日本の古典文学や和歌に登場する「古語」は、ただ古い言葉ではなく、情緒や美意識を映し出す文化の宝庫です。たとえば『源氏物語』に見える「あはれ」や「をかし」は、現代語では表しきれない深い感情を伝えてくれます。ここでは、古語を意味付きの 一覧で雅語・和歌語・仏教語・祝詞などを紹介します。
古語の意味を知ることで、古典文学の理解が深まるだけでなく、現代の文章や創作活動に新しい表現を取り入れるヒントにもなります。美しい言葉の響きを楽しみながら、日本語の奥深さを一緒に探ってみましょう。
美しい古語の表現 一覧|雅語・枕詞・祝詞などのことば
1. 古語 ― 平安時代から伝わる言葉
古語とは、平安時代から中世にかけて日本語で使われていた言葉であり、古典文学や和歌に頻出します。例えば『枕草子』や『源氏物語』では「あはれ」「をかし」などの古語が美しい響きとともに用いられています。現代では日常的に使われることは少なくなりましたが、古語を知ることで日本文化の美意識や情緒を理解でき、創作や文章表現にも豊かな深みを与えてくれます。
- 哀れ(あはれ)──しみじみとした情趣・哀感。
- をかし(をかし)──趣がある、風情がある、面白い。
- まほろば(まほろば)──理想郷、美しい国土。
- 現身(うつせみ)──現世・人の世。蝉の抜け殻に由来。
- 愛し(いとほし)──気の毒だ、かわいそうだ。
- 傍ら痛し(かたはらいたし)──気恥ずかしい、見苦しい。
- 甚(いと)──たいそう、とても。
- 優し(やさし)──優美で上品、またはつつましい。
- 愛し(かなし)──いとおしい、愛しい。
- 朧け(おぼろけ)──ありふれている、並一通り。
- 幼けなし(いとけなし)──幼い、あどけない。
- 儚し(はかなし)──頼りない、むなしい。
- 連れなし(つれなし)──平然としている、よそよそしい。
- 徒なり(あだなり)──浮気、誠意がない。
- 徒ら(いたづら)──無駄、むなしい。
- 怪し(あやし)──不思議だ、見苦しい、身分が低い。
- 漫ろ(すずろ)──なんとなく、わけもなく。
- 猶(なほ)──やはり、それでも。
- 悲しび(かなしび)──悲しみ。
- あやにく──都合が悪い、意地が悪い。※漢字表記は稀
- 心憎し(こころにくし)──奥ゆかしい、上品。
- 麗し(うるはし)──端正で美しい。
- 恥づかし(はづかし)──こちらが恥ずかしくなるほど立派。
- 心許なし(こころもとなし)──不安だ、待ち遠しい。
- 哀れなり(あはれなり)──いとしい、愛すべき。※「あはれまし」を修正
- 慮かし(いぶかし)──気がかりだ、不思議だ。
- 目覚まし(めざまし)──気に食わない、驚くほど立派だ。
- をさをさ(をさをさ)──ほとんど(打消とともに)。
- 敢へ無し(あへなし)──どうしようもない、はかない。
- 難し(むつかし)──不快だ、うっとうしい。
- 侘し(わびし)──つらい、心細い。
- 左右なし(さうなし)──ためらわない、または並ぶものがない。
- 心地(ここち)──気分、気持ち。
- 心(こころ)──心、思い。
- 猛し(たけし)──勇ましい、強い。
- 有らまほし(あらまほし)──理想的だ、望ましい。
- 幼な(をさな)──幼い、子ども。
- 労し(いたはし)──気の毒だ、大切にしたい。
- 忌みじ(いみじ)──たいそう、すばらしい、ひどい。
- あやなし──理由がない、わけがわからない。
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