水にまつわる美しい古語一覧 100選|流れ・水面・波の表情を伝える言葉

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2. 水の場所・地形|水が集い、分かれ、形づくるところ

川や海、滝や湿地など、水が通り、溜まり、境界をつくる場所を表す古語をまとめました。 流れの強弱や地形との関わりが、そのまま言葉に刻まれています。

  1. みぎは
    水のほとり。水と陸が接する場所で、立ち止まり眺める視点を含んだ語。
  2. 水際(みづぎは)
    水面と陸地の境目。波や流れが触れる、移ろいやすい場所。
  3. 水底(みなそこ)
    水の底。流れや波の下に広がる、静かで奥深い領域。
  4. 滝本(たきもと)
    滝の落ち口や滝の下。水が集まり、勢いを残す場所。
  5. 淀瀬(よどせ)
    流れが緩やかになり、水がよどむ浅瀬。動と静が入り交じる水域。
  6. 滝つ瀬(たきつせ)
    滝に近く、流れが激しくなる瀬。水音と勢いが際立つ場所。
  7. 滝壺(たきつぼ)
    滝の水が落ちて深くえぐられた所。水の力が集まる地点。
  8. 下水(したみづ)
    地面や物の下を流れる水。表に現れにくい流れを示す。
  9. 苔の下水(こけのしたみづ)
    苔の下をひそやかに流れる水。目に見えぬ水の存在を表す表現。
  10. 庭潦(にはたづみ)
    雨によって庭や地面にたまった水。一時的に現れる水の景。
  11. 洲浜(すはま)
    水際にできた砂地の浜。流れや波がつくる柔らかな地形。
  12. 川床(かはどこ)
    川の底や流路となる部分。水の通り道としての地形。
  13. 水路(みづぢ)
    水が流れる筋や道。自然の流れとして形づくられた経路。
  14. 入江口(いりえぐち)
    入江の出入り口。外の海と内の水域をつなぐ地点。
  15. 河口(かはぐち)
    川が海へ注ぎ込む場所。淡水と海水が交わる境界。
  16. 潮目(しほめ)
    潮の流れが変わる線。水の動きが目に見えて現れる所。
  17. 分水(みくまり)
    水が分かれ流れる地点。流路が枝分かれする場所。
  18. 水門(みなと)
    水の出入りする所。川や海の通路として開けた地点。
  19. 水脈(みを)
    川や海の中で水が通う筋。流れの通路として意識される場所。
  20. 水分り(みくまり)
    水の分かれ目。流れを分配する地点を指す語。
  21. 沢水(さはみづ)
    沢を流れる水。山あいの湿り気と清らかさを帯びる。
  22. 川瀬(かはせ)
    川の浅瀬。流れが速く、水音が立ちやすい場所。
  23. 浦廻(うらみ)
    海岸が入り組んだあたり。岬や入江が重なり、波が寄り方を変える水際の地形。
  24. 門(と)
    両岸が迫り、水の流れが出入りするところ。瀬戸や海峡のように、水が通る“口”となる場所。
  25. 筧(かけひ)
    竹などで水を導くための樋。自然の水が“通る道”として形を与えられた水路の一種。

 

3. 水の流れ・動き|動勢としてあらわれる水のことば

流れる、満ちる、逆巻く、しずまる――水は常に動きの中にあります。 ここでは、水の速度・量・勢い・音といった変化を、そのまま捉えた古語を集めました。 静と動の移ろいが、語感として残されています。

  1. 流(りう)
    水が連なって動くこと。一定の方向をもって進む水の働きを表す。
  2. 行く水(ゆくみづ)
    流れ去っていく水。とどまらず進み続ける水の姿を示す。
  3. 注く(そそく)
    水が一方向へ流れ入ること。量や勢いを伴って移動するさま。
  4. 滾る(たぎる)
    水が激しく逆巻き、泡立ちながら動くこと。強い勢いを感じさせる。
  5. 石走る(いはばしる)
    水が岩の上を勢いよく流れ、しぶきを上げるさま。
  6. 逆巻く(さかまく)
    水が流れに逆らい、渦を巻くように激しく動くこと。
  7. 湧く(わく)
    水が地中から自然に現れ出ること。止まらず生じ続ける動き。
  8. 湲る(ながる)
    水がゆるやかに流れること。静かな継続を感じさせる表現。
  9. 走る(はしる)
    水が勢いよく速く流れること。動きの鋭さを含む。
  10. ささらぐ
    水がさらさらと音を立てながら流れること。軽やかな流動。
  11. 細流(せせらぎ)
    小さく浅い流れ。音を伴いながら続く水の動き。
  12. 川音(かはと)
    川の水が流れる音。動く水が生む響き。
  13. 滴る(したたる)
    水が一滴ずつ落ちること。ゆっくりとした動作を表す。
  14. 渦(うず)
    水が回転しながら巻き込む流れ。中心に引き寄せる動き。
  15. 渦巻く(うずまく)
    水が円を描くように回り続けること。複雑な流動を示す。
  16. 打ち寄す(うちよす)
    波や水が岸へ向かって寄ってくること。反復する動き。
  17. 澄み渡る(すみわたる)
    水が濁りなく流れ、遠くまで見通せる状態で動くこと。
  18. 淀む(よどむ)
    水の流れが弱まり、停滞すること。動きが失われた状態。
  19. 溢る(あふる)
    水が満ちて外へこぼれ出ること。量の増大を伴う動き。
  20. 漲る(みなぎる)
    水が勢いよく満ち、力を保ったまま動くこと。
  21. 漲らふ(みなぎらふ)
    水が満ち広がり、動きを保ち続けるさま。継続的な勢い。
  22. 干る(ひる)
    水が引き、量が減っていくこと。流れの衰えを含む。
  23. 潮騒(しほさゐ)
    波が寄せることで生じる音。動く水がつくる響き。
  24. 岩注く(いはそそく)
    波が岩に打ちかかること。砕ける水の勢いが、音や飛沫として際立つ動き。

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