8. 月日・季節感・ことばの余韻
- 光陰(くゎういん)
歳月、月日。光は太陽、陰は月を指し、日々の流れを天体に重ねた言い方。 - 朔日(ついたち)
月の第一日。月が改まる気配を“暦のはじまり”として呼ぶ語。 - 忌月(きづき)
死者の命日のある月(祥月)。暦の中に、悼みの時間を置く言い方。 - 立たむ月(たたむつき)
来月、この次の月。まだ来ない月を、言葉だけ先に置く呼び方。 - 果ての月(はてのつき)
(用法により)陰暦十二月の別名、または法要のある月を指すことがある。年の端や、区切りの時期を含む名。 - 花月(くゎげつ)
花と月。美しい風物を二つ並べ、自然美そのものを指すような響きがある。 - 雪月花(せつげつくゎ)
雪・月・花。四季の美を代表させる言い回しで、景の格調を高める。 - 澄み渡る(すみわたる)
(月や空が)曇りなく澄む。月光が隅々まで届くような清澄さを表す語。
月の言葉を知ると、夜の景色が変わる
月を表す古語や雅語は、難しい知識のための言葉ではありません。
夜を眺めるとき、文章を書くとき、名前を考えるとき。
そっと添えるだけで、情景の奥行きが静かに広がります。
満月だけでなく、出るのを待つ月、消えゆく月、見えない月。
そうした細やかな違いに名前を与えてきた日本語の感覚は、今も自然に寄り添っています。
FAQ よくある質問
月にまつわる古語・雅語にはどんなものがありますか?
日本語には、月そのものを指す言葉だけでなく、月の出る時刻、満ち欠け、季節や行事と結びついた古語・雅語が多くあります。
たとえば、満月を表す「望月」、明け方まで残る月を指す「朝月夜」、月光を表す「月影」、名月を意味する「明月」などがあります。これらは和歌や物語の中で、情景や心情とともに使われてきました。
名月と明月の違いは何ですか?
「名月」は、主に陰暦八月十五夜の月を指す言葉で、月見の対象として特別に美しい月を意味します。
一方「明月」は、澄みきって明るく輝く月を表す語で、名月と同義で使われることもありますが、月光の清らかさや明るさそのものに重きが置かれます。
コメント