秋の植物の季語一覧
総称・秋の草木をまとめて表す季語
- 秋草(あきくさ) — 秋の野に一面に生い茂る草花の総称。
- 草の花(くさのはな) — 野に咲く素朴な秋の草花を広く指す言葉。
- 草の実(くさのみ) — 秋に結ぶ草の小さな実の総称。
- 草紅葉(くさもみじ) — 野山の草が紅や黄に色づく様子。
- 木の実(このみ) — 樹木に実る、秋らしい実全般の総称。
- 秋桜(あきざくら) — コスモスの別名で、秋を彩る花の象徴。
- 秋の七草(あきのななくさ) — 萩・桔梗・葛・女郎花・藤袴・尾花・撫子をまとめた呼び名。
秋の草花・野の花(秋の七草を含む)
秋の七草とその周辺
- 萩(はぎ) — 秋風に揺れる小花が古来愛されてきた代表的秋草。
- 山萩(やまはぎ) — 山野に自生する素朴な萩。
- 小萩(こはぎ) — 小ぶりの花をつける萩の一種。
- 白萩(しらはぎ) — 白い花を咲かせる萩。
- 桔梗(ききょう) — 青紫の星形の花が秋の空に映える。
- 葛(くず) — つる性の植物で、紫の花を咲かせ根は葛粉となる。
- 女郎花(おみなえし) — 黄色い細かな花を房状につける秋草。
- 男郎花(おとこえし) — 白い花をつけるオトコエシ。女郎花の対語。
- 撫子(なでしこ) — 切れ込みのある花びらが愛らしい秋の花。
- 藤袴(ふじばかま) — 淡い紅紫色の花を咲かせる香り高い秋草。
- 芒/薄(すすき) — 秋風に揺れる穂が月見の景色を象徴する。
- 穂芒・穂薄(ほすすき) — 穂が出そろったススキを強調した言い方。
秋の園芸花・野の花
- 秋桜/コスモス(あきざくら/こすもす) — 細い茎に揺れる軽やかな花が秋空に映える。
- 菊(きく) — 秋を代表する花。品種も色も多彩。
- 黄菊(きぎく) — 黄一色の菊で、明るい印象を持つ。
- 白菊(しらぎく) — 清らかさを象徴する白い菊。
- 小菊(こぎく) — 小輪で群れて咲く菊。
- 残菊(ざんぎく) — 寒さの中に咲き残る菊。
- 野菊(のぎく) — 野に自生する素朴な菊の総称。
- 野紺菊(のこんぎく) — 青紫の花を咲かせる野菊の一種。
- 磯菊(いそぎく) — 海岸の崖などに育つ丈夫な野菊。
- 貴船菊(きぶねぎく) — 京都・貴船にちなむ秋明菊の別名。
- 秋明菊(しゅうめいぎく) — 秋に咲くキク科風の花で、風情がある。
- 竜胆(りんどう) — 深い紫色の花が印象的な秋の花。
- 笹竜胆(ささりんどう) — 細長い葉と青い花を持つ竜胆の一種。
- 秋海棠(しゅうかいどう) — しっとりとした紅花をつける秋の花。
- 芙蓉(ふよう) — 夏から秋にかけて大輪の花を咲かせる。
- 彼岸花(ひがんばな) — 彼岸の頃に真紅の花を咲かせる。
- 曼珠沙華(まんじゅしゃげ) — 彼岸花の別名で、幻想的な花姿。
- 鳳仙花(ほうせんか) — 種がはじけ飛ぶ性質で知られる花。
- 合歓(ねむ) — 夏の花だが、秋まで葉の動きや姿が詠まれる。
- 禊萩/溝萩(みそはぎ) — 細かな紅紫の花を穂状につける。
- 紫苑(しおん) — 高く伸びた茎に紫色の花をつける秋草。
- 吾亦紅(われもこう) — こげ茶色の穂が風に揺れる渋い秋草。
- 松虫草(まつむしそう) — 淡い紫の花で、秋の高原を連想させる。
木・紅葉・木の葉に関する秋の季語
- 紅葉(もみじ)/黄葉(こうよう) — 山々や木々が赤や黄に色づく秋の象徴。
- 初紅葉(はつもみじ) — 山の頂や木の一部が最初に色づき始めた様子。
- 照葉(てりは)・照紅葉(てりもみじ) — 日差しを受けて光る紅葉した葉。
- 桜紅葉(さくらもみじ) — 桜の葉が赤や黄に色づいたもの。
- 柿紅葉(かきもみじ) — 柿の葉が赤くなった様子。
- 蔦(つた)・蔦紅葉(つたもみじ) — 壁や木に絡む蔦が紅葉する光景。
- 黄櫨紅葉/櫨紅葉(はじもみじ) — 櫨の木が鮮やかに色づく紅葉。
- 薄紅葉(うすもみじ) — まだ浅く色づき始めた紅葉。
- 黄落(こうらく) — 黄色くなった葉が落ちていくこと。
- 錦木(にしきぎ) — 秋に美しく紅葉する低木。
- 錦草(にしきそう) — 草の紅葉が錦のように見える様子。
実・果物・木の実・実りの季語
- 柿(かき) — 秋の代表的な果物。甘柿・渋柿ともに季語。
- 梨(なし) — みずみずしい秋の味覚。
- 葡萄(ぶどう) — 房になって実る秋の果実。
- 銀杏(ぎんなん) — イチョウの実。黄葉とともに秋を象徴する。
- 通草(あけび) — 山に自生し、皮が割れて中身が見える山の実。
- 無患子(むくろじ) — 硬い実は数珠や羽根つきの玉にも使われる。
- 木天蓼(またたび) — 猫が好むことで知られる蔓性植物の実。
- 零余子(むかご) — 山芋などの葉腋にできる小さな球状の実。
- 蓮の実(はすのみ) — 蓮の花後にできる実。食用にもなる。
- 木の実(このみ) — 秋に熟す木の実全般を表すことば。
- 栗(くり) — いがに包まれた秋の代表的な実。
- 栗の実(くりのみ) — 食用としての栗を意識した言い方。
- 実無し栗/虚栗(みなしぐり) — 中身の入っていない栗。
- どんぐり/団栗(どんぐり) — 子どもたちにも身近な秋の木の実。
- 鬼胡桃(おにぐるみ) — 殻の固いクルミの一種。
- 沢胡桃(さわぐるみ) — 川沿いなどに生えるクルミの木の実。
- 郁子/野木瓜(むべ) — ムベの蔓に実る、濃い紫色の果実。
田畑・雑草・野の植物の秋季語
- 稲の花(いねのはな) — 穂先に咲く小さな花が秋の実りを告げる。
- 落ち穂(おちぼ) — 刈り取り後に田に残る稲穂。
- 落穂拾い(おちぼひろい) — 落ちた穂を拾い集める秋の仕事。
- 高粱(コーリャン) — 飼料や穀物として用いられるイネ科植物。
- 蜀黍/唐黍(もろこし) — トウモロコシ。夏から秋の畑を象徴する。
- 雀の稗(すずめのひえ) — 小さな穂をつける雑草の一種。
- 茅/萱(かや) — 屋根材にも使われた高草。
- 刈萱(かるかや) — 細長い葉と穂をもつイネ科植物。
- 雌刈萱(めがるかや) — 刈萱に似た野草で、穂がしなやか。
- 茅花(つばな) — 茅の穂が白く煙るように見える様子。
- 鉄道草(てつどうぐさ) — 線路沿いに多く見られるキク科の雑草。
- 背高泡立草(せいたかあわだちそう) — 秋に黄色い花を群生させる帰化植物。
- 狗尾草(えのころぐさ) — 穂が犬の尾のように見える雑草。
- 猫じゃらし(ねこじゃらし) — エノコログサの俗称。
- 赤のまんま(あかのまんま) — イヌタデの別名。赤い穂がご飯のように見える。
- 犬蓼(いぬたで) — 田の畦などに生えるタデ科の雑草。
- 溝蕎麦(みぞそば) — 溝や湿った場所に生える小さな花をつける草。
- 藪枯(やぶがらし) — 他の植物に絡みつき、藪を枯らすほど繁る蔓草。
- 藪虱(やぶじらみ) — 人の衣にくっつきやすい実をつける雑草。
木・低木・その他の植物季語
- 万年青(おもと) — 常緑の葉を持つ吉祥の観葉植物。
- 椋(むく) — 実が鳥に好まれる落葉樹。
- 椎(しい) — 実をつけるブナ科の常緑樹。
- 櫟/橡/椚(くぬぎ) — どんぐりを実らせる落葉樹。
- 檀/真弓(まゆみ) — 秋に赤い実を弾けさせる低木。
- 榛(はしばみ) — 小さな堅果を実らせる樹木。
- 水木(みずき) — 枝を折ると水が出るといわれる湿り気のある木。
- 山茱萸(さんしゅゆ) — 春に花、秋に赤い実をつける観賞木。
- 珊瑚樹(さんごじゅ) — 赤い実が珊瑚のように美しい常緑樹。
- 松毬/松陰嚢(まつふぐり) — 松ぼっくりの雅語的な呼び名。
- 数珠玉(じゅずだま) — 実を通して数珠にしたイネ科植物。
- 定家葛(ていかかずら) — 香りのよい花をつけるつる性植物。
- 蔓梅擬(つるうめもどき) — 黄葉と赤い実が美しい蔓性低木。
- 紫式部(むらさきしきぶ) — 紫の小さな実が秋の庭を彩る。
キノコ類など「植物カテゴリ扱い」の秋の季語
- 椎茸(しいたけ) — 秋に香り高く育つ代表的な食用茸。
- 楢茸(ならたけ) — ナラの木に生えるキノコ。
- 天狗茸(てんぐたけ) — 赤い笠に斑点をもつ毒茸の代表格。
- 毒茸(どくきのこ) — 有毒なキノコ全般を指す季語。
- 茸山(たけやま) — キノコが多く生える山や林。
秋の植物 – 食べ物の季語一覧
初秋(太陽暦8月・旧暦7月)
野菜・豆・穀物・果物
- 小豆(アズキ) — 秋には新小豆も出回り、餡や赤飯に使われる。
- 枝豆 — 大豆になる前の若い豆。晩夏〜初秋の酒の友。
- オクラ — ねばりのある夏野菜。初秋まで食卓にのぼる。
- 貝割菜 — 貝割れ大根など、若い芽を食べる香味野菜。
- 南瓜(カボチャ) — 夏に採れたものを寝かせ、秋に甘味が増す。
- 西瓜(スイカ) — 暑さの名残を感じる初秋の果物。
- 大豆(ダイズ) — 煮豆や味噌、豆腐など多様に使われる基本食材。
- 玉蜀黍(トウモロコシ) — 焼きも茹でも香りがよく、夏〜初秋の味覚。
- 刀豆(ナタマメ) — 刀のように長いさや豆。
- 藤豆(フジマメ) — つる性の豆で、若い豆を食用にする。
- 間引菜(つまみ菜) — 野菜の成長途中で間引いた若菜。
- 桃(モモ) — 夏から初秋にかけて楽しむ甘い果物。
仲秋(太陽暦9月・旧暦8月)
野菜・穀物・豆・果物・木の実
- 青蜜柑 — 色づく前の青い蜜柑。さわやかな酸味がある。
- 秋茄子 — 秋に実る茄子。皮がやわらかく味も良い。
- 粟(アワ) — 雑穀の一つ。粟飯などに用いられる。
- 一位の実(イチイ)(あららぎ) — イチイの赤い実。観賞用としても知られる。
- 無花果(イチジク) — 花を見せずに実る果物。生食やジャムに。
- 黍(キビ) — 黍団子などに使われる雑穀。
- 胡桃(クルミ) — 秋に収穫される木の実。菓子や料理に使われる。
- 胡麻(ゴマ) — 香り高い油分を持つ種子。
- 里芋(サトイモ)(衣被) — 秋の煮物や芋煮に欠かせない。
- 紫蘇の実 — 塩漬けや佃煮にして秋のご飯の友に。
- 新小豆 — 収穫したての小豆。餡や赤飯に使う。
- 新胡麻 — 新たに収穫された胡麻。
- 新大豆 — 秋に収穫される大豆の新物。
- 新米 — 秋にとれたばかりの米。香り高く格別。
- 芋茎(ズイキ) — 里芋の茎を乾燥させた食材。煮物などに。
- 唐辛子(トウガラシ) — 赤く色づいた実を乾燥して調味料に。
- 零余子(ムカゴ) — 山芋のつるにできる小さな球。ご飯に炊き込む。
- 稗(ヒエ) — かつて主食にもなった雑穀。
- 葡萄(ブドウ) — 秋の代表的果物。生食やワインに。
- 山葡萄(ヤマブドウ) — 山野に自生する野生の葡萄。
晩秋(太陽暦10月・旧暦9月)
野菜・穀物・豆・果物・木の実・茸
- 秋グミ — 秋に実るグミの実。甘酸っぱく生食や加工に。
- 通草(アケビ) — 紫色の皮が割れて中の白い果肉を食べる秋の果物。
- 柿(カキ) — 「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われる秋の代表果物。
- カリン — 香りの強い果実で、シロップ漬けなどに用いられる。
- 銀杏(ギンナン) — イチョウの実。炒って食べる秋の味覚。
- 栗(クリ) — 栗ご飯や菓子に使われる、秋を代表する木の実。
- 石榴(ザクロ) — 赤い粒状の実を持つ果物。
- 薩摩芋(サツマイモ)(甘藷) — 焼き芋や天ぷらなど、甘味の強い根菜。
- 新蕎麦 — 新しく挽いた蕎麦粉で打つ風味豊かな蕎麦。
- 酢橘(スダチ) — 料理に香りと酸味を添える小さな柑橘。
- 蕎麦(ソバ) — 蕎麦粉を打った麺。晩秋に新蕎麦が出回る。
- 冬瓜(トウガン) — 秋に収穫し、冬まで保存できる瓜。
- 橡の実 — ドングリ。かつて粉にして食用にされた木の実。
- とんぶり — 「畑のキャビア」と呼ばれる、ホウキギの実。
- 梨(ナシ) — みずみずしい秋の果物。
- 棗(ナツメ)(棗の実) — 干して薬膳にも用いられる小さな果実。
- マルメロ — カリンに似た果実で、ジャムや砂糖漬けに。
- 八つ頭(ヤツガシラ) — 里芋の一種で、正月料理にも使われる大きな芋。
- 山芋(ヤマイモ)(自然薯) — すりおろしてとろろにする粘りのある芋。
- 柚子(ユズ) — 香り高い柑橘。料理や湯に用いられる。
- 落花生(ラッカセイ)(ピーナッツ) — 土中で実る豆。炒って食べるのが一般的。
- 林檎(リンゴ) — 秋から冬にかけて出回る代表的果物。
- 檸檬(レモン) — 酸味と香りが強い柑橘。料理や菓子に広く使われる。
- 茸(キノコ) — 秋に多く出るキノコ全般を指す。
- 椎茸(シイタケ) — 香りが強く、煮物や焼き物に使われる。
- 占地(シメジ) — 小さな房状のキノコ。鍋物などに向く。
- 松茸(マツタケ) — 香り高い高級キノコ。秋の味覚の王様。
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