- 行かし(ゆかし)──心ひかれる、見たい、聞きたい。
- 疎かなり(おろかなり)──いい加減だ、愚かだ。十分でない。なおざりだ。言うまでもない。
- 覚束なし(おぼつかなし)──はっきりしない、不安。
- 忠実なり(まめなり)──誠実だ、まじめだ。健康である。実用的。
- をこなり(をこなり)──愚かだ。
- 浅まし(あさまし)──驚きあきれるほどだ、情けない。
- 生めかし(なまめかし)──若々しく美しい。
- 貴なり(あてなり)──高貴だ、上品だ。
- 卑し(いやし)──身分が低い、卑しい。
- 愛でたし(めでたし)──立派だ、すばらしい。
- 心地よし(ここちよし)──気分がよい。
- いぎたなし──寝坊だ。ぐっすり寝込んでいる。
- 懇ろなり(ねんごろなり)──親切だ、ていねいだ、親密だ。
- 健やかなり(すくよかなり)──しっかりしている、素直だ。
- をさをさし(をさをさし)──しっかりしている、大人びている。
- 心付きなし(こころづきなし)──気に入らない、心ひかれない。
- 哀れげなり(あはれげなり)──しみじみとした趣がある。
- 懐かし(なつかし)──親しみがもてる。
- 好々し(すきずきし)──風流だ、好色めいている。
- 面白し(おもしろし)──趣深い、風情がある。
2. 雅語・和歌語 ― 優雅な響きの言葉
雅語・和歌語とは、王朝文化の中で育まれた上品で優雅な表現を指し、特に和歌や物語で好まれて用いられました。たとえば「ひさかた(天)」「しろたへ(白布)」「あをによし(奈良)」などの枕詞は、自然や土地、神々を美しく讃える修辞表現です。現代語の中でも「みやび」「たまゆら」などは詩的な響きをもって生き続けています。
- 久方(ひさかた)──「天」「光」「月」にかかる枕詞。悠遠の響き。
- 白妙(しろたへ)──白布・白衣にかかる枕詞。清浄な白を象徴。
- 足引き(あしひき)──山にかかる枕詞。「山の茂み」の意も。
- 玉響(たまゆら)──玉が触れ合うかすかな響き。ほんのしばらく。
- 白玉(しらたま)──真珠のような玉。美しいものの喩え。
- 真白(ましろ)──ひたすらに白いさま。清浄・純粋の象徴。
- 玉藻(たまも)──美しく輝く海藻。和歌で女性の喩えにも。
- 雅(みやび)──優雅、上品さ。王朝文化の理想。
- 言の葉(ことのは)──言葉。葉のように美しく舞う表現。
- 天つ風(あまつかぜ)──天を吹く風。和歌で天上感を添える。
- 草枕(くさまくら)──旅にかかる枕詞。野宿・旅情の象徴。
- 玉きはる(たまきはる)──命・世にかかる枕詞。「長く続く命」の意。
- 青丹よし(あをによし)──奈良にかかる枕詞。青丹を塗った美しい都を讃える。
- 玉衣(たまきぬ)──玉のように美しい衣。比喩的表現。
- 山吹(やまぶき)──黄金色の花を富貴や繁栄に喩える。
- 小牡鹿(さをしか)──牡鹿。恋歌で恋路をさまよう若い男性を連想させる言葉。
- 白山(しらやま)──清らかな霊山。和歌に神聖さをもたらす。
- 秋津島(あきつしま)──大和国の雅称。蜻蛉の島の意。
- 玉の緒(たまのお)──命や魂を玉の紐にたとえる。
- 月読(つきよみ)──月の神。月の光の象徴。
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