日本の女神の美しい名前一覧 58柱|ご利益・意味・神話の物語

日本の女神の美しい名前一覧 58柱|ご利益・意味・神話の物語 言葉
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5. 恋愛・縁結び・家族神(7柱)

出会い・結婚・夫婦円満・家族の絆。日本神話には、こうした人生の節目や日々の暮らしを静かに見守る女神たちが登場します。怪物から救われて妻となった姫、試練を支え続けた良き伴侶、国土と多くの神々を生んだ母神、夫のために命を投げ出した妃──それぞれの物語が、今も「良縁」「家族の幸せ」を願う人々の祈りと結びついています。

  1. 櫛名田姫(くしなだひめ)

    櫛名田姫(クシナダヒメ)は、『古事記』では櫛名田比売、『日本書紀』では奇稲田姫と記される女神で、八岐大蛇の生け贄にされそうになったところをスサノオに救われ、その妻となった存在です。稲田の神として豊かな稲穂や美しい田園風景を司り、日本最古の和歌「八雲立つ〜」に「妻」として詠まれることから、古くから理想的な妻神の象徴ともされてきました。

    島根県の八重垣神社などでは、櫛名田姫は「守ってくれる人に出会う」ご縁の女神として信仰され、縁結び・夫婦和合・家庭円満、さらに“玉の輿”を連想させる金運招福のご利益があると伝えられています。スサノオに守られた姫の物語は、「大切にしてくれる相手とのご縁」を願う人の心に寄り添う存在です。

  2. 須勢理毘売(すせりびめ)

    須勢理毘売命は、スサノオの娘であり、大国主神(大穴牟遅神)の正妻とされる姫神です。出雲の黄泉比良坂の国で大国主と出会うと、ふたりは一目惚れして結ばれますが、父スサノオから数々の命がけの試練を課されます。そのたびに須勢理毘売がこっそりと助言や道具を授け、大国主は試練を乗り越え、ついにはスサノオに認められて「大国主」の名を授かります。

    出雲大社の御向社などでは、須勢理毘売命は「試練を共にくぐり抜ける真のパートナー」を象徴する女神として紹介されています。単なる“出会い”ではなく、困難を共に越えられる相手との縁結び、夫婦円満、家族の絆の強化、ビジネスや人生のパートナー運を願う人にふさわしい神格といえます。

  3. 玉依姫(たまよりひめ)

    玉依姫命は、神武天皇の母として知られる女神で、『古事記』『日本書紀』では鵜葺草葺不合命(うがやふきあえずのみこと)の妃として登場します。千葉県一宮町の玉前神社などでは主祭神として祀られ、「玉(神霊)に依り憑く姫」という名の通り、神霊を受けとめる巫女的な性格を持ちながら、人の精神や新しい始まりを守護する存在とされています。

    玉前神社では玉依姫命は、縁結び・子授け・安産・子宝・養育など、女性と家族に関わる広いご利益を持つ神として知られています。また、物事の発祥・開運・再生といった「新しいスタート」を守る神格ともされ、人と人との良縁、仕事や事業のご縁、人生の方向性を整えたいときにも力を授けてくれると信じられています。

  4. 伊耶那美命(いざなみのみこと)

    伊耶那美命(伊邪那美神)は、伊耶那岐命とともに日本列島と多くの神々を生んだ「国生み・神生み」の女神です。『古事記』『日本書紀』では最古の夫婦神として描かれ、火の神を産んだ際に命を落とし、黄泉の国の女王となるという物語も伝えられています。

    国土と無数の神々を生み出したことから、伊耶那美命は子宝・安産・家内安全の神として信仰されています。また、「最古の夫婦神」であることから、恋愛成就、良縁成就、夫婦円満、家族円満のご利益も語られます。夫婦で一緒に参拝することで、長く続く関係性や家族の絆を見守ってもらいたい、と願う人にふさわしい女神です。

  5. 弟橘比売(おとたちばなひめ)

    弟橘比売命は、日本武尊(ヤマトタケル)の妃として知られる女神です。東国遠征の折、荒れる海を鎮めるために自ら入水し、夫の代わりに命を捧げたという物語が『古事記』『日本書紀』に伝わります。その献身的な愛は「吾妻はや(我が妻よ)」の語源とも結びつき、各地の吾妻神社・橘関係の社で祀られています。

    弟橘比売命は、水難除け・海上安全の神であると同時に、深い愛情・自己犠牲・夫婦の絆を象徴する女神として、縁結び・夫婦和合・出世開運などのご利益を持つとされます。「自分を大切にしてくれる相手と出会いたい」「長く互いを思いやれる関係でいたい」と願う人に寄り添う神格です。

  6. 比売大神(ひめのおおかみ)

    比売大神(比売神・比売大神)は、特定の一柱の名前ではなく、神社の主祭神の妻・娘・縁の深い女神を総称して呼ぶ神名です。八幡社では応神天皇らとともに宇佐三女神を「比売大神」として祀るなど、春日大神・八幡大神などの配神・縁故女神をまとめて「比売神」と称する例もあります。

    その性格上、比売大神は「女性性全般」「母性」「守護と加護」「縁結び」を広く代表する神格として扱われます。恋愛・結婚・出産・育児・家内安全など、女性や家族の人生の節目に寄り添う総合的な女神像として、「名は特定されないが、ふんわりと包む女性神」として信仰されてきました。女性全般の守護神として手を合わせるのにもふさわしい存在です。

  7. 八上比売(やかみひめ)

    八上比売命は、因幡国(現在の鳥取県東部)に住む美しい姫神で、「因幡の白兎」の物語に登場します。大国主神の兄弟たちがこぞって求婚する中、白兎に傷を癒してもらった大国主神こそが自分の夫になる、と兎が予言し、その通りに八上比売は大国主を選んで結ばれます。

    八上比売命は、「たくさんの候補の中から、心の優しい人を選ぶ」姫神として、良縁成就・恋愛成就の象徴的な存在とされています。一方で、大国主にはのちに多くの妻ができ、八上比売は出雲を去ることになるため、「自分を大切にしてくれる相手を見極める」「本当に望む形の愛とは何かを見つめる」というメッセージを含む女神として語られることもあります。良縁を願うと同時に、“自分の幸せを大事にする”視点を思い出させてくれる神格です。

 

6. 稲作・食物・豊穣の女神(7柱)

米や穀物、食物、農耕や市場の恵み──人の暮らしを支える“いのちの糧”をもたらす女神たち。五穀豊穣、食の安定、産業の発展、商売繁盛など、豊かさを願う人々にとって頼もしい存在です。

  1. 宇迦之御魂神(うかのみたまのみこと)

    宇迦之御魂神は、日本神話における代表的な食物・農業の女神で、穀物(とくに稲)をつかさどる神とされます。別名「倉稲魂命(うかのみたま)」としても知られ、穀物の実りと五穀豊穣の象徴です。

    多くの稲荷神社で祀られ、農業の豊作祈願、食物の安定、商売繁盛、家内安全などのご利益があると信じられています。都市部では商売繁盛、田舎では豊作祈願・収穫感謝など、暮らしと密接に結びついてきた神格です。

  2. 豊受大神(とようけのおおかみ)

    豊受大神(別名:豊宇気毘売など)は、古くから食物・農業をつかさどる大神として、特に『伊勢神宮』外宮の主祭神として有名です。天照大神に御饌(食物)を供える神ともされ、食べ物・衣食住の安定を守る神格です。

    そのため、食の安定、五穀豊穣、産業の繁栄、家庭の暮らしの基盤を支える神として信仰され、農業・商業・生活の守護を願う人から広く敬われています。

  3. 大宜都比売(おおげつひめのかみ)

    大宜都比売は、古代の食物起源神話に登場する女神で、食物全般を司る神として知られます。『古事記』では、彼女の体から蚕・稲・粟・豆などが生まれたとする説話があり、そこから「穀物・織物・産業の源」として信仰されてきました。

    食物の起源、五穀豊穣、産業の安定・発展を祈るときに参拝される神です。農耕文化・産業文化の基盤を見守る神格といえます。

  4. 保食神(うけもちのかみ)

    保食神は、五穀や食物全般の起源とされる神で、食べ物の恵みに感謝し、安定的な食料と暮らしをもたらす神格です。穀物、魚、獣、蚕などを生み出したとする神話があり、農業・漁業の守護、五穀豊穣、収穫、安定した暮らしを願う人々に信仰されてきました。

    現代では、農業・養蚕・畜産・商売繁盛・家内安全・開運招福・産業の安定など、多様な「食と暮らし」に関わる願いを支える神として崇められています。

  5. 神大市姫(かむおおいちひめ)

    神大市姫は、古事記の系譜で、山の神の娘であり、食物神である宇迦之御魂神の母としても描かれています。市場や流通、農産物の流れを守る市場の守護神、あるいは「食と流通の安定」をつかさどる神格とされています。

    市場の安定、流通の円滑、産物の分配や流通が途絶えないよう願うときに祈られる神であり、農業・商業・流通に関わる人々の守り神といえます。

 

7. 芸能・工芸・ものづくりの女神(5柱)

芸能、鏡や金属、織物、工芸── “手仕事” や “創造” を支え、人の暮らしや文化を豊かにする女神たち。日本のものづくりや祭礼、芸能の伝統を形作ってきた、その源流となる神々を紹介します。

  1. 天宇受売命(あめのうずめのみこと)

    天宇受売命 は、『古事記』『日本書紀』に登場する芸能・踊り・祭祀の女神で、太陽神 天照大神 が天岩戸に隠れた際、踊りと笑いで神々を誘い出し、世界に再び光を取り戻したとされる伝説で知られます。

    この出来事が「神楽」の起源とも言われ、以降、舞や芸能、演劇、喜びと祝祭、芸事上達の神として広く信仰されてきました。技芸や舞台、演劇、祭事などに携わる人から“芸能の守り神”として厚く崇められています。

  2. 石凝姥命(いしこりどめのみこと)

    石凝姥命 は、鏡や工芸品をつくる鏡作部(かがみつくりべ)の祖神とされ、古代の「鏡づくり」「金属加工」「工芸」の神様です。『古事記』では太陽神を岩屋(あめのいわや)から呼び出すために、八咫鏡(やたのかがみ)を作ったとされ、その技術と芸術性を象徴します。

    そのため、鏡作り・金属加工・鋳造・工芸・職人技の守護神として、職人や工匠、ものづくりに携わる人々から信仰されてきました。創造力、技術の安定・発展を願う人に適した神格です。

  3. 金屋子神(かなやごのかみ)

    金屋子神 は、特に鍛冶・鉄器製作・製鉄・鉱物加工に関わる人々から尊ばれる神で、中国地方を中心とした“たたら”の民族から厚く信仰されてきました。たたら製鉄の成功・質の高い鉄の産出・道具づくりの安定をもたらす女神とされます。

    刀剣や道具、金属製品の製造・鍛錬の守護、産業安全、仕事運向上、技や品質の安定を願う人にとって頼もしい守り神です。

  4. 栲幡千千姫命(たくはたちぢひめのみこと)/万幡豊秋津師比売命(よろずはたとよあきつしひめ)

    この女神は、織物・機織りの祖神とされ、古来より布づくり・衣服文化・生活道具の製作を守る神として信仰されます。複数の文献では「栲幡千千姫命」または「万幡豊秋津師比売命」の名で登場し、同一神とされることがあります。

    その名の意味は「多くの織物を織る姫」、あるいは「織物の豊かさ」を象徴すると言われ、衣服・布・織物・機織りの上達、家内工芸、服飾・染織・産業美術などの守護神とされます。手仕事・工芸・服づくりに関心のある人、伝統工芸を志す人にとって縁の深い神格です。

  5. 大宮能売神(おおみやのめのかみ)

    大宮能売神は、『古事記』『日本書紀』に登場する宮中祭祀・神楽・巫女的役割をつかさどる女神で、宮廷の祭りを司る神として古くから信仰されてきました。「大宮」は宮中、「能売(め)」は巫女・祭祀女を意味し、社殿の守護神、祭祀そのものを支える神格として位置づけられています。

    天宇受売命と同じく、神楽・舞・儀式の芸能に深く関わり、宮中で祀られる際には祭祀の中心的存在として役割を担いました。一説には、天照大神を祀る内宮に対し、宮中の祭祀をつかさどる“もう一方の巫女神”とも言われます。大和時代から文献に登場する確かな古神です。

    現在は春日大社をはじめ、多くの神社で「社殿・境内を守る神」「祭祀・神楽・芸能の守護神」として祀られています。ご利益としては、芸能上達、巫女・神職としての奉仕の安定、祭祀や儀礼の成功、社殿の清浄維持、場を整える力などが信仰されています。

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