縁起のいいものは、特別な日のためだけに用意されるものではありません。
家にそっと飾られる置物や、贈り物として選ばれる品、祝いの席で用いられる食べ物や模様。
それらは、暮らしの中で自然に受け継がれてきた「良い流れを願う形」でもあります。
なぜ鶴や亀は長寿の象徴とされ、豆や昆布が縁起物として親しまれてきたのか。
意味をたどっていくと、日本人が大切にしてきた価値観や、人生への向き合い方が浮かび上がってきます。
ここでは、行事や季節を問わず語られてきた縁起のいいものを取り上げ、それぞれの意味や背景に触れていきます。
日常の中で縁起を意識したいときや、贈り物や表現に込められた意味を確かめたいときに、静かに役立つ一覧です。
縁起のいいもの一覧
縁起物とひとことで言っても、その形や意味はさまざまです。 願いの種類や使われる場面ごとに分けて見ていくと、 自分が大切にしたい縁起や、身近に感じられるものが見つかりやすくなります。
厄除け・魔除け
破魔矢や御守、護符など、災いや不運を遠ざけるために用いられてきた縁起物をまとめます。身を守り、心を落ち着かせる意味を持つものが中心です。
- 破魔矢 — はまや
正月を中心に神社で授与される魔除けの矢です。邪気や災厄を払い、一年を穏やかに過ごせるよう願いを込めて用いられてきました。 - お守り — おまもり
神社やお寺で授与される守り札です。身につけることで、災いから守られ、日々を安心して過ごせるよう願いが込められています。 - しめ縄 — しめなわ
神聖な場所と日常の空間を分ける結界として張られる縄です。穢れを遠ざけ、清らかな場を保つ役割を持ちます。 - 紙垂 — しで
しめ縄や祭具に添えられる白い紙です。神聖さや清浄を表し、場を清める意味が込められています。 - 獅子舞 — ししまい
獅子が人の頭を噛むことで邪気を祓い、無病息災をもたらすとされる伝統芸能です。祝いの場や正月行事で親しまれています。 - だるま — だるま
七転び八起きの姿から、困難に負けず願いを成し遂げる象徴とされます。願掛けや心願成就の縁起物として親しまれています。 - 鈴 — すず
澄んだ音で場を清めるとされ、神事やお守りに用いられてきました。邪気を遠ざけ、心を整える存在とされています。 - 桃 — もも
古くから魔除けの力を持つ果実とされてきました。邪気を退け、健やかな暮らしを守る象徴として語られています。 - 護符 — ごふ
災厄から身を守るために授けられる守り札です。神仏の加護を願い、古くから大切にされてきました。
商売繁盛・金運
招き猫や熊手、福助、打ち出の小槌など、福や財を呼び込む象徴として親しまれてきた縁起物です。商いや暮らしの豊かさと結びついて語られてきた存在です。
- 招き猫 — まねきねこ
手招きの姿で人や福を招くとされる縁起物です。商売繁盛や幸運を願い、店先や家庭で親しまれています。 - 熊手 — くまで
福や運をかき集める象徴として用いられる縁起物です。酉の市などで商売繁盛を願い授与されます。 - 福助人形 — ふくすけにんぎょう
福を招き、家運や商売の繁栄を願う人形です。江戸時代から縁起物として親しまれてきました。 - 打ち出の小槌 — うちでのこづち
振ると財宝が現れるとされる伝説の槌です。富や幸運を呼ぶ象徴として語り継がれています。 - 銭亀 — ぜにがめ
亀の長寿と財を結びつけた縁起物です。金運や蓄財を願う象徴として扱われています。 - 金色の鯛の置物 — きんいろのたいのおきもの
「めでたい」に通じる鯛に金色を施した縁起物です。祝いや商売の吉兆を表します。 - 五円玉 — ごえんだま
「ご縁」に通じる語呂から、良縁や金運を願って用いられてきました。お守りとして持つ人も多い存在です。
開運の神仏・吉祥の存在
七福神や宝船、干支など、信仰や伝承の中で福をもたらす存在として語られてきた縁起物を紹介します。人の願いと深く結びついてきた象徴が多く見られます。
- 七福神 — しちふくじん
恵比寿・大黒天・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋の七柱からなる神々。幸福や財、長寿など、人生のさまざまな福をもたらす存在として、正月を中心に親しまれてきた。 - 恵比寿 — えびす
商売繁盛や大漁を願う神として信仰されてきた存在。日本独自の神とされ、にこやかな姿で親しまれている。 - 大黒天 — だいこくてん
五穀豊穣や財福を司る神。打ち出の小槌や米俵を持つ姿で描かれ、豊かな実りと暮らしの安定を願う象徴とされる。 - 毘沙門天 — びしゃもんてん
勝負運や武運を守る神として信仰されてきた存在。困難に立ち向かう力を授ける神としても語られる。 - 弁財天 — べんざいてん
芸事や学び、知恵、財運と縁の深い女神。音楽や水と結びつく神として、多くの信仰を集めてきた。 - 福禄寿 — ふくろくじゅ
幸福・財運・長寿の三つの福を象徴する神。穏やかな老神の姿で、人生の充実を願う存在とされる。 - 寿老人 — じゅろうじん
健康と長寿を司る神。鹿を従えた姿で描かれ、穏やかに年を重ねる願いを託されてきた。 - 布袋 — ほてい
大きな袋を持ち、笑顔で描かれる福の神。寛容さや人との縁を大切にする象徴として親しまれている。 - 宝船 — たからぶね
七福神が乗るとされる船。正月の初夢に見ると縁起が良いとされ、福を運ぶ象徴として語られる。 - 十二支 — じゅうにし
その年を象徴する十二の動物。正月の飾りや年賀の意匠として用いられ、年の守りとして意識されてきた。
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