【5】運命と時間 – Fatum et tempus
古代ローマ人の死生観、時間に対する意識、そして運命という大いなる力への畏敬が反映された言葉を集めました。生の価値を見つめ直すための静かな叡智がここにあります。
- Tempus fugit(テンプス・フーギト)
時は飛ぶように過ぎる
▶︎ 時間の儚さ、無常の象徴。 - Memento mori(メメントー・モーリー)
死を忘れるな
▶︎ 死を意識することで、真に生きることの大切さを知る。 - Fatum inexorabile est(ファートゥム・イネクソラービレ・エスト)
運命は容赦ない
▶︎ 宿命からは逃れられないという古代の世界観。 - Mors certa, hora incerta(モルス・ケルタ、ホーラ・インケルタ)
死は確実、時は不確実
▶︎ 誰もが死ぬが、いつかは誰にも分からぬ。 - Sic transit gloria mundi(スィク・トランスィト・グローリア・ムンディ)
このようにして世の栄光は過ぎ去る
▶︎ 富や名声の儚さを象徴する言葉。 - Vita brevis(ウィータ・ブレウィス)
人生は短し
▶︎ 簡潔にして深い真実。 - Finis coronat opus(フィニス・コロナト・オプス)
終わりが仕事を完成させる
▶︎ 最後の結果こそがすべてを評価する。 - Omnia mors aequat(オムニア・モルス・アエクアト)
死はすべてを平等にする
▶︎ 富者も貧者も、死において等しい。 - Post tenebras lux(ポスト・テネブラス・ルクス)
闇の後に光あり
▶︎ 苦しみや死の後には救いがあるという希望。 - Ubi sunt?(ウビ・スント?)
彼らはどこへ行ったのか?
▶︎ 過去の栄光や人物への哀悼と追憶。 - Hora fugit(ホーラ・フーギト)
時間は逃げる
▶︎ 「Tempus fugit」の別形。 - Pulvis et umbra sumus(プルウィス・エト・ウンブラ・スムス)
我々は塵であり、影にすぎない – ホラティウス
▶︎ 人間のはかなさ、存在の脆さを詠う詩的表現。 - Respice finem(レスピケ・フィネム)
終わりを見よ
▶︎ 物事の結末を見据えて行動せよという警句。 - Vita est via(ウィータ・エスト・ウィア)
人生は旅路である
▶︎ 終点ある道としての人生観。 - Nemo ante mortem beatus(ネモー・アンテ・モルテム・ベアトゥス)
死ぬまでは誰も幸せとは言えぬ – ソロン(ラテン語訳)
▶︎ 人生の真の評価は、終わってから下される。 - Et in Arcadia ego(エト・イン・アルカディア・エゴ)
我もまたアルカディアにあり
▶︎ 理想郷にさえ、死は存在するという警句。 - Vanitas vanitatum, omnia vanitas
(ウァニタース・ウァニタートゥム、オムニア・ウァニタース)
虚しさの中の虚しさ、すべては虚しい – 伝道の書(ラテン語訳)
▶︎ 世の儚さと空虚感を象徴する聖書的表現。 - Dies irae(ディエース・イーラエ)
怒りの日
▶︎ 最後の審判の日。ラテン聖歌の一節として有名。 - Ad vitam aeternam(アド・ウィタム・アエテルナム)
永遠の命へ
▶︎ 死後の生・不朽の希望を象徴する表現。 - Fugit irreparabile tempus(フーギト・イッレパラービレ・テンプス)
回復しがたい時は過ぎ去る – ウェルギリウス
▶︎ 一度過ぎた時は決して戻らないという警句。
【6】勇気と戦い – Virtus et bellum
「Virtus, actio, bellum(勇気・行動・戦い)」は、ローマ人の精神そのもの。
美徳と名誉、決断と行動、戦いと勝利をテーマにしたラテン語の表現は、自己鍛錬やリーダーシップ、座右の銘にふさわしい言葉で満ちています。
- Audentes fortuna iuvat(アウデーンテース・フォルトゥーナ・ユーワト)
大胆な者には幸運が味方する
▶︎ 果敢に挑む者が運を引き寄せるというラテン的発想。 - Fortes fortuna adiuvat(フォルテース・フォルトゥーナ・アディウワト)
勇者に幸運は訪れる
▶︎ 勇気ある行動こそが運命を動かす。 - Virtus in actione consistit(ウィルトゥース・イン・アクティオーネ・コンスィスティト)
美徳は行動の中にこそある
▶︎ 真の価値は、言葉でなく行いに現れる。 - Aut viam inveniam aut faciam(アウト・ウィアム・インウェニアム・アウト・ファキアム)
道がなければ、私は道を作る
▶︎ ハンニバルの言葉とされる、決意の名句。 - Vincere est vivere(ウィンケレ・エスト・ウィウェレ)
勝つことは生きること
▶︎ 戦場における究極の真理。 - Bellum omnium contra omnes(ベッルム・オムニウム・コントラ・オムネース)
万人の万人に対する戦い
▶︎ ホッブズの政治哲学でも知られる、生存競争の概念。 - Mors aut honor(モルス・アウト・ホノール)
死か、名誉か
▶︎ 武人の精神を象徴する短句。 - Acta, non verba(アクタ・ノン・ウェルバ)
言葉ではなく行動を
▶︎ 真価は行動にあるという実践主義の表現。 - Discendo vincimus(ディスケンドー・ウィンキムス)
学びによって我々は勝つ
▶︎ 知識と戦術の力。 - Nulla tenaci invia est via(ヌッラ・テナキ・インウィア・エスト・ウィア)
執念ある者にとって通れぬ道はない
▶︎ 粘り強さが道を拓く。 - Ad victoriam(アド・ウィクトーリアム)
勝利へ
▶︎ 軍隊や戦士のモットーにも使われる短い表現。 - Fiat voluntas mea(フィアト・ウォルンタス・メア)
我が意志を成さん
▶︎ 決意と自己信念を表す力強い言葉。 - Non ducor, duco(ノン・ドゥーコル、ドゥーコ)
我は導かれず、導く
▶︎ 受動ではなく能動の精神。 - Virtus vincit(ウィルトゥース・ウィンキト)
美徳は勝利する
▶︎ 道徳的行動の勝利を信じる理念。 - Ad arma!(アド・アルマ!)
武器を取れ!
▶︎ 戦闘への呼びかけ。短く強烈な表現。 - Periculum in mora(ペリクルム・イン・モーラ)
遅延にこそ危険あり
▶︎ 行動を急ぐべき時に使われる軍略的警句。 - Cedant arma togae(ケダント・アルマ・トガエ)
武器は法(平和)に道を譲るべし – キケロ
▶︎ 戦争よりも法と秩序を重んじる理想。 - Gladius neminem parcit(グラディウス・ネミネム・パルキト)
剣は誰にも容赦せぬ
▶︎ 無慈悲な戦争の現実。 - Quis contra nos?(クィス・コントラ・ノース?)
誰が我らに抗えるか?
▶︎ 誇りと自信を示す好戦的な言葉。 - Milites sunt fortissimi(ミリテース・スント・フォルティッシミ)
兵士たちは最も勇敢な者たちである
▶︎ 軍人精神の讃美。
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