日本神話に登場する「美しい女神」を、太陽・水・大地・季節・恋愛・浄化・芸能などのテーマ別に整理しました。
天照大神のような有名な神様だけでなく、各地の神社にひっそりと祀られる女神まで、ご利益や由来を紹介していきます。スピリチュアルな開運や恋愛運アップ、パワースポット巡りのヒントとしてはもちろん、創作や名前のインスピレーション、日本の文化を深く味わいたい方にも役立つ“女神の案内図”としてお使いください。
日本の女神の美しい名前一覧
1. 太陽・光・天空をつかさどる女神
太陽や天空の光は、古来「いのちを育む霊力」として敬われてきました。夜明けの一筋の光、雲間から差し込む陽射し、季節をめぐらせる太陽の運行。その背後には、世界を照らし、私たちの心にも希望の火を灯してくれる女神たちの物語があります。ここでは、太陽・光・天空のエネルギーを体現する女神たちと、その由来やご利益をわかりやすく整理します。
-
天照大神（あまてらすおおみかみ）
日本神話の中心に立つ太陽神で、『古事記』『日本書紀』において高天原を照らす最高神として描かれます。伊勢神宮内宮の主祭神として知られ、世界を照らす光と秩序を司る神格です。『日本書紀』では「日神」「大日孁貴」など複数の名で呼ばれ、太陽そのものの霊力を体現する存在とされています。
伊勢神宮では天照大神を中心に、健康・開運・学業成就・厄除け・交通安全など様々な願いに応じたお守りが授与され、国家安泰や家内安全、人生全般の守護を祈る総合的な守り神として厚く信仰されています。
-
大日孁貴（おおひるめのむち）
『日本書紀』において天照大神の別名として記される太陽神で、「大日孁貴」は「大いなる日（太陽）に仕える尊い巫女」あるいは「太陽そのものの神格化」と解釈されています。「ヒルメ（日女）」は本来「日の女神・日の巫女」を意味し、太陽神祭祀と深く結びついた古い神名です。
天照大神の原像・別名とされることから、光による浄化や物事を明るい方向へ導く後押しを願う信仰と結びつけられます。太陽の大きなエネルギーにあやかり、運勢の立て直しや仕事運、人生の方向性を照らしてほしいと祈る人も多い神格です。
-
日霊女神（ひるめのかみ）
「日霊（ひるめ）」は天照大神の別名・古名ともされる語で、「日の女神」「太陽神に仕える巫女神」を意味すると説明されています。日霊女神はその名の通り、太陽の霊力そのものを体現する女神として語られ、天照大神と同一視される場合もあります。
太陽の光は心身を温め、闇を祓う象徴でもあることから、日霊女神は「内面を明るくする」「迷いを晴らす」「新しい一歩を踏み出す勇気を照らす」存在として捉えられます。具体的なご利益は地域や信仰によって異なりますが、再生・浄化・前向きな決断を後押ししてくれる光の源として祈られる女神です。
-
稚日女尊（わかひるめのみこと）
稚日女尊は「若く瑞々しい日の女神」という意味を持つ神で、生田神社（兵庫県神戸市）や玉津島神社（和歌山県和歌山市）などの祭神として知られます。『日本書紀』では機織りを行う女神として描かれ、天照大神の幼名・妹神・御子神など、諸説ある太陽神的な性格を帯びた女神です。
石川県の稚日霊神社などでは、稚日女尊は太陽の恵みや生命力を象徴する神として、健康・美容・恋愛・結婚などのご利益があるとされています。また、機織りや風雨の神として祈雨・豊作を願う信仰とも結びつき、「若々しいエネルギーで物事を育てる力」を授ける女神として親しまれています。
-
下照姫（したてるひめ）
シタテルヒメ（下照比売・下照姫）は、日本神話に登場する女神で、「高比売命」「稚国玉」といった名と同一視されることもあります。大国主神の娘とされる系譜もあり、その名が示す通り「地上にまで照り渡る光」を象徴する存在です。
大阪市東成区の比売許曽神社などでは主祭神として祀られ、農業振興・子宝・安産・子育てのご利益があると伝えられています。また、織姫と結び付けられ、恋愛運や仕事運、家庭円満の守護神としても信仰されており、「縁結びと縁切りを通してよりよいご縁へ導く」力を感じる参拝者の声も紹介されています。
-
天道日女命（あめのみちひめのみこと）
天道日女命は『先代旧事本紀』などに登場する女神で、『古事記』『日本書紀』には記載がないものの、尾張氏系図などにその名が見られます。伝承では、のちに「祖母神」として祀られ、麻を績いだり蚕を養ったりして人々に衣服づくりの技術を教えたとされ、山口神社・天藏神社（京都府舞鶴市）周辺に由緒が残されています。
天の道＝太陽の通り道を象徴する名前から、日々の営みを整える「道しるべの女神」として、衣食住の安定、手仕事やものづくりの上達、家業の繁栄などを願う信仰と結び付けられます。人生の進路に迷ったときの「道開き」や、コツコツと続ける仕事を見守る存在としても意識されることが多い女神です。
-
阿加流比売（あかるひめのかみ）
阿加流比売神は『古事記』応神記などに登場する女神で、阿迦留姫命・赤留比売命とも表記されます。新羅の沼のほとりで日光を浴びた賤女が赤い玉を産み、その玉が美しい娘となって天之日矛の妻になった、という日光感精の伝承を持つ神です。夫から罵られた阿加流比売は、自らの意志で祖国を離れ日本へ渡り、難波の比売碁曽社（比売許曽神社と比定）などに鎮まったと伝えられています。
大阪の姫嶋神社や赤留比売命神社では主祭神として祀られ、「やりなおし神社」と呼ばれるように、再起復活・新しいスタート・決断と行動・女性の自立・美人祈願などのご利益で知られています。困難な関係から自分を守り、新しい人生を切り開いた物語から、過去を手放して心機一転したい人を応援する女神として親しまれています。
-
高比売命（たかひめのみこと）
高比売命は、『古事記』で大国主神と多紀理毘売命の娘として登場する神で、阿遅鉏高日子根神の同母妹とされます。別名を「下光比売命（下照比売）」とし、シタテルヒメと同一視されることが多い女神です。
「高比売」は「高く照る姫」を思わせる名であることから、地上を明るく照らす高い光、気持ちを引き上げる明朗さの象徴ともとらえられます。下照姫と同じく、家庭円満・縁結び・子宝・安産・子育て、そして自分らしい生き方を選ぶ勇気を願うご信仰と重ねて紹介されることが多い女神です。
-
前玉比売（さきたまひめ）
『古事記』では、天之甕主神の娘であり、大国主神の子孫・速甕之多気佐波夜遅奴美神の妃として系譜に登場する女神です。埼玉県行田市の前玉神社（前玉〈幸魂〉神社）では前玉彦命とともに主祭神として祀られ、「埼玉」の地名の由来にも関わる古い土地神として敬われてきました。
前玉神社では、前玉比売神・前玉彦命は「魂が幸せになる神」とされ、人と人との縁、なかでも恋愛成就・縁結び・夫婦円満の守護神として信仰されています。また、人の身を守り幸福をもたらす神として、安産や家庭円満、心穏やかに暮らしたいという願いを託す参拝者も多く、古墳群に寄り添う静かな杜で、人生の節目の祈りを受け止めてくれる女神といえます。
-
登美夜毘売（とみやびめ）
登美夜毘売は、長髄彦（ながすねひこ）の妹で、天津神・饒速日命（にぎはやひのみこと）の妻となった女性として『古事記』に登場します。『日本書紀』では本名を三炊屋媛（みかしきやひめ）とし、鳥見屋媛・長髄媛など複数の別名を持つと記されており、大和地方の有力豪族と天津神の血筋を結びつける象徴的な姫神とされています。
秋田県の唐松神社では、神功皇后・香具土神とともに登美夜毘売命を祀り、「女一代の守り神」として女性の幸せ全般、とくに子授け・安産のご利益で知られています。境内の「抱石」を撫でて祈ると子宝や安産に恵まれるとされ、人生や家庭をしっかりと育てたいと願う人々が多く参拝します。また、饒速日命の正妃として語られることから、夫婦和合・家庭円満、良縁成就を願う祈りとも結びつけられ、女性の人生を長く見守る守護神として親しまれています。
コメント