時的には天の理に勝つこともできる。
俯仰天地に愧じず (ふぎょうてんちにはじず)
天の神に対しても、地の神に対しても、何ら恥ずべきところがない。
仰いで天に愧じず (あおいでてんにはじず)
心に少しもやましいところがない。
共に天を戴かず ともにてんをいただかず
相手を殺すか自分が殺されるか、いずれにせよともにこの世には生きていない。
君父の讐は倶に天を戴かず くんぷのあだはともにてんをいただかず
生命をかけても報復しないではいられないことにいう。
地
一敗地に塗れる いっぱいちにまみれる
再起できないほど、さんざんに負ける。
俯仰天地に愧じず (ふぎょうてんちにはじず)
天の神に対しても、地の神に対しても、何ら恥ずべきところがない。
地を易うれば皆然り ちをかうればみなしかり
人の言動に違いがあるのは立場に違いがあるからで、立場を変えれば同じになる。
天に跼り地に蹐す てんにせぐくまりちにぬきあしす
天は高いのに背をかがめて歩き、地は堅いのに抜き足で歩く。
恐れて身の置き所がないことのたとえ。
平地に波瀾を起こす へいちにはらんをおこす
おだやかなところに波風を立たせる。好んでもめごとを引き起こすたとえ。
風
一竿の風月 いっかんのふうげつ
一本の釣りざおに俗事を忘れて、風流を楽しむこと。
叢蘭茂らんと欲し秋風之を敗る そうらんしげらんとほっししゅうふうこれをやぶる
蘭が花を開こうとしても、冷たい秋風が吹いて枯らす。立派な人物が小人にじゃまをされて、力を発揮できないことのたとえ。
君子の徳は風 くんしのとくはかぜ
風が草をなびかせるように、君子は徳によって人々をなびかせ教化するということ。
命は風前の灯の如し いのちはふうぜんのともしびのごとし
大尽風を吹かす だいじんかぜをふかす
大金持ちのようにいばったり、大金を使ったりする。
雨・雪
風に櫛り雨に沐う かぜにくしけずりあめにかみあらう
風雨にさらされて苦労すること。さまざまな苦労を体験するたとえ。
蛟竜雲雨を得 こうりょううんうをう
英雄豪傑が時運を得てその才能を大いに発揮する。
山雨来たらんと欲して風楼に満つ さんうきたらんとほっしてかぜろうにみつ
山雨の来る前には、まず高楼へ風がさっと吹きつけてくる意。転じて、変事の前の情勢の穏やかでないさま。
雨垂れ石を穿つ あまだれいしをうがつ
小さな努力でも根気よく続けてやれば、最後には成功する。点滴石を穿つ。
雨塊を破らず あめつちくれをやぶらず
雨が静かに降って土をいためない。世の中が泰平であることをいう。
雲
飛竜雲に乗る ひりゅうくもにのる
英雄がその才能をふるう時を得るたとえ。
不義にして富み且つ貴きは浮雲の如し ふぎにしてとみかつたっときはふうんのごとし
人の道からはずれた方法で得た富や地位は、はかないものである。
竜の雲を得る如し りゅうのくもをうるごとし
竜が雲を得て天に昇るように、英雄豪傑などが機に臨んで盛んに活躍するたとえ。
凌雲の志 りょううんのこころざし
超然として世外にありたいという望み。
大旱の雲霓を望むがごとし たいかんのうんげいをのぞむがごとし
ひでりに雨の前兆である雲や虹を待ちこがれる。物事の到来を待ちこがれることのたとえ。
石
一石を投ずる いっせきをとうずる
人々の反響を呼ぶような問題を投げかける。
人木石に非ず ひとぼくせきにあらず
人は木や石とちがい、ものに感ずる心や喜怒哀楽の情をもっている。身は木石にあらず。
他山の石 たざんのいし
よその山から出た、つまらない石。転じて、自分の修養の助けとなる他人の誤った言行。
他山の石以て玉を攻むべし たざんのいしもってたまをおさむべし
よその山から出た粗悪な石も自分の玉を磨くのに利用できるの意から、他人のつまらぬ言行も自分の人格を育てる助けとなりうることのたとえ。
円石を千仞の山に転ず えんせきをせんじんのやまにてんず
高い山から丸い石を転がして落とすように、勢いが激しくておさえ止めることができないこと。
草木
大木は風に折られる たいぼくはかぜにおられる
大きな木が風に折られやすいように、地位の高い者は他の人の批判を受けやすい。
樹静かならんと欲すれども風止まず きしずかならんとほっすれどもかぜやまず
親孝行をしようと思うときには、すでに親はこの世にいない。
一葉落ちて天下の秋を知る いちようおちててんかのあきをしる
青桐の一葉が落ちるのを見て、秋の訪れを知る。小さな前触れによって将来のなりゆき、衰亡のきざしを察することをいう。
林間に酒を煖めて紅葉を焼く りんかんにさけをあたためてこうようをたく
林の中で落ち葉で酒をあたためて飲み、秋の風情をたのしむ。
柳の葉を百度中つ やなぎのはをももたびあつ
百歩離れた所から柳の葉に百発百中したという故事から射術にすぐれていることにいう。
太陽
旭日昇天の勢い きょくじつしょうてんのいきおい
のぼる朝日のように盛んな勢い。
君子の過ちは日月の食の如し くんしのあやまちはじつげつのしょくのごとし
君子は過ちを犯すことがあっても、日食や月食のように、一時のことであって、すぐにもとの徳性にかえるということ。
日光を見ぬうちは結構と言うな にっこうをみぬうちはけっこうというな
日光の立派な東照宮を見ないうちは、ほかのものを見て結構と言う資格はない。日光の東照宮ほど素晴らしいものはない。
日の出の勢い ひのでのいきおい
昇る朝日のように勢いが盛んであること。
白虹日を貫く はっこうひをつらぬく
白色の虹が太陽を貫くようにかかる。「白虹」は武器、「日」は君主の象徴とされ、臣下の白刃が君主に危害を加える天象とされた。
月
君子の過ちは日月の食の如し くんしのあやまちはじつげつのしょくのごとし
君子は過ちを犯すことがあっても、日食や月食のように、一時のことであって、すぐにもとの徳性にかえるということ。
呉牛月に喘ぐ ごぎゅうつきにあえぐ
水牛が暑さを嫌うあまり月を見ても太陽と間違えて喘ぐ意から、取り越し苦労をすることのたとえ。
女臈に誠あれば晦日に月が出る じょろうにまことあればみそかにつきがでる
陰暦の30日には月が出ないことから、女郎の言葉にはうそが多いということのたとえ。
月を指せば指を認む つきをさせばゆびをみとむ
月を指さして教えると、月を見ないで指を見る。道理を説明しても、文字や言語に捉とらわれて本旨を理解しないことのたとえ。
月満つれば則ち虧く つきみつればすなわちかく
すべて物事は盛りに達すれば必ず衰え始める。物事には必ず盛衰があることのたとえ。
水・氷・海
霜を履んで堅氷至る しもをふんでけんぴょういたる
霜を踏んで歩く季節を経ると、やがて氷の張る季節がくる意から、物事の兆候が現れれば、大事が間もなくやってくるということ。
薄氷を履む はくひょうをふむ
非常に危険な場面にのぞむことのたとえ。
渙然氷釈する かんぜんひょうしゃくする
氷が解けるように疑問や迷いが解けてなくなる。
氷は水より出でて水よりも寒し こおりはみずよりいでてみずよりもさむし
弟子が師にまさることのたとえ。
堅き氷は霜を履むより至る かたきこおりはしもをふむよりいたる
秋になって霜を踏むようになればやがて堅い氷の張る冬が来るの意。
自然に関する故事成語-ことわざ一覧 50選 まとめ
自然に関する故事成語やことわざは他にもたくさんありますがここでは50選に絞りました。自然の力を語源とする故事には風情や情緒を感じるものや移りゆく自然から学んだものが多数あります。 これらの故事や諺から自分の生活や生き方を見直してみるのもいいですね。
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