5. 月相(かたちで捉える月)
- 新月(しんげつ)
月のはじまりの月。細い月の姿を指すこともあり、“立ち上がる初めの気配”がある。 - 上弦(じゃうげん)
新月から満月へ向かう半月。夜の早い時間に見やすい、若い光の月。 - 下弦(かげん)
満月から欠けていく半月。夜更けから明け方にかけて見えることが多い。 - 片割れ月(かたわれづき)
半分(またはそれ以上)欠けた月の総称。半月の呼び名として古くから用いられる。 - 弓張り月(ゆみはりづき)
上弦・下弦のような、弓に弦を張った形に見える月。張りつめた曲線の印象が残る。 - 望月(もちづき)
満月。くもりのない光が“満ちる”ことを、そのまま名にした呼び方。
6. 名月・月見の行事の語
- 十五夜(じふごや)
旧暦八月十五夜の月。中秋の名月として、とくに月見にふさわしい夜とされる。 - 名月(めいげつ)
旧暦八月十五夜の月の呼び名。澄んだ月を讃える語として広く用いられる。 - 芋名月(いもめいげつ)
十五夜の月。里芋などを供える風習に寄り、暮らしの実りを月に結びつけた呼び名。 - 豆名月(まめめいげつ)
旧暦九月十三夜の月。枝豆や栗を供える風習とも結びつき、“後の月”として愛でられる。 - 十三夜(じふさんや)
旧暦九月十三日の夜、またその月。十五夜に次ぐ名月として語られることが多い。 - 名残の月(なごりのつき)
夜明け方に残る月(残月・有明の月)を指し、また九月十三夜の月を指す場合もある。余韻を名に留めた言い方。 - 月見(つきみ)
月を眺めて味わうこと。とくに十五夜・十三夜の観月に結びつく。 - 良夜(りゃうや)
月の美しい夜。とくに名月の夜を指すことがあり、“よい夜”の響きがそのまま残る。 - 芋明月(いもめいげつ)
「芋名月(いもめいげつ)」の別表記として見かける形。十五夜の月を、里芋を供える風習と結びつけて呼ぶ。。
7. 月の世界・伝承の気配を帯びる語
- 月の都(つきのみやこ)
月の世界の都、またはそこにある宮殿。かぐや姫伝承の場としても知られる。 - 月の桂(つきのかつら)
月に生えるとされる桂の木。月を“ただの天体”ではなく、物語の世界へ寄せる言い方。 - 雲路(くもぢ)
雲の中の道。月や鳥が通ると想像される“見えない通い路”を示す語。 - 月の顔(つきのかほ)
月の表(おもて)。月の光や面影を“顔”として捉え、見つめる視線を含む言い回し。 - 闇の夜(やみのよ)
月のない闇夜。光の欠落そのものを、夜の質として名づける語。 - 桂(かつら)
中国の伝説で、月の世界に生えているとされる木。月を神話的・異界的に捉える象徴として語られる。
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