春の桜や若菜、夏の紫陽花や青葉、秋の紅葉や木の実、冬の椿や柚子、そして新年を寿ぐ若菜や橙──。
日本の歳時記には、季節の景色とともに思い浮かぶ“植物の季語”が豊かに息づいています。
ここでは、
- 春・夏・秋・冬・新年の植物の季語
- 花・木・草・実・野菜・果物などの植物や食べ物の季語
を、説明を添えて紹介していきます。
眺めているだけでも、季節の空気がふわりと立ちのぼり、言葉のイメージが広がっていくはずです。
植物の季語一覧
出典・参考:Wikipedia – 季語一覧
春の植物の季語一覧
春の花(桜・梅・花木)
- 梅 — 春の訪れを告げる香り高い花。
- 紅梅 — 濃い紅色が美しい梅の品種。
- 椿 — 冬から春にかけて咲く艶やかな花。
- 初花 — 春の初めに開く花の総称。
- 彼岸桜 — 春彼岸の頃に早咲きする桜。
- 枝垂桜 — 枝が垂れ下がる優美な桜。
- 桜 — 春を象徴する代表的な花。
- 花 — 春の花全般を象徴的に表す季語。
- 山桜 — 山地に多く自生する野性味ある桜。
- 八重桜 — 花びらが多い豪華な遅咲きの桜。
- 遅桜 — 他より遅れて咲く桜。
- 落花 — 花びらが散る様子。
- 残花 — 散り残っている花。
- 桜蕊降る — 桜の蕊が風に舞い散る情景。
春に咲く花木・低木の花
- 牡丹の芽 — 大輪の花を咲かせる牡丹の若芽。
- 薔薇の芽 — 春に動き出す薔薇の新芽。
- 山茱萸の花 — 黄花を早春に咲かせる花木。
- 黄梅 — 香り高く早春に咲く黄色い花。
- 花蘇枋 — 赤紫色の花をつけるハナズオウ。
- 辛夷 — 白く大きな花を咲かせる早春の木。
- 花水木 — 春に咲くハナミズキの花。
- ミモザ — ふわりとした黄金色の花が春を彩る。
- 三椏の花 — 和紙の原料となる三椏が咲かせる花。
- 沈丁花 — 強い香りを放つ早春の花。
- 連翹 — 明るい黄色の花を連なって咲かせる。
- 土佐水木 — 早春に房状の黄色の花をつける木。
- 海棠 — 艶やかな濃桃色の花が特徴。
- ライラック — 甘い香りの花が春を彩る。
- 長春花 — 初夏まで長く咲く花木。
- 山桜桃の花 — ユスラウメの白い花。
- 庭梅の花 — 小さく可憐な早春の花。
- 桜桃の花 — サクランボの木が咲かせる花。
- 青木の花 — 常緑樹アオキの地味だが春の花。
- 馬酔木の花 — 鈴のような白い花を房状に咲かせる。
- 満天星の花 — ドウダンツツジの白い可憐な花。
- 躑躅(つつじ) — 春の代表的な花木。
- 霧島躑躅 — 鮮やかな赤色のキリシマツツジ。
- アザレア — 色鮮やかなツツジ類の花。
- 山楂子 — サンザシの春の花。
- 小手毬の花 — 小さな白い花が毬状に咲く。
- 雪柳 — 細い枝に白花が連なる春の人気花木。
- 木蓮 — 大きく気品ある花を咲かせる。
- 藤 — 風に揺れる房状の花が美しい。
- 山吹 — 黄金色の花をつける春の花木。
果樹の花(春に咲く果樹の花)
- 桃の花 — 桃の節句を彩る春の代表花。
- 李の花 — 白く可憐なスモモの花。
- 巴旦杏の花 — アーモンドの淡い花。
- 梨の花 — 白い花を咲かせる果樹。
- 杏の花 — 早春に咲く淡い桃色の花。
- 林檎の花 — 可愛らしいピンクの果樹花。
- 榠樝の花 — カリンの花。淡い色合いが上品。
- 榲桲の花 — マルメロの木が咲かせる花。
柑橘(果実の季語)
- 伊予柑 — 芳香が強い柑橘。
- ネーブル — 甘味の強い柑橘。
- 八朔 — さっぱりした味わいの柑橘。
- 三宝柑 — 爽やかな香りの希少な柑橘。
芽吹き・若葉・新緑の季語
- 木の芽 — 春に芽吹く樹木の芽の総称。
- 春林 — 春の若々しい林の景。
- 蘖(ひこばえ) — 切株などから生える若芽。
- 若緑 — 春の淡く柔らかい緑色。
- 柳の芽 — 春に芽吹く柳の若芽。
- 山椒の芽 — 香り高い早春の芽。
- 楓の芽 — 春に色づくカエデの芽。
- 楤の芽(タラの芽) — 山菜としても人気の新芽。
- 枸杞(クコ) — 春に若芽が伸びる植物。
- 五加木(ウコギ) — 生垣にもされる春の芽。
- 令法(リョウボウ) — 若芽を食用にもする木。
- 桑 — 春に若葉を茂らせる。
- 柳 — 春風に揺れる柳は春の象徴。
草花・山野草の季語
- 菫(スミレ) — 可憐な春の花。
- 蓬(ヨモギ) — 春に若葉を広げ、草餅にも使われる。
- パンジー — 色鮮やかに花壇を彩る春の草花。
- 土筆(ツクシ) — 春野に顔を出す代表的な山野草。
- チューリップ — 春の花壇を象徴する花。
- 蕗のとう — 蕗の花芽。春の香りをもつ山菜でもある。
- 若草 — 新しく芽吹いた柔らかな草。
- 菜の花 — 黄色の花を咲かせる春の代表植物。
春の植物 – 食べ物の季語一覧
初春(太陽暦2月・旧暦1月)
野菜・山菜
- 京菜(キョウナ) — 柔らかい京都の伝統野菜。
- 春菊(シュンギク) — 香り高い春の葉物野菜。
- 芹(セリ) — 若芽が美味しく、春の七草にも含まれる。
- 八朔柑(ハッサクカン) — さわやかな甘味のある柑橘。
- 蕗の薹(フキノトウ) — ほろ苦さが春を感じさせる山菜。
- 菠薐草(ホウレンソウ) — 冬〜春に甘味が増す葉菜。
- 水菜(ミズナ) — みずみずしく鍋物や漬物に使われる。
- 三葉(ミツバ / 三葉芹) — 香りのよい春の香味野菜。
- 嫁菜(ヨメナ) — 柔らかい若葉が食用となる春草。
- 海苔(ノリ) — 新芽の海苔が採れる早春の味覚。
仲春(太陽暦3月・旧暦2月)
野菜・山菜
- 青饅(アオヌタ) — 青菜を使った春の食材。
- 胡葱(アサツキ) — 早春の香味野菜。
- 五加木(ウコギ) — 若芽を食用にする山菜。
- 芥子菜(カラシナ) — 辛味のある春の葉菜。
- 枸杞(クコ) — 若芽が山菜として食べられる。
- 慈姑(クワイ) — 春に芽を出す縁起野菜。
- タラの芽 — 山菜の王様とも呼ばれる春の味覚。
- ネーブル — 春が旬の柑橘。
- 野蒜(ノビル) — 香りの強い春の野草。
- 茗荷竹(ミョウガタケ) — 初春に出る軟白茗荷。
- レタス(萵苣) — 春どりレタスは柔らかい。
- 土筆(ツクシ) — 春の野原の代表的な山菜。
- 鹿尾菜(ヒジキ) — 春に採れる海藻。
- 若布(ワカメ) — 新物が春に出回る。
- 春椎茸(春子) — 春に発生する椎茸。
晩春(太陽暦4月・旧暦3月)
野菜・山菜・海藻
- アスパラガス — 春どりが最も柔らかい。
- 甘茶(アマチャ) — 釈迦の誕生日に用いられる甘い茶。
- 虎杖(イタドリ) — 酸味のある春の山菜。
- 鶯菜(ウグイスナ) — 若菜を用いる春の食材。
- 独活(ウド) — 香り高い春の山菜。
- 三月菜(サンガツナ) — 早春に収穫される菜。
- 酸葉(スイバ) — 酸味が特徴の春野草。
- 杉菜(スギナ) — 春の山里で採れる野草。
- こごみ — 春の山菜。シダ類の若芽。
- 夏蜜柑(ナツミカン) — 春に出回る爽やかな柑橘。
- 韮(ニラ) — 春のニラは香りが強い。
- 春大根 — みずみずしい春の大根。
- 春野菜 — 春に収穫される総称。
- 山葵(ワサビ) — 春の清流で育つ香味野菜。
- 薇(ゼンマイ) — 春山で採れる山菜。
- 蕨(ワラビ) — 代表的な山菜のひとつ。
- 搗布(カジメ) — 春に採れる海藻。
- 海雲(モズク) — 春の新物は特に美味しい。
- 松露(ショウロ) — 春に出る貴重なきのこ。
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