日本語には、雪を表す美しい言葉が数多くあります。
「白雪」「淡雪」「初雪」などの語は、雪の情景や質感を繊細に描き出し、古くから和歌や俳句、日常の会話の中で季節の風情を豊かに伝えてきました。
この記事では、自然現象としての雪の呼び名から、季語や風物詩としての表現、さらに日本文化や感性に根ざした言葉までをカテゴリ別に紹介します。
「雪」にまつわる日本語表現 一覧
1. 雪を表す基本語──自然現象としての「雪」の種類や呼び名
雪に関する言葉の中でも、もっとも基本的なものが「雪」そのものを直接表す語彙です。「雪」「小雪」「大雪」「粉雪」「深雪(みゆき)」といった言葉は、天候や季節のニュース、日常会話だけでなく、和歌や古文、俳句などの文学表現にも広く使われてきました。
- 雪(ゆき)
大気中の水蒸気が氷の結晶として降る現象、またその氷の粒そのもの。 - 大雪(おおゆき/たいせつ)
大量に雪が降ること。二十四節気では「たいせつ」と読み、冬の深まりを示す語でもある。 - 小雪(こゆき/しょうせつ)
わずかに雪が降ること。二十四節気では「しょうせつ」と読み、初冬の兆しを表す。 - 粉雪(こなゆき)
粉のように細かく軽い雪。風に舞いやすく、積もりにくい。 - 深雪(みゆき/しんせつ)
深く積もった雪のこと。古語では「みゆき」と訓読みし、文学表現でも多用される。 - 初雪(はつゆき)
その年で初めて降る雪。季語としても使われ、冬の訪れを象徴する。 - 淡雪(あわゆき)
ふんわりと軽く、すぐに消えてしまうような雪。儚さの象徴として和歌にも登場。 - 綿雪(わたゆき)
綿のように柔らかくふわふわとした大きな雪片。 - 玉雪(たまゆき)
丸く玉のような形をした雪。雪の美称として用いられることもある。 - 霙(みぞれ)
雨と雪が混ざって降る現象。冬の天気を表す用語。 - 吹雪(ふぶき)
風に雪が激しく吹きつける現象。視界が悪くなることが多い。 - 雪片(せっぺん)
一つ一つの雪の結晶やかたまり。詩的な表現として用いられる。 - 雪花(せっか/ゆきのはな)
雪の結晶や、舞い散る雪を花にたとえた表現。文学作品にも登場。 - 風花(かざはな)
晴れているのに風に乗って雪がちらつく現象。初冬や晩冬に見られる。 - 降雪(こうせつ)
雪が降ること全般。気象用語としても使われる。 - 積雪(せきせつ)
地面に積もった雪のこと。気象観測の対象となる。 - 新雪(しんせつ)
降ったばかりの新しい雪。まだ踏み荒らされていない状態の雪。 - 凍雪(しみゆき/いてゆき)
凍って固まった雪。圧縮や寒冷によって硬くなった雪を指す。 - 湿雪(しっせつ)
水分を多く含んだ重たい雪。着雪しやすく、雪崩の原因にもなる。 - 乾雪(かんせつ)
水分の少ないさらさらとした雪。寒冷地に多く見られる。 - 斑雪(はだれゆき/はんせつ)
春先にまだらに残る雪。山肌や野に散在する雪を表す。 - 残雪(ざんせつ)
春になっても消えずに残っている雪。山の風景描写などに使われる。 - 雪雲(ゆきぐも)
雪を降らせる雲。黒く重く見えることが多い。 - 根雪(ねゆき)
地面に定着し、長く解けずに残る雪。積雪地域で多用。 - 積雪(せきせつ)
降った雪が地表に積もった状態。気象観測の語としても使われる。 - 餅雪(もちゆき)
餅のように重くねばりけのある雪。湿った雪の一種。 - 衾雪(ふすまゆき)
布団(衾)のようにふんわりと積もる雪。やさしい印象。 - 小米雪(こごめゆき)
小米(こごめ)のように細かい粒の雪。見た目の繊細さを強調。 - しまり雪(しまりゆき)
いったん積もった雪が締まって固まったもの。歩きやすいが滑りやすい。 - ざらめ雪(ざらめゆき)
表面が溶けかけて凍った粗い粒状の雪。春先に多い。 - べと雪(べとゆき)
着雪しやすく、ねばり気のある雪。北陸などで使われる地域語。 - 筒雪(つつゆき)
筒状に積もった雪。竹などの周囲に積もる状態。珍しい表現。
次のページ:雪の情景を美しく描く──「しら雪」「淡雪」などの古語表現
コメント