3. 朝日や夕日など時間・季節で変化する太陽の呼び名
太陽は昇るとき、沈むとき、春や秋といった季節によって多彩に呼び分けられます。「旭日(きょくじつ)」「朝日(あさひ)」「初日の出(はつひので)」は新しい始まりを象徴し、祝祭や正月の言葉としても親しまれています。一方で「夕陽(ゆうひ)」「落日(らくじつ)」「斜陽(しゃよう)」は人生の終わりやもの悲しさを表す象徴的な語です。さらに「春陽(しゅんよう)」「秋陽(しゅうよう)」「冬日(ふゆび)」のように季節感を帯びた呼称も多く、和歌や俳句の季語としてしばしば用いられました。時間や季節の移ろいとともに、太陽の呼び名も表情を変えるのです。
初日(はつひ)
新年最初の日の太陽。吉兆とされ、古来より歌に詠まれた。
初日の出(はつひので)
元旦に昇る太陽。現代でも新年の行事として多くの人々が拝む。
日の出(ひので)
太陽が地平線から昇る瞬間。始まりや誕生の象徴として和歌や物語に頻出する。
旭日(きょくじつ)
昇る朝日を指す雅語。国旗や紋章に用いられるなど、日本文化に深く根付いた表現。
朝日・旭(あさひ)
朝に昇る太陽。希望や新しさの象徴として文学や日常語に広く使われる。
朝暉(ちょうき)
朝日に照らされて輝く光。詩語として雅趣ある響きを持つ。
夕日・夕陽(ゆうひ/せきよう)
沈みゆく太陽。もの悲しさや人生の黄昏を表す象徴的な語。
入り日(いりひ)
太陽が沈む様子を表す古語。『万葉集』などに多く登場する。
落日(らくじつ)
沈みゆく太陽を漢語的に表現したもの。壮大さや衰退を象徴する語。
落暉(らっき)
夕陽の余光。中国古典に由来し、和歌や詩文に取り入れられた表現。
落陽(らくよう)
沈み行く太陽。近代文学や歌にも登場し、悲哀や滅びの象徴。
日暮れ(ひぐれ)
太陽が沈み、夜を迎える時刻。日常語でありながら、哀愁を帯びる文学的表現。
斜陽(しゃよう)
西に傾く太陽。人生の衰退や時代の没落を象徴する比喩として広く使われる。
春日(はるひ/しゅんじつ)
春の太陽。のどかで温かな光を表し、和歌では春の季語として重要。
春陽(しゅんよう)
春の陽光を指す漢語。希望や穏やかさの象徴として用いられる。
秋の日(あきのひ)
秋の太陽。もの悲しい情趣を帯び、和歌でしばしば詠まれる。
秋陽(しゅうよう)
秋の太陽の光。澄みわたり、寂寥感を表す詩的表現。
冬日(とうじつ/ふゆび)
冬の太陽。弱々しく儚い光を示し、冬の季語として用いられる。
永日(えいじつ)
日の長いこと。春や夏の季節感を表し、悠長な時間の流れを示す語。
長日(ちょうじつ/ながび)
日が長いこと。和歌で季節の移ろいを詠む際に使われる。
4. 太陽に関わる天文現象や気象現象の名称
太陽の異名に近い表現の中には、実際には光学的・天文的な現象を指すものもあります。「日暈(ひがさ・にちうん)」は太陽の周囲に現れる光の輪、「幻日(げんじつ)」は太陽の左右に輝く光の幻影、「倒景(とうけい)」は蜃気楼の一種です。さらに「白夜(びゃくや)」や「極夜(きょくや)」は北極圏や南極圏での特殊な太陽現象を表します。これらは太陽本体の異名ではありませんが、古来から人々を驚かせ、詩歌や記録に記されてきました。
日暈(ひがさ/にちうん)
太陽の周囲に現れる光の輪。氷晶による大気光学現象で、古代から吉兆・凶兆として解釈され、和歌や記録にも残る。
幻日(げんじつ)
太陽の左右に光の幻影が現れる現象。太陽と同じ高さに輝く二つの副太陽が見えることがあり、神秘的な光景として詩歌にも取り入れられた。
倒景(とうけい)
蜃気楼の一種で、光の屈折により太陽や景物が逆さに映る現象。直接の異名ではないが、太陽と深く関わる自然現象として記録された。
白夜(びゃくや/はくや)
極地において、夏の一定期間、太陽が沈まず夜でも昼のように明るい現象。日本の古典では比喩的に用いられることもある。
極夜(きょくや)
白夜の対語で、極地において冬の間、太陽が昇らず長い夜が続く現象。直接の異名ではないが、太陽と人間生活との関わりを示す重要な概念。
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