太陽の古称・異称・類語をまとめ、その意味と読み方付きで一覧にしました。
太陽は古来より、人々の生活や信仰の中心にありました。
「天照」「日輪」「金烏」などの異称は、文化や文学の中で象徴的な意味を帯びています。
和歌や神話に出てくる美しい日本語を知ることで、日本文化への理解が深まるでしょう。
1. 太陽そのものを指す異名
太陽を直接に呼ぶ古語や雅語には、神格化された名から漢語的表現まで幅広く存在します。「天照(あまてらす)」は『古事記』や『日本書紀』に記される日本神話の太陽神であり、最も代表的な異名といえます。また「日輪(にちりん)」「火輪(かりん)」「大日(だいにち)」は仏典や漢詩でも用いられ、太陽を宇宙の中心や燃え盛る円輪として表現しました。これらは和歌や祝詞、さらには現代の宗教的文脈においても使われ続けており、純粋に太陽そのものを表す異称として適切です。
天照(あまてらす)
日本神話に登場する太陽神「天照大御神」の名。『古事記』『日本書紀』に記され、太陽そのものを神格化した最も有名な異名。
日(ひ)
古代から現代まで連綿と使われる基本語。和歌や古語では「ひ」と言えばしばしば太陽を指し、時間や光とも結びつく。
日輪(にちりん)
漢語由来で「日の輪」の意。燃える円輪としての太陽を表す。仏典や漢詩に多く、光背(仏像の後光)の表現とも通じる。
火輪(かりん)
炎をまとった輪のような太陽を示す表現。仏教・漢詩で見られ、日輪と同系統。
飛輪(ひりん)
天空を飛ぶ輪=太陽を表す雅称。仏教的な用例に多い。
金烏(きんう)
中国古代の神話に基づく語で、太陽の中に三本足の烏が棲むとされた伝承に由来する。和漢の詩歌にも登場。
赤烏(せきう)
「金烏」と同じく太陽と烏を結びつけた異名。特に赤く輝く太陽を象徴する。
烏兎(うと)
「烏」は太陽、「兎」は月を象徴する語。対語として天地の循環を表す。太陽の異名としては烏を指す部分が中心。
大日(だいにち)
仏教での「大日如来」に由来する呼称。宇宙を照らす中心=太陽として神格化される。
日天(にってん/日天子)
仏教の十二天のひとつ「日天子」に由来。太陽そのものを神格化して呼ぶ。
日神(にちじん/ひのかみ)
太陽を神として呼ぶ古い表現。『日本書紀』などに見られる。
天日(てんじつ/てんぴ)
「天にある太陽」「空の太陽」を意味する漢語的表現。文語・漢詩に現れる。
天道(てんとう/お天道様)
民間信仰で太陽を人格化した呼び方。「お天道様が見ている」として道徳的規範にも用いられた。
お日様(おひさま)
日常的な呼称だが、古くから太陽を親しみ敬って呼んだ語。子どもや民間信仰の言い方として根強い。
2. 太陽の光や日差しを表す言葉
「陽光(ようこう)」「日光(にっこう)」「日差し(ひざし)」などは、太陽本体ではなくそこから放たれる光や温もりを表現する語です。これらは古典文学でも現れますが、現代の会話や文章でも広く使われています。「日脚(ひあし)」は日の長さを表す和語であり、「日華(にっか)」は漢詩で太陽光を花にたとえた美称です。光や日差しを中心にしたこれらの表現は、詩情や情景描写を豊かにする役割を持ちます。
陽光(ようこう)
太陽から降り注ぐ光。和歌や小説で「春の陽光」といった形で自然描写に多く使われる。
日光(にっこう)
太陽の光そのもの。古代から現代まで幅広く用いられ、地名「日光(栃木県)」にも残る。
日照(にっしょう)
太陽が地上を照らすこと。農耕・気象用語として「日照不足」「日照時間」など現代でも活用される。
日差し・陽射し(ひざし)
太陽の光が差し込む様子を指す和語。生活感のある語で、文学表現にも馴染む。
日当たり(ひあたり)
太陽の光がどれほど当たるかを表す日常語。住宅・農耕など現実的な文脈でよく使われる。
日映り(ひうつり)
光が当たって映し出される様子。文学的な表現で、自然描写に雅趣を添える。
日脚・日足(ひあし)
太陽の光の伸び方、または日が長くなることを表す古語。季節の移ろいを示す語として和歌に用いられる。
日華(にっか)
「太陽の華(光の花)」の意。漢詩的な表現で、太陽の光輝を花にたとえた美称。
日色(にっしょく)
「ひいろ」とも読まれ、太陽の光の色合いを指す。赤みや黄金色など、太陽の輝きを色彩的に表現。
照る日(てるひ)
「照る」は太陽が光を放つことを表す古語。和歌では「照る日」として晴れやかな日の情景を詠む。
紅炎・紅焔(こうえん)
赤く燃え立つ炎のような太陽の光。現代では天文学用語「プロミネンス」の訳語にも用いられる。
紅鏡(こうきょう/こうけい)
太陽を赤々と輝く鏡にたとえた語。詩語的な呼称で、光の強さや美しさを象徴的に表す。
コメント